《人知の平原》統一暦:星灯暦(せいとうれき)
■ 概要
「星灯暦」は、大陸北部にある広大な「内海」の環境変化と、そこを行き交う交易船のサイクルを基準に定められた太陽太陰暦である。
この世界において、物流の大動脈である内海が閉ざされることは「死」を意味し、開かれることは「生」を意味する。そのため、港湾都市のみならず内陸の国々であっても、経済の鼓動を把握するためにこの「船乗りたちの暦」を採用している。
■ 暦の構造
* 1年 = 10ヶ月(計280日)
* 1ヶ月 = 4週 × 7日(計28日)
■ 各月の詳細と経済サイクル
【 春 】交易の幕開け
冬が明け、物流が活性化する喜びの季節。
* 1月:方舟月(はこぶねづき)
* 〜巨船の進水〜
* 年始の月。冬の間にドックで修繕・建造された大小様々な商船(=富を運ぶ方舟)が一斉に海へ下ろされる時期。商談が成立し、街に活気が戻り始める「契約の月」でもある。
* 2月:航海月(こうかいづき)
* 〜全船出航〜
* 内海特有の偏西風が安定し、最も航海に適した月。バイレスリーヴなどの港からは、毎日数十隻の船が東西へ向けて出港していく。旅立ちと挑戦の時期。
【 夏 】魔物と嵐の脅威
気温の上昇に伴い、海が牙を剥くリスクの季節。
* 3月:竜月(りゅうづき)
* 〜海路の警戒〜
* 水温上昇により、深海から危険な海竜や魔物が浅瀬へ回遊してくる時期。商船は護衛を雇う必要があり、海産物の価格が高騰する。冒険者にとっては稼ぎ時となる。
* 4月:嵐神月(らんしんづき)
* 〜強制的な停滞〜
* 季節性の強烈な嵐が内海全域を荒らす月。多くの船はリスクを避けて港に停泊するため、物流が一時的に滞る。市場の在庫管理が問われる「忍耐の月」。
* 5月:癒月(いやしづき)
* 〜凪と修復〜
* 嵐が去り、嘘のように穏やかな凪が続く時期。損傷した船や港湾施設の修復が行われ、再び物流が正常化する。嵐の後の漂流物(貴重な資源)が拾えることもある。
【 秋 】最大の繁忙期
自然現象を利用した夜間航行と、収穫のピーク。
* 6月:収穫月(しゅうかくづき)
* 〜富の集積〜
* ガリヴェール平原の穀物や各国の特産品が港に集結し、輸出入がピークを迎える。船の積載量が限界まで達し、港は一年で最も多くの金と物で溢れかえる。
* 7月:夜光月(やこうづき)
* 〜不夜城の海〜
* 内海に生息する発光プランクトンが爆発的に増殖し、海面が青白く輝く月。夜でも視界が確保できるため、商船は昼夜を問わず24時間体制で航行を続ける。
* 8月:泡沫月(ほうまつづき)
* 〜海流の贈り物〜
* 潮流が複雑に変化し、海面が泡立つ時期。この海流に乗って、特定の海域でしか採れない希少な海産物や鉱石が水揚げされる。珍品を求める商人たちが色めき立つ。
【 冬 】閉鎖と安息
海が荒れ、あるいは凍り、物理的に交易が不可能になる時期。
* 9月:静寂月(せいじゃくづき)
* 〜海の封鎖〜
* 北からの寒波により内海が荒れ狂い、航海が不可能となる。すべての船は母港へ戻り、海から人の姿が消える。物流が止まるため、人々は備蓄で冬を凌ぐ。
* 10月:再誕月(さいたんづき)
* 〜次なる季節へ〜
* 厳しい冬の終わり。来たるべき春の航海に向けて、船員の手配や資金の計算、船のメンテナンスを始める時期。一年の無事を祝い、次の商売繁盛を祈願する。
■ コメント
「生活」に直結したカレンダー。商人や船乗りだけでなく、一般市民も「もうすぐ嵐神月だから、今のうちに小麦を買っておこう」「夜光月だから夜通し働くぞ」といった具合に、実生活の指針としてこの暦を使っています。