亀の歩みのようなスピードで読み進めましたが、最近読んだ本について。
小説の参考になるのではと思って読んだ本ではありますが、いかんせん、私のツボは周りのツボとちょっと違うのを自覚済みなので、これから書くことも面白くないと感じる人には本当に面白くない内容だと思います。
ここで読むのをやめていただいても全く構いません。
『イギリス貴族』
(著・小林章夫 講談社現代新書)
時代と共に変化する貴族の形や変わらない価値観など、貴族の色んな文化について書いてありました。
私が特に印象に残ったのは、貴族と戦争についてです。
中学生の頃に書いた西洋風異世界ファンタジー小説に、命の危険を顧みず民のために戦う皇子を登場させました。
後年、よく考えれば、一国の皇子がそんなに軽率で良いのかしら?と不安になりましたが、大学でノブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)について知って、ホッとしました。
イギリス貴族達は、戦争においては前線に出て自ら兵を率いて戦い、部下を庇って命を落とすこともあったそうです。後継者が全員戦死し、無くなってしまった家もあるそうな(これは以前読んだ別の本に書いてありました)。
この本にもそのようなことが書いてありました。
1914年に50歳未満の貴族で戦場に赴いた者の死亡率は約19%。
第一次世界大戦(1914-1918年)時、全将兵の平均死亡率は8-9%と推定されていますが、1880年から1939年に生まれた公爵のみを対象にした死亡率を調べると、暴力的な原因で死亡した人は48%に上るそうです。(上記本より抜粋)
公爵の死亡率は第二次世界大戦(1939-1945年)のものも含んでいるでしょうし、この三種類の数字の調べ方がバラバラなので、そのまま全将兵と貴族、戦地に向かった公爵の死亡率を比べられるデータではないとは思いますが…
それを踏まえて考えても、この二つの戦争においては貴族達、それも特に高い地位の貴族において、戦死者が多かったことを推察できるデータ達だと思います。
公爵の2人に1人が殺されてしまった時代がある。衝撃的です。
著者は「貴族に求められた血の犠牲」と書いていらっしゃいましたが、私はこの数字に、胸にずーんと来るものがありました。
民から守られるのではなく、民を守るために死んでいったのが貴族なんですね…本当に、尊い。
何が言いたいかと言いますと、私のように「いや王侯貴族が自分の命を危険に晒すなんて」と自分の創作物にツッコミを入れてる作家さんがいたら、「大丈夫!民のために危険に身を投じているなら(そして西洋風なら)、むしろ現実的です!」と言って差し上げたいです。
各国の歴史や文化、特に地理や歴史から来るその地ならではの価値観、人生観が大好きです。
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『ディアマンテ王宮恋物語』更新中です!
いよいよ本日、『地』の物語が始まりました。
私は四人の貴族達の中では、この『地のルーカ』が好きです。
クラウディオも一途なら好きなのですが。
https://kakuyomu.jp/works/822139837000619352