『想いは一方通行で、届かず霧散した。』の最終話までの公開が完了しましたが、番外編エピソードがありますので、応援して下さった読者の皆様への感謝の気持ちを込めて、コチラで公開します。
最終話の最後のシーンのお話になります。
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#番外編 想いが届いた後の蛇足
僕のプロポーズに大興奮のミヅキは、全身で喜びを表す様に飛び掛かって来たので咄嗟に受け止めると、押し倒されて顔中を舐め回すようにキスされた。
「おおぅ!?」
「ヒーくんッ!だいしゅき!!!」ぶちゅぅぅ
「お、落ち着くんだ。浴衣がはだけておっぱいが見えちゃってるぞ。帯を締め直して一旦座ってお茶を飲んで一息ついたら、残ってるケーキも食べてしまおう。そして『ヒーくん』と呼ぶのは止めろ」
「ムリッ!」ムフームフー
馬乗りになってギンギンな眼つきで僕を見下ろすミヅキは、鼻息荒く叫ぶと僕の浴衣も脱がせて、今度は体中にキスをし始めた。
露天風呂でミヅキの裸体を散々視姦してからガマンしてるのに・・・いや、正式に交際開始してからずっとガマンしていた。なのに、初恋からずっと憧れだった恋人にここまでされたら僕だって後には引けない。ヤル気爆上げだ!
念願だったミヅキとの初セックス、29年の僕の人生全てを出し切ってやる!
* * *
一戦を終えた僕達は畳の上で全裸のまま抱き合い、全身汗だくで息も絶え絶えに余韻に浸っていた。
「ヒーくん、顔に似合わず、凄いんだもん・・・」はぁはぁ
「ミヅキと、初めてだったからね。めちゃくちゃ頑張ったよ」はぁはぁ
正直に言うと、アキコに『セックスがつまらない』と言われたことが頭を過り、ミヅキにまでそんなことを思われたくないという想いもあって、かなり必死だった。
でもそのお蔭かミヅキを満足させることが出来た様だし、久しぶりに僕もセックスでの一体感や達成感を得られ、終わった後も気持ちが高揚していた。
「ふぅ。張り切り過ぎて、ノド乾いた」
体を起こして座卓にあった急須から冷めたお茶を湯呑についで飲むと、ミヅキも「私にもちょーだい」と言うのでミズキの分も湯呑についであげたら、キスする時の様に唇を尖らせて「ちゅーでちょーだい❤️」と甘えてきた。
「しょーがないなぁ」
口にお茶を含んで口移しで飲ませようとくちづけすると、舌を捻じ込まれて口内で僕の舌に激しく絡ませてくるから口からお茶がぼたぼた零れてしまい、ミヅキの豊満な胸にびちゃびちゃと垂れた。
「もう、何やってんの」
「零れちゃったね」うふふ
そう言っていたずらっ子の様に笑うミヅキが超絶可愛い。
それにしても、アラサーのすっぴんでも笑顔がこんなにキュートなのは、ミヅキくらいなものだろう。
それに1度したお蔭か、明るい所で僕に裸を見せても恥ずかしがらなくなった。
胸に垂れたお茶をティッシュで拭いてから、その辺に脱ぎ散らかしてた浴衣を拾って肩にかけてあげると、ミヅキは「ありがと」と言って浴衣の袖を通して帯を締めずに前がはだけたまま、胡坐で座ってた僕のまたぐらにお尻を乗せて座り、抱き着いて来た。
間近に迫った顔に髪がかかってたのを耳にかけてあげると唇に軽くキスされて、少しだけ神妙な表情になって語り始めたので、二重まぶたの長いまつ毛と大きな瞳に見惚れながら話を聞いた。
「あのね、ヒーくんに内緒にしてたことがあるんだけど」
エッチの最中に散々ヒーくんと呼ばれ、既に僕も慣れてしまった。
「うん?なに?怖い話?」
「怖い話じゃないんだけど、ヒーくんのアパートで共同生活始めた最初の夜にね、リビングのソファーで寝てたでしょ?覚えてる?」
「ああ、あの時ね。いつの間にかミヅキも僕のとこで寝てたね。寝顔を観察してたんだよね」
「うん、そのことなんだけどね、えと・・・実はあの時・・・」
なんだ?
ミヅキには珍しくハッキリしないな。
「怒らないで聞いて欲しいんだけど・・・」
「寝てる僕に悪戯でもしたの?」
「・・・うん・・・キスしたの」
「え!?ウソでしょ?寝てる僕に???」
「・・・うん。あの日、すぐに助けに来てくれて凄く嬉しかったし・・・寝顔が可愛くて、つい?」
「マジか・・・全然気づかんかった」
「しかも・・・10回くらい?」
「はぁぁ!?10回もぉ!?」
「だって、全然起きなかったんだもん」
もし、その時に僕が起きたら・・・って、今更悔やんでも仕方無いか。
「ミヅキも色々溜まってたんじゃない?よく今まで我慢出来たねって、ちょっと待って? ミヅキの部屋で居候始めて直ぐの頃にも似たようなことなかった?」
「そ、そんなこと、あったっけ?」
ミヅキの目が泳いだ。心当たりがあるのに惚けてるな?
以前ミヅキはアキコのことで『女は平気で夫でも家族でも騙せる』と言ってたけど、ミヅキ本人に関してはウソ付くのが下手な様だ。
「思い出した。ミカコさんにアキコから内容証明が来たこと話した日だ。ミヅキがミカコさんに『どこまでが不貞行為になりますか』って質問してた日。風邪ひくからちゃんと布団で寝ないとダメだって僕が注意した時だよ」
「・・・」
「あの時もキスしたの?」
「・・・1回だけ、したかも?」
「うわぁ、流石にそれはマズイわ。 あの頃、僕、まだ離婚してなかったじゃん」
「だって、ミカコさんがほっぺならギリOKって言ってたもんッ」
「やっぱりキスするつもりで聞いてたのか。って今更言っても仕方無いか」
「怒らないの?」
「怒らないよ。でも寝てたのが凄く勿体ない気分だよ。どうせキスするなら起きてる時にして欲しかったかな」
「そうなんだよねぇ。私もヒーくんが結婚考えてた話聞いて、勿体ないことしたなぁって思ったもん」
「まぁ、今こうして二人で居られるのなら」
「うん、そうだね。今なら好きなだけキスできるもんね」チュ❤️
今が幸せなのは間違いないけど、こうして思い返すと、ルームシェアしてた頃、お互いが好意を抱きながらもその想いはお互いに一方通行で空回りするばかりで届くことも交わることもなく、僕は一度諦めたしミヅキはずっと燻り続けた訳で、結果的には色々遠回りして結ばれることになったけど、本音では『今が幸せなんだから良かった』とは簡単には割り切れない複雑な心境だ。
「あ、そう言えば、他にも聞きたかったことがあるんだけど」
「うん?今度はなに?」
「アキコちゃんと離婚で揉めてた時に浮気の証拠の中に相手の男とトークしてたのを写したのあったでしょ?」
ミヅキもあれを見てたのか。
と言うことは、アキコに僕とのセックスがつまらないと言われてた事も知ってると言う事か。
「うん、あったね」
「あの中で、アキコちゃんが『旦那とのセックスはつまらない』とか言ってたでしょ?」
やっぱりか。
しかも、どストレートに聞いてくるし。
恰好悪いから知られたく無かったけど、時すでに遅し。
「うん・・・」
「ヒーくん、アキコちゃんに手加減でもしてたの?」
「手加減?」
「うん。だってさっきのエッチ、お世辞抜きで凄かったよ?初めてのエッチなのに私の弱いとこ的確に攻めてくるし、あんなに何回もなんて・・・私、経験人数ヒーくんの前は一人だけだしエッチの経験だって片手で収まるくらいしか無くて、するのもすっごく久しぶりだったけど、それでもヒーくんのエッチが凄いのは分かったよ?」
経験人数一人なのは意外だ。
「それに、このデカチンだし?」
そう言って、丸出しのままの僕の股間にチラリと視線を向け、恥ずかしそうに視線を逸らした。初心な様子から、経験が少ないというのは本当のことのようだ。
「なんかもう途中から訳わかんなくなる感じ?あれでつまらないとか、どんだけ!?って思ったもん」
「まぁ、手加減ってわけじゃ無いけど、アキコとする時ってDVの元被害者だからって凄く気を使って体に負担がかからないようにかなり慎重に丁寧にしてたから」
「あーなるほど。ヒーくんのサイズ大きいから、気を使って凄く大人しいエッチしてたんだね。 でも、そのせいで浮気されちゃったんじゃないの?」
「それ言われると、反論できねぇ」
あの頃は僕もずっとそういう後悔の想いがあった。
そして今も、気にして意地になったりしてる。
「私にはそんな気遣い必要ないからね?むしろ、望むところよッ!デカチンかもんッ!って感じだし」ムフ❤️
「ふふ、何それ。 でもありがと。そう言ってくれると、凄く嬉しいよ」
「それに私、こんな歳になっても経験少ないから、多分ヒーくんを満足させてあげられてないと思う。だから、これからは沢山頑張るから色々教えて欲しいの。したい事とかして欲しい事あったら遠慮なく言ってね?」
嗚呼、ミヅキと一緒になって良かった。
僕の思い描いてた恋人や夫婦像って、こういう事なんだよな。
伴侶としての責任も大事だけど、お互いに思いやって、僕の為にしてあげたいって気持ちがあるのが判るからこそ、どんな苦労や困難にも頑張れるし、救われるんだよね。
もしかしたら、僕達はお互い遠回りして辿り着いたからこそ、こんなことを思えるようになれたのかもしれない。そう考えると、これまで僕達が歩んできた道は無駄では無かったのかもしれないな。
「その気持ちだけでも嬉しいよ。でも、無理しなくてもゆっくりでいいから、いつまでも仲良く過ごそうね」
「無理なんてしてないよ?私がシタいの。目覚めちゃった感じ?昔経験したころはエッチなんて全然好きになれなかったけど、こんなに気持ち良くて満たされた気持ちになれるんだったら、勿体ぶらずにヒーくんともっと早くからシテおけば良かったって思ったんだよね。だから今はすっごくシタくてたまんないの」
そう言って、熱のこもった眼差しで僕を見つめる。
休憩は十分。半裸のミヅキをまたぐらに乗せて抱きしめてたお蔭で股間も既に臨戦態勢、僕もシタくてたまらない。
「じゃあ早速2回戦目行く?」
「うんッ、行こう!」
「あ、でも畳の上だとヒザとか痛いから、お布団のとこ行こうか」
「じゃあ、お布団までヒーくんがだっこしてッ!」
「エェー、すぐそこじゃん」
「いいからッ!お姫様だっこねッ!」
「しょーがないなぁ」
ミヅキを抱え上げようとしたタイミングで、座卓に置いてあった僕のスマホが通話着信のメロディを喚き出し、チラリと画面へ視線を向けるとマリの名前が表示されていた。
マリとは和解して以来、たまにネコやランチの画像を送って来ては感想を求められ、ふざけたやり取りを何度かしていたけど、あれ以来直接会うことは無かったし通話だってしたことは無かった。
なのに、こんな時間に通話なんてなんだろう?とは少し気になったけど、そんなことよりも今はミヅキとのエッチが超最優先任務なので無視しようとしたら、僕の腕の中に居るミヅキもスマホの画面を見てしまい、マリからの通話着信だと気付かれてしまった。
「電話、立石さん?」
「うん、そうみたい。でもほっとこう」
「出たら?」
さっきまで甘々ラブラブだったミヅキから笑顔がスッと消えて無表情になり、真っすぐに僕を見つめた。
その眼差しからは、凄いプレッシャーを感じる。
怖い。
仕方ないか。
1ミクロンもマリに未練など無いし、後ろめたいことなど一切無いと分かってもらう為に、ミヅキにも聞こえる様にスピーカーモードにして通話アイコンをタップした。
『もしもし、こんな時間にどうした?』
『ヒビキ!今ピンチなの!助けて!』
『はぁ?』
『お願い!直ぐに来て!』
誕生日にSOSの電話。
なんだかデジャブ。
今は伊豆の温泉旅館でお泊りデート中で、愛知のマリのとこに今から行くなんて物理的に無理だし、そもそも、ミヅキにプロポーズした後二人で楽しく過ごしてる最中に元カノのとこに行くなんて天と地がひっくり返っても有り得ない。いくらお人好しの僕でもそこまで愚かでは無い。
それに、マリには僕がアキコとの結婚した経緯を話してたから、もしかしたら、それを真似した悪戯の可能性もある。
(案の定、後日ミヅキが情報網を駆使して調べたところ、僕がアキコと結婚した切っ掛けだった誕生日に助けを求められたことを真似すれば僕とヨリを戻せると画策しての電話だったらしい)
因みに、ミヅキと付き合い始めたことは直接マリには教えて無かったけど、浮かれたミヅキが地元の友達連中にも見境なく自慢しまくってたので、マリが知っててもおかしくない。
兎に角、何だろうと無理だとお断りしようとしたら、僕が話す前にミヅキがマリに向かって話し始めた。
『近藤ミヅキだけど、ヒーくん、今私と熱いバースデイナイトを超ラブラブに楽しんでる最中なの。邪魔しないで』
無表情のまま凄く冷めた口調でそう言って挑発すると、マリが何か言う前に通話を切ってしまった。
「お、おおぅ?」
僕が驚いていると、ミヅキは「高2の時の仕返ししちゃった」とニコリと超絶可愛い笑顔に戻り、「早くぅ、だっこしてぇ❤️」と両手を僕の首に伸ばして甘えてきた。
高2の時にマリに見せつける様に僕と仲良くしてたら、ミヅキに対抗心を燃やしたマリが僕に告白して付き合い始めたことを『柏木くんを盗られた』とミヅキは言っていた。ミヅキにしてみれば、横取りでもされた心境だったのかもしれない。恐らくそのことを言ってるのだろう。
流石、ミヅキ。『いつまでも黙って大人しくしてるようなヤワな女じゃないから』と言ってただけのことはある。
お蔭で僕も、昔マリに捨てられた悔しさがなんだかスッキリした気分だ。
直ぐにまたマリから通話がかかってきたけど電源ごと切って、甘えるミヅキをお姫様だっこでお布団まで運んだ。
初恋でずっと憧れで腐れ縁からフィアンセになった近藤ミヅキは、どうやらマリからの電話で対抗心に火が点いた様で、驚くほど一回戦目よりも更にエロく情熱的で、あんなことやこんなこともしてくれて、まだまだ僕の知らなかった姿を沢山見せてくれた。
番外編、お終い。
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実は、最終話ラストシーンを考えた時に一番最初に頭に浮かんだのがこのマリからの電話のシーンだったんですが、最後にマリを出すのはなんか違うと思いなおしてボツにした経緯がありました。
それと、共同生活初日の夜の真相(#09 誕生日の夜更け)や『旦那とのセックスがつまらない』とアキコが言ってたことにミヅキが言及する場面をどこかに入れたかったのですが、文字数の都合(15万文字に収めたかった)で諦めました。
あとオマケで、冒頭の柏木くんが「落ちつくんだ」と宥めてるシーンは、柏木くんを本当に大好きなミヅキと、好きなフリして告白したアキコのシーン(#20 決意と誓い)との対比になってます。
それらをまとめて1つのエピソードにしたのがこの番外編で、文字数的には2話分くらいになってしまいましたけど、作者的には書きたかったことはこれで全て書けたと思います。
因みに、ミヅキさんは普段は柏木くんへの好意は隠してましたけど、意図せず、もしくは意図して好意が漏れ出てしまっているのを表現したくて『ムフ❤️』と言わせてました。なので、柏木くん相手にしか『ムフ❤️』は言いません。
約2ヵ月余り毎日更新して全66話+1でしたが、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
そして、本作でもフォロー、★評価、♡に応援コメント、ギフトを沢山頂きまして、ありがとうございました。最近の作品は低迷ばかりしてたので、とても嬉しいです。
オマケで次回作に関しまして。
既に執筆が終わってまして、タイトルは『バネ屋とAIと中の人』
明日朝7時から公開開始しますので、そちらも是非よろしくお願い致します。