そして放課後。
「学校も終わったし、家に帰ってセックスをしよう」
「しねぇよ!」
このペースで迫られたら、いつか陥落しそうで怖い。
かといって、16歳で人生終了はまだ早いだろう?
勇者としては簡単に魔王に負けるわけにはいかないのだ。
てか、なんで真央が魔王なんだ?
よくよく考えるとおかしくないか?
俺は異世界召喚だったけど……。
真央は逆異世界転生なのか?
そう考えれば辻褄は合うのだけど。
異世界間で時系列は関係なかったしな。
「なあ、魔王様?」
「なにかね、勇者君」
無駄にノリがいいな。
「えっとさ、子どもの頃から一緒だった真央は、俺が異世界で倒した魔王の転生した存在だった、ってこと?」
「正解。パフパフ。1魔王ポイントを進呈」
なんかもらったぞ。
溜まったらロクでもないことになるのは確定だな。
「あれ? じゃあ、知ってたの!?」
「そう、勇太が美少女魔王ランドに召喚されるのは知ってた」
「なんだそのいかがわしいお店みたいな名前は! 女神様はエセリアーナの世界って言ってたし!?」
「いかがわしくないぞ。サービスも素晴らしいと聞く。そして駄女神は嫌い」
どうやら、いかがわしい店でした。
女神様も嫌いなようで。
……意味もなく目の敵にされてたもんな、魔族。
「なんで魔族ってあんなに嫌われていたの?」
魔族と言っても、極めて暴力的なのは一部だし、話せばわかるのが大半だった。
そんなのは人間だって一緒なので、共存だってできる気がしなくもなかった。
「見た目が違うからだ」
「それだけで!? 戦争になるの!?」
「勇太は、世界史で勉強したことを覚えとらんのか」
「あ……」
人間なんて、肌の色の違いで戦争ができるのだ。
そっか。
無理なんだな。
「だから人間が滅びそうになると勇者が召喚されるし、魔族が滅びかけると魔王が強大になる」
「クソっ垂れな天秤だな」
真央は口元を緩めると、俺の肩に頭をのせる。
「もう、異世界のことはどうでもよい」
「そうだな」
「だから、家に帰ってセックスをしよう」
「しねえっての!」
あいさつ代わりになりそうだな、そのセリフ。