• 現代ドラマ

『羆牢』制作記録① 第1話「判決」ができるまで

『羆牢(ひぐまろう)』の構想は、日々のニュースで目にする熊害問題と特殊詐欺被害を、一つの物語の中で組み合わせるところから始まりました。
「この二つを、一つの物語にできないだろうか」

最初にあったのは、それだけです。

ただ、二つを組み合わせるだけでは、物語の中心が「熊から逃げること」だけになってしまう。

自分が作りたかったのは、それだけではありませんでした。

なぜ、こんな場所が存在するのか。
誰が作ったのか。
そこへ送られる人間は何を考えるのか。
外にいる人間からは、この場所がどう見えるのか。

そこから世界設定を作り、年表を作り、登場人物を作っていきました。

そうして書き始めたのが、第1話「判決」です。

ちなみに、第1話の冒頭にある2003年のプロローグは、最初から存在していた場面ではありません。

実は、第一部を書き終えてから最後に追加しました。

物語の一番最初にある場面が、第一部では一番最後にできた場面です。

過去の回想についても、当初の構想にはありませんでした。

藤黒姫斗がどういう男なのか。

それを文章で説明するより、彼がどう生きてきたのかを場面として見せた方が、この人物を知ってもらえるのではないか。

そう考えて書いてみると、自分でもこちらの方が面白いと思えたので、現在の形になりました。

もう一つ、『羆牢』を書くうえで全体を通して意識していることがあります。

扱っている題材やテーマはかなり重いものです。
だからこそ、登場人物たちの会話までずっと重くならないようにしています。

深刻な状況の中でも冗談を言ったり、くだらないことで笑ったりする。
会話には意識してコミカルな部分を入れています。

重い題材を扱いながらも、重い場面だけが続く作品にはしたくない。
これは第1話だけではなく、物語全体で意識していることです。

第1話「判決」も、最初から今の形だったわけではありません。書き進めながら必要なものを足し、現在の形になりました。

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