「これ、中国のお前、娘をもらってくれんか?」
「え? いいんですか? オレ日本にこれからも住むんですか?」
「そうじゃ」
「え? じゃあわたしも先生のよーになりたいなあ。仲間の印をつくりたいんすよ」
「だったら、ん~~、どーするかなー、、、名字って中国にもあるだろ?」
「そんなものは、お高い人だけのことかと思ってた」
「ワシ、持っとるんや。確かな〜~、他田、お、さ、だ、っちゅうんや。この国の一番偉い人と結びつけてあるから」
「じゃあそれを名乗るのはダメすか?」
「ん~~、娘婿やしな。ここで一応名字勝手につくって自己満でお前の仲間に言っときな」
「そうっすね。他田に傷つけるかもしれないからそうします」
「あのな、めっちゃ偉い人はこの意味不明な名字って、めっちゃ気にすんねん」
「わたしは逆に隠そう隠そうとするタイプですね」
「じゃあそうしろ」
「はい」
とか、
そんな感じが最初だったんじゃないかと。
それでなんで隠そうとするかと言うと、
例えば、傳田とか、最初、嬉しくて言いふらしてて、
仲間にも使っていいよとかしたら?
不手際を隣町でしちゃって?
「傳田って奴はいねーか?うちのモンを傷つけやがって!」
とか、
クレーマーが来ちゃうから?
目眩ましで?
敢えて金もなく貧相な不幸な振りして?
家で騙されてる人を嘲笑ってたと。