こんばんは。通院モグラです。
前回会話劇をノートに投稿した際、いいねやコメントをありがとうございました。
味をしめて、セリフを自然にこのキャラが言いそうな語彙や言い回しで繋げる練習をもっとしてみたいなという気持ちになり、書いてみました深夜ラジオ風会話劇…!
ラジオは日中に職場でBGMとして聞き流しているタイプなのですが、深夜ラジオはちゃんと聞いたことがないので、深夜ラジオっぽいのかの保証はございません。
しかし実際書いていたのは夜勤中の寝てはならない深夜2時あたりだったので、そこはちゃんと深夜テンションの産物でございます…!(笑)
このラジオ編は本編の補足というか、本編の設定を作る上で参考にした現実のネタなどを話題に、ゆるりと連載形式でやってみたいと思います。
あとは何かの間違いでこのノートを読んでくださった方が、本編にも興味を持ってくださるかもしれないという下心も込めて公開していきます(笑)
番組タイトルがそれでいいのか、拙作のキャラのテンションと話題でラジオは成り立つのかなど、ツッコミどころ多々ありますが、深夜のお供に楽しんでいただけたら嬉しいです。
質問は…万が一もしされる事があったら、答えられる範囲でお答えできればと思います(笑)
◤Eden/ラジオ編
深夜の救難ゆる談義◢
第一夜「誰がこんな番組通したんですか?」
(SE:ジャンクなジングル。軍用無線のノイズに、なぜか陽気なBGMが乗る)
ハンニバル「みなさんこんばんはー。
時刻は深夜。起きてる人は眠れない人か、夜勤の人か、反省文を書かされてる人かのどれかだと思います。
そんなあなたの耳元に、今夜もぬるっと不時着。
『J-MET12プレゼンツ・深夜の救難ゆる談義』のお時間でーす」
(SE:ぱちぱちぱち、拍手は少ない)
ハンニバル「お相手は、J-MET12主席医官、命の味方で書類の敵、ハンニバルこと私です。よろしくどうぞ」
トリガー「敵である自覚はあるんだな」
ハンニバル「あるよ。堂々とある。
で、今の冷えた声が、我らがJ-MET12指揮官、トリガー大佐です」
トリガー「番組企画の稟議書を読まずに通した上層部の判断能力を疑っている。トリガーだ」
ハンニバル「開始三十秒で上層部にケンカを売る男。さすが大佐。
そしてこちら、番組中、急に音声レベルが行方不明になる原因第一位。私の専属護衛、J-MET12所属、元・殺す専門、今・救う側見習い、エデンくんでーす」
エデン「……エデンです」
ハンニバル「声が小さい。ラジオだよラジオ。全国のリスナーに向けてもう一回」
エデン「……エデンです」
ハンニバル「うーん、ギリ聞こえた。生きててえらい」
トリガー「こいつの発話を引き出せるのがお前だけだから成立してる番組だな」
ハンニバル「でしょ。実質、私は希少技能保持者」
エデン「……技能」
ハンニバル「技能だよ。さてこの番組、何をする番組かといいますと――」
トリガー「未定だ」
ハンニバル「やめろ。始まって一分で夢を折るな。
えー、『J-MET12プレゼンツ・ 深夜の救難ゆる談義』は、
リスナーのみなさんから届いた質問や相談、愚痴や“これ誰に聞けばいいの?”っていう医療系・軍隊系のモヤモヤに、J-MET12の三人が、眠気とカフェインと反省文の合間に、ゆるっと答えていくラジオでーす」
エデン「……質問、来るんですか」
ハンニバル「来る来る。たぶん。来い。頼む。
初回だからね、今日はまず自己紹介を兼ねて、三人がどういう人間なのかをざっくり説明しつつ、事前に届いた質問に答えていこうと思います」
トリガー「その“事前に届いた質問”とやら、本当に外部からか?」
ハンニバル「半分は私。四割は看護兵。残り一割はたぶんミロク」
トリガー「自作自演か」
エデン「……ミロクさん、こういうの好きそうです」
ハンニバル「好きだよねえ。絶対ラジオネーム凝るしね」
(SE:紙をめくる音)
ハンニバル「えーと、まずは番組のお約束。
このラジオは、夜間待機中のJ-MET12所属回転翼機、“ナイトフォール”の機内からお送りしております。もし途中で“ピコン”とか“スクランブル”とか物騒な音がした場合――」
トリガー「その瞬間から、この番組は強制的に“無”になる」
ハンニバル「雑に言わないで。えー、“急な出動により、番組は予告なく手術室と血の匂いに切り替わる場合があります”。以上、医療部隊クオリティの注意事項でした」
エデン「……それ、注意になってるんですか」
ハンニバル「なってる。たぶん。
――じゃ、記念すべき最初のおたよりいきまーす」」
(SE:カチッ、とスイッチを切り替える音。
安っぽいシンセのジングルが無線ノイズに飲まれてフェードアウト)
―――――――――――
■おたより①「まず、どんな人たちなんですか?」
―――――――――――
ハンニバル「ラジオネーム、“三交代制の亡霊”さんから。
『まずは皆さんの自己紹介が聞きたいです。どんな経歴なのか、ざっくり教えてください』
はい出ました、初回を助けてくれる優等生質問。ありがとー」
トリガー「番組を立て直す役目は本来、お前にあるはずだがな」
ハンニバル「そこをリスナーに甘えるのが深夜番組。じゃ、順番的に私からいきますか。
改めまして、コールサイン・ハンニバル。階級は少佐。軍医です。専門は救急、戦傷外科、前線トリアージ。
つまり、撃たれた人、刺された人、爆ぜた人、潰れた人、まだ息があるならとりあえず拾いに行く仕事してます」
エデン「説明が雑すぎる」
ハンニバル「でもだいたい合ってるでしょ。
出身は関西圏だけど、別に関西弁は使いません。期待されるけど使いません。
好きなものは甘いもの。チョコバー。差し入れは24時間受け付けてます。
嫌いなものは粉っぽい食べ物と、粉っぽくないのに“勝手に紛失していく書類一式”。
特技は、患者を一目見て“これはやばい”を秒速で嗅ぎ当てることと、隊員の名前を覚えられないので勝手にあだ名をつけることでーす」
トリガー「後者は特技ではなく、被害報告の対象だ」
ハンニバル「でも浸透してるから実質公式。
経歴は……まあ、ふつうに軍医科大学出て、ふつうじゃない現場をいくつか回って、“希望者が少ないエリア”をうろうろしてたら、なぜかある日、今しゃべってる大佐に指名されてこの部隊に飛ばされました。
気づいたら指揮官が空を見てるし、護衛はほぼ喋らないし、看護兵たちは忙しすぎて妙に肝が据わってるし、でもまあ、命を拾うにはいい場所だったから居ついた感じ」
エデン「……“居ついた”で済ませる経歴じゃない気がする」
ハンニバル「命拾いの現場なんて、だいたい居ついたもん勝ちだよ。はい次、空から来たひと」
トリガー「断る」
ハンニバル「却下。リスナーが聞いてるの。ほら、やさしく自己開示して」
トリガー「自己開示を“やさしく”要求するな。
……トリガー。階級は大佐。J-MET12の指揮官だ。航空搬送統括、戦術指揮、空中観測支援を担当している」
ハンニバル「平たく言うと?」
トリガー「飛んで見て操って拾う」
ハンニバル「急に雑!」
エデン「……でも、たぶんその通りです」
トリガー「元は戦闘機乗りだ。AIが空を埋め始める少し前、“まだ人間を乗せる意味がある”と判断されていた世代の、最後の方の遺物だな」
ハンニバル「はい出ました、遺物発言。
この人ね、めちゃくちゃ操縦上手いんですよ。異常に。病的に。空間把握が人間やめてる」
トリガー「お前の触覚偏重の診断も大概だろう」
ハンニバル「褒められた。やった」
トリガー「褒めてない。
経歴について詳しく話す気はないが、政治的に面倒な事情でここに来た。その結果、形も秩序もなかった部隊を拾って組み直した。それが今のJ-MET12だ」
エデン「……最初は、もっとひどかったんですか」
トリガー「部隊名だけあって中身がなかった。医療、救難、搬送、武装、全部が中途半端。命令系統も曖昧。あれを部隊と呼ぶのは書類上の方便だな」
ハンニバル「そこに左遷されてきたトリガーが、はいはい壊れてるなら組み直しましょうねって全部再編したんだよね」
トリガー「ついて来られないものは落ちた。それだけだ」
ハンニバル「そういうとこだよ。好きなものと嫌いなものも言って?ほら、親近感を」
トリガー「無糖コーヒー。豆類。嫌いなものは甘味全般。趣味はフライトログの解析」
ハンニバル「おもしろくなさすぎて逆におもしろい」
エデン「……でも、指揮官は本当にそれを楽しそうに見ます」
トリガー「壊れかけた記録ほど面白い。そこに操縦者の癖が出る」
ハンニバル「ラジオなのに急に玄人向けの話になったな。よし、次。みんな大好き無口枠、エデンくん」
エデン「……みんな、ですか」
ハンニバル「少なくとも私は好き。ほら、自己紹介」
エデン「……エデン。J-MET12所属。護衛。制圧。医療補助。あと……秘書業務」
ハンニバル「そう、ここ大事。秘書業務。この子ね、護衛なのに私の報告書の修正と清書もやってくれるんですよ」
トリガー「“やってくれる”じゃない。お前が壊滅的だからだ」
ハンニバル「結果として助かってるからヨシ。で、エデンは元々、特殊任務側の兵士。殺すための訓練を長く受けてきた」
エデン「……戦闘経験は、十五年くらい」
ハンニバル「長いよねえ。二十代前半の重さじゃないのよ。
で、いろいろあって廃棄されかけてたところを、うちの指揮官が拾ってきた」
トリガー「拾ったというより、用途を変えた」
エデン「……その言い方は、正しいです」
ハンニバル「でも今はね、救う側にも立ってる。
まだ本人は“慣れてない”って顔してるけど、手はもう、殺すだけの手じゃない」
エデン「……まだうまく、できません」
ハンニバル「できてるよ。少なくとも、私の患者、かなりの人数が“エデンが運んだから”生きてる。
……はい、照れたところで、好きなものとか嫌いなものもどうぞ」
エデン「……好きなものは、白米。塩肉。冷水。
嫌いなものは……味が混ざる料理、です」
ハンニバル「出た。シチュー敵視勢」
トリガー「お前は毎回、それを面白がって出すな」
ハンニバル「だって面白いじゃん。
シチュー見て微妙な顔する一九二センチの元特殊兵。ラジオじゃ伝わらないのが惜しい」
エデン「……だめ、ですか」
ハンニバル「だめじゃない。かわいい」
エデン「…………」
トリガー「停止したぞ」
ハンニバル「CPUが熱暴走した。
はい、これがだいたいの自己紹介です。
雑に言うと、空の指揮官と、地獄の医者と、元人型兵器が、同じ部隊で深夜にだらだら喋ってる番組です」
トリガー「雑すぎる」
エデン「……だいたい合ってます」
―――――――――――
■おたより②「J-MET12って、どんな部隊?」
―――――――――――
(SE:紙をめくる音。どこかでヘッドセットがガサッと鳴る)
ハンニバル「続いてのおたより。ラジオネーム、『寝不足の点滴係』さんから。
『J-MET12って、実際どんな部隊なんですか? 普通の医療部隊と何が違うんですか?』
はい、広報的に一番ちゃんと答えなきゃいけないやつ来ました」
トリガー「珍しく、お前に危機感がある」
ハンニバル「今日はちゃんとやるよ。初回だからね。
さて、J-MET12。正式名称は、“統合軍医療救難小隊第12班”。これだけ聞くと、『あー、なんか医療の人たちね』で終わっちゃうので、もうちょっと噛み砕くと――
『普通の部隊が“行きたくない”“間に合わない”って言いがちな場所に、わざわざ飛び込んでいって、ギリギリの命を強引に引っぺがしてくる部隊』です」
エデン「……前線。内戦区域。テロ現場。崩落事故。通常の救急搬送が、届かない場所も対象」
トリガー「回収対象は、軍人、民間人、邦人、時に敵勢力を含む。こちらが“患者”と定義した瞬間から、国籍も所属も、その場では関係ない」
ハンニバル「ここテスト出ます。大事。うちは基本、“助ける相手を好き嫌いで選ばない”のが建前であり、半分くらいは本気です。残り半分は“書類上の事情”です」
トリガー「最後の一文を、さらっと混ぜるな」
ハンニバル「いやだって、“敵兵を助けた理由”とか、後でめちゃくちゃ聞かれるんだよ?『だって死にそうだったから』で済ませたいのに」
エデン「……それは、理由としては、正しいと思います」
トリガー「正しいが、書類にはもう少し文字数が要る」
ハンニバル「そういうところでエデンくんの“秘書業務”が活躍するわけですよ。
――で、普通の医療部隊と何が違うか。
まず、最初から“動く前提で組まれている”こと。病院に患者さんを“運んできてもらう”んじゃなくて、“患者のいる場所そのものが地獄”なケースに、部隊ごと突っ込んでいく。
そこである程度まで処置して、まだ間に合うなら、引っぺがして空から連れ帰ってくる」
エデン「……だから、医療班も護衛も、同じ機体に乗る」
トリガー「その機体を俺が操縦する。上空から地形と風と射線を見て、どこまでなら医療班を降ろせるかを決める。その範囲を維持するために、時には“撃たせる場所”すら指定する」
ハンニバル「こわ〜。上でこの人が全部見て計算して、下で私たちが、拾って、繋いで、運ぶ。
エデンみたいな護衛がいるから、医療班だけの部隊より、ずっと奥まで突っ込める」
エデン「……護衛しながら、進路も確保します。倒すのは目的じゃなくて、“通路を開けるため”」
ハンニバル「そう、それ。名言出た。録音して着信音第二弾にしよ。つまりJ-MET12は――“救急×宅配便×格闘ゲーム”みたいな部隊です」
トリガー「最後の要素が余計だ」
エデン「……でも、分かりやすい、かもしれません」
ハンニバル「でしょ? “時間制限付きで命を回収する”って意味では、格ゲーより容赦ないよ。
――真面目に言うとね。
J-MET12は、“助けるためなら、必要な範囲でけっこう物騒なこともできる医療部隊”です。救命と安全確保と搬送を、ひとセットでやる人たち、みたいな」
トリガー「広報に出すなら、“空と地上を一体運用する医療救難専門部隊”あたりだな」
ハンニバル「さすが公式文書製造機。今のセリフ、そのままパンフレットに載せよう。
というわけで、J-MET12って名前を聞く事があったら、『あ、今どこかで誰かのギリギリの命を、ヘリと変な医者と無口な護衛と物騒な指揮官が引っ張ってるんだな』くらいに覚えてもらえたら嬉しいです」
(SE:遠くでナイトフォールのエンジン音がぼうっと高まって、また落ち着く)
トリガー「……今のところ、アラートはない。続けろ」
ハンニバル「よかった。初回から“はいここで爆心地に突入でーす☆”とか嫌だからね。
――というわけで、今日は“自己紹介&J-MET12って何者編”をお送りしました。
次回は、もうちょっとゆるい質問にも答えていきたいと思います。『夜勤中に眠気を吹き飛ばす方法』とか、『上官に提出する反省文の字数を減らすコツ』とかね」
トリガー「後者に答えると、俺の机の前に人が並ぶな」
エデン「……並びますね」
ハンニバル「じゃあそのうち、“反省文スペシャル”やろっか。タイトルは『J-MET12プレゼンツ・今日のごめんなさい』」
トリガー「嫌な番組だ」
ハンニバル「ということで、お別れの時間が近づいてまいりました。『 深夜の救難ゆる談義』、お相手は――」
エデン「……エデンと」
トリガー「トリガーと」
ハンニバル「ハンニバルでした。
夜勤のみなさんは、どうか無事故で。
おふとん勢のみなさんは、スマホを置いて目を閉じて。
どっちもちゃんと朝を迎えられるように、空のどこかで、たぶんうちのヘリがうろうろしてます。
それじゃあみなさん、いい夜を。
また次の深夜に、お会いしましょー」
(SE:エンディングジングル。チープなメロディに、無線のノイズがかぶさり、最後に「ビーッ」というトーン音と共にぷつんと切れる)