昨日、『迷い迷われ、それでも僕らは』が無事に完結しまして、本来ならあとがきを書いたりするのですが、今回は趣向を変えて、数値データを客観的に分析しようと思います。
なぜ、こんなことをしようと考えたかと言いますと、今回の作品は1つの試みがありまして、その結果に満足しているというお話をしたくて、そのためには読者さんでも分かるように客観的な数値での根拠を示す必要があると考えたからです。
回りくどい言い方になってしまいましたが、「今と昔とでは私自身の作品に対する拘りが違い、それが読者さんの反応に顕著に表れていることが分かって、満足してます」って話です。
■まず最初に、過去のヒット作3つと、最近の3つの作品の概要
(2026.7.18 AM7:00現在)
作品名『サレタ男の門出と、シタ女の遅すぎる後悔』
ジャンル:恋愛
タグ:浮気、二股、寝取られ、大学生、サレタ視点、シタ視点、第32回電撃小説大賞、一次選考通過
話数:57話
文字数:147405文字
フォロー数:3581
★評価:3248/評価者数:1215
PV数:1458287
♥評価合計:24965
読者コメント数:1131
作品名『彼女の秘密を知った僕は、逃亡を謀った。』
ジャンル:恋愛
タグ:婚約、失踪、恋人、秘密、一人称
話数:46話
文字数:100751文字
フォロー数:3361
★評価:2772/評価者数:1029
PV数:1133460
♥評価合計:15158
読者コメント数:534
作品名『幼馴染で恋人の彼女は、僕を見ていない。』
ジャンル:恋愛
タグ:幼馴染、高校生、浮気、セックス、寝取られ、ドロドロ、崩壊
話数:26話
文字数:34088文字
フォロー数:3507
★評価:2210/評価者数:891
PV数:1398806
♥評価合計:9850
読者コメント数:417
作品名『死せるアラサー、生ける後輩を走らす』
ジャンル:恋愛
タグ:アラサー女子、20代男子、修羅場、同僚、会話劇、地雷原、週末模様、恋人未満
話数:18話
文字数:43204文字
フォロー数:145
★評価:154/評価者数:59
PV数:7150
♥評価合計:548
読者コメント数:28
作品名『滅びの魔女は、今日もおにぎりを頬張る』
ジャンル:現代ファンタジー
タグ:転生、古文、魔女、新米教師、魂の因果、文系インドア女子、学園コメディ、ササニシキ
話数:112話
文字数:258051文字
フォロー数:137
★評価:85/評価者数:32
PV数:12339
♥評価合計:1246
読者コメント数:116
作品名『迷い迷われ、それでも僕らは』
ジャンル:現代ドラマ
タグ:幼馴染、思春期、中学生、高校生、成長、初恋、自立、家族の死
話数:67話
文字数:220538文字
フォロー数:366
★評価:259/評価者数:94
PV数:29995
♥評価合計:3009
読者コメント数:66
※補足:私は読者さんに対して「♥評価ください」や「★評価が低いとモチベが下がって続きが書けません」などというクレクレ発言をしたことがありませんし、そういうのはカッコ悪いと考えていますので、忖度や脅しによる上乗せ的な数値は無く、純粋に読者さんが自主的に評価してくれた数値だと認識しています。
一言で言えば、PV数に圧倒的な差があります。
以前は、100万越えるPV数2~3千のフォローと★評価を達成していますが、最近はかなり寂しい数値です。
この結果の理由を自己分析すると、過去作は「寝取られ」「浮気」「逃亡」「二股」といった流行りの題材を前面に出して、初回から読者さんを呼び込もうとしています。そして実際に寝取られやざまぁ展開、復讐など流行りの題材を期待するライトユーザーが大量に流れ込んで来ました、
対して、最近の作品は、そういった手法を排除しています。「流行りの題材を前面に出すことを止めた」ということです。
実際に、「死せるアラサー~」は修羅場のみ。「滅びの魔女~」は転生ものの皮を被った新米教師物語。そして「迷い迷われ~」は幼馴染関係の深掘りと。
他の作家さんなら、自分の勝ち筋が出来上がれば、似たような作品を連発して、PVや★を稼ごうと考えるかと思いますが、私の場合は逆行しているわけです。
同じような作品ばかり書いててもつまらないっていうのもありますが、ぶっちゃけると、ヒットするのに成功しても、今考えると、それほど嬉しくないっていうのもあるんですよね。
どうしても、「ヒットしたのは流行りの題材にのっかったおかげ」というのがぬぐえない。もちろん、流行りの題材ならなんでもかんでもヒットするわけじゃないし、実際にNTR作品ばかり書いている作家さんは多いけど、それほどヒット作が多くでていないのが現状で、自分のヒット作は流行り以外の要素(独自性、構成力や文章力、心理描写やリアリティの拘りなどなど)もあるからだとは分かっていますが、上記で分析したように、意図的にライトユーザーを引っ張り込んでいる以上は、流行りの題材によるボーナス点が大きいのは疑いようのない事実。
というのを、この1年ほど考える様になりまして、最近は意図的に流行りの題材を外したり、逆張り作品を書くようになった次第です。
それで、本題の『迷い迷われ、それでも僕らは』ですが、この作品は幼馴染ものでありながら、流行りのNTRや負けヒロインといった話は一切でてきません。浮気もライバルもなし。純粋に幼馴染男女二人の話です。
ですが、気付いた人がいるかは分かりませんが、主人公男女二人の視点で物語が進むのはヒット作の『サレタ男の門出と、シタ女の遅すぎる後悔』とよく似ています。
つまり、題材や展開は違うけど、構成や配置などの構造は結構似ているんです。でも、結果には大きな差が出ています。こうなることは分ってはいたので悲観することは全くないのですが、逆に嬉しい発見がいくつもありました。
■それは、PV数や★評価での比較ではなく、読者さんのアクション。
♥評価/PV数(読んだ後に♥評価する確率)
⇒エピソードごとで、読んだ読者が「いいね」と意思表示してくれた割合。
フォロー数/PV数
⇒読者さんが「続きを読みたいから」とチェック対象にしてくれた割合。
★評価者/PV数
⇒読んだ読者さんが「この作品は面白い」と評価してくれた割合。
コメント数/PV数
⇒読んだ読者さんが意見や感想などを「述べたい衝動」が湧いて実行した割合。
この4つのアクションは、上から下にいくほど、面倒な(手間がかかる)アクションになり、割合が低くなるし、意味も大きくなると考えています。
で、上記の作品を比較すると
『サレタ男の門出と、シタ女の遅すぎる後悔』
♥評価合計/PV:1.712%
フォロー/PV:0.246%
★評価者/PV:0.083%
コメント/PV:0.078%
『彼女の秘密を知った僕は、逃亡を謀った。』
♥評価/PV:1.337%
フォロー/PV:0.297%
★評価者/PV:0.091%
コメント/PV:0.047%
『幼馴染で恋人の彼女は、僕を見ていない。』
♥評価/PV:0.704%
フォロー/PV:0.251%
★評価者/PV:0.064%
コメント/PV:0.030%
ヒット作での目立った数値は、♥評価が1%(100人に一人が「いいね」と推す)を超えるかどうかが肝に感じます。
またヒット作のなかでも「サレタ男の~」は読者のアクション%で見ても、高い水準であること。
では、最近の作品
『死せるアラサー、生ける後輩を走らす』
♥評価/PV:7.664%
フォロー/PV:2.028%
★評価者/PV:0.825%
コメント/PV:0.392%
『滅びの魔女は、今日もおにぎりを頬張る』
♥評価/PV:10.098%
フォロー/PV:1.110%
★評価者/PV:0.259%
コメント/PV:0.940%
『迷い迷われ、それでも僕らは』
♥評価/PV:10.032%
フォロー/PV:1.220%
★評価者/PV:0.313%
コメント/PV:0.220%
このように%にして読者さんの読後の行動をヒット作と比較すると一目瞭然で、逆転現象が起きているのです。
(コメント総数や♥評価総数は、話数の違いも影響するので、純粋に比較するなら÷話数もする必要があるかと思いますが、更に複雑にするとわかりづらくなりそうなので、今回は÷話数はしませんでした)
カクヨムで実際に作品(そこそこPVがある)を公開したことがある人なら分かると思いますが、♥評価がPVの1割って凄い数値です。化け物クラスと言ってもいいくらい。
PVと♥の推移って、よっぽどバズらないとガンガン下降していくものなんです。それこそ、途中を読むのがダルくなって、「結末だけ分かればいいや」という作品なんかは、じゃんじゃん下降して最終話だけ極端にPVだけが高くて♥は下降したままとかも結構あります。
ですが、本作はPVが途中から横ばいで、さらに♥はPV以上に安定していた。具体的には、序盤のエピソードは各話900~700PVに♥が60~50でそこそこ伸びていますが、中盤以降はPV300~400程度に♥は40~50でほぼ横ばいで、PVは確かに減っても♥は気になるほど減っていなくて、私の経験ではこういった推移はかなり珍しいです。
その理由は恐らくですが、幼馴染ものだからと流行りの展開を期待して読み始めたライトユーザーが序盤で脱落して、純粋に作品を楽しんでくれている読者さんが残った状態になったと推察しています。
つまり、私が意図的に流行りの題材を排除しても、作品を楽しんでくれる読者さんが300前後は居て、その1割以上の人が「いいね」と評価してくれたということかと。
この作品は、お隣に住む幼馴染男女の認識のズレや、関係性が深まる様子を20万文字以上使って、少しずつ少しずつ積み重ねるように描いています。
ようは、ライトノベルやテンプレ作品の速い展開や派手な展開などのような展開重視作品とは真逆です。キャラ造形もツンデレとかヤンデレなどの安直設計はしていません。矛盾を抱えたデリケートな思春期を深掘りした人物像なので、ラノベ読者の好むような内容ではありません。
読者さんからのレビューで、「文体はライトノベル寄りですが、中身はライトノベルと現代文学のハイブリッド」とありましたが、まさにそうで、軽い文体から「ありきたりの幼馴染ものか」と読み始めると、徐々に徐々に難しい内容(もしくは、ハードな内容)になる構成で、序盤の10話くらいでPVがガクっと減って、脱落読者発生状況が数値にも表れています。
PVが伸ばせない負け惜しみに聞こえるでしょうけど、作者としてはこれが狙いだったんですよね。作家としてはやはり、「流行りの題材だから」よりも「この作者の作品だから」とか「この心理描写の深掘りは、他では読めない」とか、そういう動機で読者さんが読んでくれるほうが圧倒的に嬉しいんです。
私の主観もありますが、本作は数値データが私の望むべき結果を裏付けていると分析できて、狙いが成功していたことがとても嬉しかったんです。
■ほかにも嬉しかったのが、完結後にフォロー数が伸びたこと。
カクヨムで完結まで作品を書いたことのある人なら分かるかと思いますが、どんなヒット作でも完結した途端、フォロー数ってガクっと減るんです。むしろ、ヒット作ほど流行りの題材が動機だったライトユーザーが読み終わったら興味を無くして、ガンガンフォローを外すのでしょうね。
けど本作でも、フォローを外した読者さんはゼロではありませんでしたが、それ以上に新たにフォローする人が上回ったということです。
私のID自体のフォロワーさんには作品が完結したアナウンスが流れるので、おそらくそれを見て「こんな作品があったのか」とか「エタらずに終わったのなら読もうかな」というフォロワーさんがフォローしてくれたのだと思います。
■さらにもう1つ、読者さんのコメントに関して。
私の作品は展開よりも人間描写の深掘りが売りなので、読者さんのコメントも、登場人物へ向けてのものが多いです。それは過去作でも最近のものでも。
特に過去のヒット作は、寝取られや裏切りが題材なので、否定、肯定、怒り、喜び、考察、予想などを長文で議論するものが非常に多かった。
対して本作では、人物へのコメントが多いのは同じでも、議論になるような題材ではないので、見守るような短文コメントが多かった。つまり、NTRや裏切りのほうがコメントしたい衝動が起きやすいのでしょうけど、そうじゃない題材でもコメントを貰えるというのは、非常にありがたい反応だと気付けたこと。
この作品を書いて公開して、これに気づけたことが、一番の収穫だったように思えます。
全67+2話で20万文字超という長編にもかかわらず、最後まで俊介と薫の二人を応援してくださり、ありがとうございました。
ながながと小難しい理屈をならべましたが、PV数に囚われずに自分の書きたいものを書くというのは、ストレスなく気楽で楽しいものです。
これって実は、初めて小説を書いたばかりのころの心境に近いのかもしれませんね。