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振り返りと逆アンパンマン

第七回偽物川小説大賞、全体の振り返りとか二作目の諸々だとか、忘れないうちに書いておこうと思います。

まず料理しない人間なので、飯描写も料理描写もめちゃくちゃ苦手なんですよ。
だから逆に微妙な味の配給食とかをただ淡々とあまり美味しくなさそうに描写していく、とかも考えたんですが技術的な理由により断念したという経緯がありました。
皆さんが言ってたテーマの難しさってそういうところにも起因しているような気がしていて、生活と密接に関わっているものなだけに、リアルでの経験値が作品に影響を与えすぎるというか、正攻法でいこうとすると作者の得手不得手が如実に現れるため、書けるものの制約が大きいという側面はあったのかなと思います。

で、作品に関する振り返りなんですけど、一作目は概ね好評という感じで、受賞は逃しましたが自分もある程度やりきったなという手応えがありました。
ただ百合というレールに無理に乗せにいかなくてもよかったかなというのは少し思っています。というのも講評で「自分の性癖をもっと出してみては」というようなご指摘をもらったんですがこれがちょっと難しくて、作品の応援コメントでは少し触れたんですがヒロインの内面的モチーフは僕自身なので、正直そこに対する恋愛描写というのはちょっときついものがある。だから二人は結ばれないし彼女は思い出の中にしかいない。そういう踏み込みの甘さが描写のブレのようなところに繋がってしまっていたのかなと。なんかアシタカとサンみたいな、立場や思想は違うけど共に寄り添うことはできるという関係性を書きたかった。
そういう作者の都合という見えない文脈で申し訳ないのだけど、実はこれは百合小説ではなくてある意味では内的葛藤のお話で、そういうものを書くのならもっと別のアプローチでもよかったな、という感じ。

二作目に関しては自分でもまだ正解がわかってない。ただテーマへの解答として「食べることは奪うことだ」というメッセージがあった。
そもそもの食物連鎖からして、その発想は他者が蓄えた栄養を奪うというところにあり、それを人間社会において端的に表現するとこんな感じになるのかなと考えながら書きました。
それに罪悪感を感じている男爵に対して、アルバートは割りきって切り捨てて、主人公はある種の開き直りを持っている。つまりこれもそういう食をめぐる内的葛藤がモチーフになってはいるんですね。だから最後のシーンで主人公は自分たちが悪であるかどうかという拘りを捨てる。生きるためには食べるしかないし、食べるためには奪うしかない。そしてある意味ではそれがアンパンマン的思考の対極にあるのではないか、そういう試みをしたかった。
ラストに関してはちょっと羅生門を意識して書いたんですけど、もっと良い締め方があったかもしれない。あとアルバートの描写不足はマジでその通りで、まだこういう無口で武骨なキャラを書き慣れてない感じがある。そういう部分も含めて未だ答えの出ない小説ですね。

もうちょっと手短にすませるつもりだったのにまた随分と長くなってしまった。まあ半分以上作者の言い訳のようなものなので適当に聞き流しておいてください。
あと告知を忘れてたので一応ここに書いておきますが、今さらですがXのアカウントを作りました。まあ大したことはつぶやいてないのであまり気にしなくて大丈夫です。
そういうわけで、これにて解散。

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