なんか冗談みたいな企画名で良いですよね。ただし内容はガチ。
締め切りも迫ってきたので講評が出る前に自作語りでもしておこうと思います。
まずそもそもこの企画、字数制限がかなりきつい。3200字以内で起承転結を作り、暴力描写を入れて、さらにテーマを回収しないといけない。一応やろうと思えばできるんだけど、全ての要素を完璧に整えるのは至難の技で、その結果どうしても偏りというか作品ごとに重視するものが違ってくる。逆に言えばそれが作品の味になる。そういう意味でかなり面白いレギュレーションだと思います。
で、まずは「アイの器」。
正直これ書いてて自分でも若干嫌気がするくらい気持ち悪い話なんですよ。こういう気持ちになるのはかなり珍しいことなので、まあある意味よく書けたんじゃないかと思います。
これの感想で「語り手が信頼できるのかどうかわからない」と言われて、ああ確かにそういう見方もできるなぁと逆に感心しました。信頼できない、と断じることもできない不確かさ、それは読者だけでなく登場人物たちも抱えているもので、それがどうしようもなく人間を不安にさせる。ホラーとしてはそこで終わりでもいいんですが、この話は怪異との絆みたいなものを意識して書いた作品でもあるので、ああいう結末になりました。
ただそういう話の展開に注力した結果、暴力描写そのものはやや控えめになってしまった。当初はすぐに彼が見つからなくて、全身を細切れにしていく描写を入れたかったんですが、やはり字数がきつい。でもこの作品における暴力の持つ意味と役割という点では、必要なことは書けたかなと思います。
そして二作目の「バイトガバイト」。
これは一作目で頭を使いすぎたので何も考えずに書きました。
なんかこう、差別的なことを言ってる女の子って好きなんですよね(大いなる語弊)。きつめの思想を持ってる方が良いとかではなく、理性や良識を引きちぎるほどの怒りや憎悪が滲み出てる感じがして良い。そういう言葉の暴力というのも少し意識して書きました。
だいぶ語りの熱量に差が出ましたが、どっちも楽しく書きました。参加作も読ませていただいて様々な暴力を堪能しております。結果がどうなるかまだわかりませんが、ぜひ第三回も開催して欲しいです。それではまた。