「⚓エレーナ少佐クロニクル 第0~3章」
第5話 左翼活動家、市議会議員の密談
2027年初冬、ロシア連邦東部軍管区は佐渡ヶ島に侵攻した。/🐟フランク ✥ ロイド🐟 - カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/2912051600523706304/episodes/2912051604400844639 翌日、富田に一同は呼び出されて、富田の借りている市内のウィークリーマンションに行った。広瀬は自分を抜きにしてソーニャがバーに忍び込んだのをまだブツブツ言っている。
富田が部屋に備え付けの43インチテレビにHDMIケーブルでパソコンを接続、トランスミッターで転送されたバーのCCDカメラの映像を一同に見せた。「こんなに早くこいつらの動きが察知できるとは思いませんでしたよ。しかし、無防備ですな。日本の警察が何もしないとでも思っているんでしょうかね?」と言う。
テレビに映し出された映像を富田が解説する。
「このカウンターの男は石垣島の市会議員Sです。左翼系野党の人間。相手は台湾国籍で、正体は解放軍の工作員の陳。たわけたことを話してますね。非戦力、無抵抗の島の実現なんだそうです。日本国土を売り渡すに等しい。え~っと」とパソコンを操作して別の場面を見せる。「こっちは陳と元革マルの活動家のH。石垣島の農家を買って農業をしているとしてますが、実は大麻の栽培をしている。このHと陳が、解放軍の石垣島侵攻と呼応して、両少尉が見つけた対戦車ロケットランチャーで陸自駐屯地を攻撃する手筈を相談しています。ああいう兵器を隠した納屋があと三ヶ所発見されました。ランチャーは30基以上あります。それから、マシンガン、拳銃などの携行兵器も準備しています。ほぼこいつら一味の人員は判明しました。二十三名。さあって、どうしましょうか?」
「ただ単に武器を押収して、逮捕しただけじゃあ、自分の信じたいことを信じる輩、バカなマスコミは、すぐ政府による陰謀だとか、人権だとかいい出すだろう。中国だって知らぬ存ぜぬで、ローカルニュースになってしまう。かといって、この映像を政府が公開するわけにもいかない。もしも、政府が公開したって、効果は薄い。そうだねえ、ちょっとした案があるんだが……」と紺野が説明した。
「ああ、その案、いいですね!それが放映された頃合いを見計らって、こちらも一斉検挙をかけて相乗効果を狙えます」と富田。
アニータ、スヴェトラーナ両少尉、ソーニャ、カテリーナは、ロシア連邦のやり口に慣れているので、紺野の案をすんなり納得した。
広瀬は「そういう情報操作はやっていいんですか?」と不満顔だ。
「だって、広瀬、現に隠匿兵器の存在があり、この映像があるんだ。でっち上げでも事実の捻じ曲げでもないんだよ。ただ、公開方法をひと工夫するだけだよ」と紺野。
「う~ん、小官の任務外の話なんでなんとも言えませんが……」
《《卜井・藤田・佐々木、ペレスヴェート》》
|卜井《ウライ》と藤田、佐々木が、ペレスヴェートとオスリャービャの石垣島滞在延長のニュースを聞きつけて、取材しにペレスヴェートのアニータ少尉の元を訪問した。
艦の会議室で佐々木他クルーが撮影している。「二週間、ここに滞在するってことですか?」と|卜井《ウライ》がアニータに聞く。
「ええ、せっかくだから、島民の方々に艦内を公開したり、交流会を開こうと思ってます。これ、ウラジオからの案で、日本政府も歓迎してくれてます」
「それはいい!いいネタですよ。局も喜びます。日程が決まればお教え下さい」
「もちろん、|卜井《ウライ》さんたちに真っ先に!」
「ありがとう。佐渡ヶ島からの縁ですからね。うれしい!」
「こちらも東ロシア共和国の宣伝になりますもの。願ったり叶ったりですわ」
取材クルー一同はタラップを降りて下船する。タラップの警備はカテリーナが担当していた。
佐々木が彼女を見つけて「カテリーナ伍長、今日もお仕事?退屈じゃない?」と彼女に言う。
「佐々木さん!任務ですので!」
「大変ね、こういう警備も。直立不動で長時間いるなんて……今度、非番、いつ?食事に行こうよ。奢っちゃうから」
「え~、いいんですか?明日午前中なら非番ですけど……」
「いいわよ、食事してショッピングしようよ。お昼にお寿司、食べない?」
「お寿司ですか!ありがとうございます」
「じゃあ、明日、9時くらい?迎えにくるわね」
佐々木が|卜井《ウライ》たちを追って立ち去ろうとした。
「あ、佐々木さん、これ、落ちましたよ」とカテリーナが佐々木を呼び止めて、手渡す。佐々木はUSBメモリーらしきものを見て、あれ?誰か落としたかな?と何気なくポケットに入れてしまった。
「カテリーナ、ありがとう。じゃあ、明日ね」と手を振ってクルーを追った。