• 現代ドラマ

『羆牢』制作記録④ 第4話「羆牢」ができるまで

第4話「羆牢」は、この作品の中でも評価が分かれる回になるだろうと思いながら作りました。

『羆牢』は最初から、羆牢の内側と外側を二本のレールとして進めることを決めていました。

第1話から第3話までは、藤黒たちを追い続けています。

判決を受け、何も知らされないまま運ばれ、ようやく羆牢へ到着する。

そして第3話では、そこが普通の刑務所ではないことを、藤黒たちと一緒に少しずつ知っていく。

ここまで来れば、そのまま中の話を続けるところだと思います。

でも第4話では、もう一方のレールへ大きく切り替えました。

ここで考えたのが、羆牢の外側だけを描いても、それだけで面白い作品にしたいということでした。

外側から国家制度を追う人物となると、記者という設定は使いやすい反面、どうしても「読者に設定を説明するための人物」になりやすい。

それでは、もう一人の主人公として弱い。

「新聞記者」というよくある設定を、どうにかして壊せないだろうか。

そこから本宮瞳胡という人物を作っていきました。

また、『羆牢』では熊害や特殊詐欺だけではなく、現代にあるさまざまな社会問題を物語の中へ入れていきたいと考えています。

風俗や立ちんぼをめぐる問題も、その一つでした。

そういったものを組み合わせた結果、第4話の前半は、羆牢とはまったく関係がないように見える本宮の日常から始まっています。

「これは何の話なんだろう?」

最初はそう思ってもらってもいいと思って書きました。

自分は、最初にすべてを説明してから物語を始めるよりも、何を見せられているのか完全には分からないまま場面を追い、少しずつ人物や出来事のつながりが見えてくる海外ドラマのような進み方が好きです。

第1話から第4話までは、特にそれを意識しています。

藤黒の物語を追いたい。

羆牢の中がどうなっているのか知りたい。

そして、本宮が外側から何を見つけるのかも気になる。

この三つを、ここまで読んだ人が続きを読み進めるための「エンジン」にしたい。

第4話「羆牢」は、そのために三話かけて走らせてきた内側のレールから一度離れ、もう一本のレールを本格的に走らせ始めた回です。

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