【宗教概要】世界信教ウニヴェリア
■ 概要
《人知の平原》における人類の精神的支柱であり、少なくとも二千年の歴史を持つ絶対的な宗教。
「天上の秩序をもって地上の繁栄となす」を教義とし、主要な15柱の神々を正神として祀る。各都市にはその都市の守護神を祀る大聖堂が置かれ、街道の辻や村には祠が存在する。
人々の生活、冠婚葬祭、商売、戦争に至るまで、全てがこの神々の加護と権威の下にあるとされる。
【天上を統べる主神】
英雄の神 ゾーディア
(司るもの:雷・天空・王権)
神々の王にして、秩序と雷霆の主。
全ての英雄と君主の守護者。雷を武器とし、悪や混沌を打ち砕く「正義の象徴」として描かれる。帝国の皇帝や騎士団が熱狂的に信仰する、最も権威ある神。
守護の神 ヘレイラ
(司るもの:婚姻・嫉妬・女性の守護)
ゾーディアの妻であり、家庭と婚姻を守る女神。
浮気や裏切りを決して許さぬ「嫉妬」の側面も持ち、契約不履行や不貞を働いた者には厳しい罰(社会的制裁や不運)が下ると恐れられている。
【都市と文明の守護者】
旅の神 ヘルムス
(司るもの:伝令・金・商売・境界)
翼のあるサンダルを履いた、交易と旅人の守護神。
バイレスリーヴのような交易都市で最も信仰されている神の一柱。商人の利益を守る一方で、「盗賊や詐欺師の神」という裏の顔も持ち、清濁併せ呑む貨幣経済の象徴。
知略の神 ミーネル
(司るもの:知恵・工芸・戦術)
兜を被った知的な女神。
単なる暴力ではなく、知恵と技術によって文明を守る。学者、建築家、そして軍師たちが信仰する。魔術師たちの守護神としても扱われることが多い。
鍛冶の神 ヴルカノス
(司るもの:火山・炎・鍛冶・技術)
醜いが屈強な身体を持つ、炎と鉄の神。
武器を作る鍛冶師や、工房の職人たちが崇める。火山の噴火は彼の怒りであるとされ、災害を鎮めるための生贄が捧げられることもある。
【自然と豊穣の恵み】
大地の神 デメーターラ
(司るもの:農耕・大地・穀物)
ガリヴェール平原で絶大な信仰を集める豊穣の母神。
彼女の機嫌が損なわれれば飢饉が訪れるため、収穫祭では最も盛大に祀られる。大地の揺るぎない慈愛の象徴。
豊穣の神 ディアネイア
(司るもの:狩猟・森林・純潔・月)
弓を持つ孤高の処女神。
「黒き森」などの未開の地や野生動物を支配する。狩人や、純潔を誓う聖職者たちが信仰する。彼女の聖域を荒らす者には、獣による死が与えられる。
季節の神 ペルセファル
(司るもの:春・芽吹き・乙女・季節の循環)
デメーターラの娘であり、冥界と地上を行き来する女神。
彼女が地上にいる間は春となり、冥界へ去ると冬が訪れるとされる。「再生」や「変化」を望む人々が祈りを捧げる。
海洋の神 ノーデンス
(司るもの:海・泉・地震・馬・塩)
三叉の槍を持つ、気まぐれで荒々しい海の王。
内海の船乗りたちが最も恐れ、敬う神。嵐や地震は彼の癇癪とされる。バイレスリーヴの「巨大海門」には、彼を鎮めるための祭壇が設けられている。
【人間の業と感情】
美の神 ヴェネラ
(司るもの:愛・美・性愛)
泡から生まれたとされる、最も美しい女神。
恋愛成就の神であると同時に、売春宿や愛人たちの守護神でもある。愛のためなら理性を捨てさせる、甘く危険な力の持ち主。
酒の神 バッコル
(司るもの:快楽・酩酊・狂気)
葡萄酒と祝祭を司る陽気な神だが、その本質は「理性のタガを外す狂気」にある。
信徒は酒を飲み、踊り狂うことで神と一体化しようとする。過度な信仰は理性を崩壊させ、人を獣へと変えると言われている。(※物語上の敵対者バッコルは、この神の名を騙る怪物、あるいは神の悪性が受肉した存在とされる)
戦争の神 マールクス
(司るもの:戦争・災厄・流血)
血に飢えた軍神。
勝利をもたらすが、同時に災厄と死も撒き散らす畏怖の対象。平和な時代には忌避されるが、戦乱の世となれば、どの国の兵士も彼の名を叫んで敵を殺す。
予言の神 アペリオン
(司るもの:予言・芸術・音楽・医療)
太陽のように輝く、理知と調和の男神。
神託を下す「予言者」たちの守護神であり、吟遊詩人や医師も彼を崇める。疫病を流行らせるのも、それを治すのも彼の矢一つであるとされる。
【生と死の理】
家庭の神 ヴェスパー
(司るもの:竈・家庭・聖なる火)
特定の神像を持たず、家の「竈(かまど)の火」そのものを神体とする女神。
最も身近な神であり、日々の食事と家族の安寧を見守る。異郷の地で野営をする際も、冒険者は小さな火を焚いて彼女に祈る。
冥界の神 ハイデス
(司るもの:地下・冥界・富・死)
地下資源と死者の魂を管理する、冷徹な王。
死を司るが邪悪ではなく、万人に平等な「終わり」を与える存在。地下の鉱脈も彼の所有物であるため、鉱夫たちからは「富の神」としても信仰される。
【異端・禁忌の神々】
ウニヴェリア教団によって信仰を禁じられ、歴史から抹消されたり、災厄として恐れられている存在。
常闇の神 デヒメル
(司るもの:闇・夜・隠蔽・反逆)
かつて光に背いたとされる堕ちた神。
「黒き監視団」などの裏社会の住人や、暗殺者たちが密かに崇拝する。ウニヴェリアの光が届かない場所で、弱者や罪人の嘆きを拾うとされる。
深海神 ルヌラ
(司るもの:深淵・狂気・異形・忘却)
ノーデンスよりも深く、光の届かない海底に潜むとされる古き神。
人の精神を蝕む「海からの呼び声」の主。この神を信仰する者は、エラ呼吸の異形へと変わり果て、二度と陸には戻れないと言われている。漁師たちの間では、その名を口にすることさえタブーとされる。