こんばんは、通院モグラです。
今回は拙作『Eden』のキャラクター紹介第3回ということで、医療部隊指揮官という脇役ポジションにいながら、誰より描写コストを要求してくる存在、トリガーというキャラをご紹介いたします。
主人公エデンが隠されるような過去もなく、明確な思想を持たないまま物語がスタートしたある意味「これから積み上げる」キャラだったのに対して、
トリガーは既に「一度終わりを迎えた」キャラで、「ここから掘り下げる」という視点でスタートしていました。
指揮官という立場にいながらMBTI分析だとハンニバルにENTJ(指揮官型)を奪われておりますが、出てきた分析を見てみるとトリガーとハンニバルは仕事上相互補完が噛み合うタイプのようで、作中割といい感じに連携できているのもその影響かなぁ…と妙な納得感がありました。
それではお楽しみ頂けたら幸いです。
◤J-MET12 医療心理戦略文書
Character File:TRIGGER◢
「J-MET12戦術指揮担当官。元戦闘機パイロット。
俺は“トリガー”。火種に触れる前に、俺の判断が介在する。それだけのことだ」
記録担当:J-MET12臨床心理士/第三派遣群 カウンセリング担当官(代行)
(※対象の医療記録には最高階位コード【A-α】以上の承認が必要です)
(※……ってこれ、何のコードですか?いやマジで。え、わたしこのファイル開けていいんです?え?え?音声入ってるし……やだこわ)
【基本データ】
性別:男性
年齢:30代(正確な登録記録なし)
出身:████(旧特定信仰自治共生区 ※現・不認可区域)
階級:大佐
所属:統合軍医療救難小隊第12班/戦術指揮・航空搬送統括
専門:航空操縦/空中観測指揮/演算補正機動/衛生部隊戦術配置
身長:185cm
戦闘経験:████████
【過去・経歴】
本名不明。
幼少期に旧特定信仰自治共生区████関連施設で教育を受けた記録が断片的に残る。区域は既に廃区化され、詳細確認は不可能。
後に国家機密下の飛行訓練プログラムに例外措置で編入。
無人機・AI操縦が主流となり、有人機パイロット制度がほぼ廃止された現代において、【███▇▇▆▌ERROR:LOG_CORRUPTED_026】
以後、政治的判断によりJ-MET12へ“医療部隊指揮官”として転属。
航空機を用いた現場指揮、搬送演算、戦術制御を単独で担い、医療部隊でありながら“上空からの演算者”として作戦全体に干渉している。
◾️MBTI分類:INTJ(建築家型)◾️
①興味関心【I:内向型】
「喋らない」のではなく「必要がないから喋らない」タイプ。
常に観察者であり、無駄な言動を避ける。場に介入するのは、構造の破綻を防ぐためであり、感情的な関心ではない。
誰かの混乱にも動じず、必要があれば“引き金を引く”判断だけを残す。
興味の対象は人間より「構造物」であり、生身のコミュニケーションより気流・重力・座標系の方が親しい。
②認識傾向【N:直観型】
彼の世界は因果と構造の連続体であり、「なぜこうなったか」よりも「このあと何が崩れるか」に全神経が向いている。
彼にとって「見えていないもの」は存在しないのではなく――まだ名づけられていない予測対象に過ぎない。
特に空中戦・航空搬送においては、“空”を読むことで異常に正確な制御を可能にしており、機体の傾斜や風速、周囲の鼓動の変化すら予知に近い反応速度で回避・操作する。
これは直感というより、感覚と理論が完全に融合した構造理解の産物。
なお、部下の報告は聞いてないわけではない。ただ、先に見えているので聞く必要がないだけである。
③判断基準【T:思考型】
判断の主軸は一貫して「機能と合理性」。感情やドラマ性には重きを置かず、命の扱いすらも構造的選別の一環とする。
また、“空”への執着が思考の根幹を支配している。
なぜなら、空には嘘がないから。風は意図を持たず、機体は嘘をつかず、浮力と重力は常に正しい。
結果的に誰よりも命を救っているが、誰よりも命に興味がなさそうなのが難点である。
④外界への反応【J:判断型】
計画・判断・実行の全てを高速処理し、状況を即座に制御下に置く。
動線、物資、人的資源――必要ならすべてを最適配置する構造主義者。
ただし彼自身は、規則に従って動いているわけではない。
構造を壊すものには冷酷、ただし構造を拡張する逸脱には寛容。
つまり「空から見て帳尻が合えばOK」という恐るべき自己基準を持つ。
◾️その他メモ◾️
好きな食べ物:無糖コーヒー、豆類
嫌いな食べ物:甘味全般
趣味:フライトログの解析・再演算
特技:強襲型回転翼機を片手で制御し、1m未満のズレでホバリング
(空間構造を機体ごと“身体拡張”として使いこなす異常適応力が見られる)
コミュニケーション:冗談を言わないが、皮肉を好む。質問への返答は必要最小限、ただし情報量は過剰。
◾️本人のコメント(採録)◾️
「“建築家”ね。……ああ、設計図を描いて、壊す方のな」
「壊れてから直すのは医者の仕事。俺は、壊れる前に構造を組み替えるだけだ」
「俺を知りたい?なら、空に聞け。俺がどこまで堕ちたか、よく知ってるはずだ」
◾️臨床心理士の音声記録(※録音再生ログより)◾️
記録媒体:J-MET12/心理観察ログ03
録音者:臨床心理士B(※現在は配置転換済)
再生ファイル状態:再生可能/音質安定/後半に記録乱れあり
──再生開始──
「……本記録は、トリガー大佐との心理面談第1回(観察試行)の音声記録です。今回は安全基準に基づき、防弾・遮蔽ガラス越しでの対面方式を採用しています。えー……物理的距離は三メートル。十分、のはず……です」
(マイクのガサつき、記録端末起動音)
(ガラス越しに椅子の脚音。遮蔽窓の向こう、影が立ち上がる)
「──っ……え……あの……す、すみません、ええと……防弾ガラス、ちゃんと入ってますよね?」
(少し間をおいて、静かな呼吸)
「お前が信じるなら、入ってるんじゃないか?」
(心理士、喉を鳴らす)
「い、いやその、物理的な保証の話で……あの……大佐、本日はお時間いただきありがとうございます。えっと……まずは簡単なご質問から……“ご趣味は……”」
(無音。ガラス越しの視線が動く)
(数秒沈黙後、トリガーの低い声)
「……そうだな。
雲底の下限で機体を失速させて、揚力を手放すタイミングを測る。
──面白いぞ。どこで堕ちるか、機体が教えてくれる」
(心理士、ペンを握ったまま硬直)
「し、趣味じゃない……それ趣味って言わない……!?」
「……違うか? 個人の快楽だが」
「こ、こっ、個人の!?」
(心理士、無言。息が詰まる)
「……顔、近いな」
「ッ!? い、いえ!? 別に近づいてません! ガラス越しです!」
(わずかな金属音。ガラスに光が反射)
「距離なんて関係ない。お前の視線、焦点が揺れてる。──0.8秒周期で」
「ちょっ……!? 目ぇ読まないでください!?!?」
(深呼吸)
「じゃ、じゃあ……“最近、心が落ち着く瞬間はありますか?”」
「機体降下中に、尾翼が沈黙した時。音も振動も消えて、ただ空気が裂ける音だけになる。あれは、静かでいい」
「……(小声)こわ……美しい顔で言う内容じゃないんだよなぁ……」
(再び沈黙。心理士が紙をめくる音)
「じゃ、じゃあ……“感情の起伏をご自身で感じることは?”」
「……感情が必要か?お前が撃たれる時、それが必要か?」
「ギャッ、ひっ、いやいや違う違う、私じゃなくて、あの、一般論としての……っ、っ、質問がですね!?!? いや、撃たないでください!?」
「まだ違う。……だが、判断が遅いな」
「ひぃッ!?」
(椅子が軋む。ガラスの向こう、トリガーがわずかに首を傾ける気配)
(心理士、椅子を引く音)
「……お前の鼓動、速いな。ガラス越しでも聞こえる。
……録音機より正確だ」
「やめてください!?!?!?!?!?」
(録音にノイズ。誰かが椅子を蹴る音)
(沈黙。視線が正面から突き刺さっている)
「その端末。どこにデータを送る仕様だ?」
「は……?端末、ですか?あ、ああこれ……録音です。心理記録用の……」
「クラウドか?内部保存か?外部転送はあるか?解析経路はどのサーバを通る?」
「えっ!?ええと、なんか、ええと、上に出すファイルと、残すファイルがあって……(なんで説明してるんだ私!?)」
「記録とは、発言の抽出ではない。“意図の運搬”だ。
俺の意図が、どのルートで、どの意図にすり替えられるかを確認している」
(心理士、無言でタブレットを抱きしめる)
「ま、まさか、それを撃ち落とすつもりじゃ──」
「必要なら。
記録とは、視界の代替。
……俺の視界を、勝手に別の誰かの視点で“補完”されるのは不快だ」
(沈黙。椅子が軋む音)
「記録は中立で──!」
「“中立”などという主観は存在しない」
(心理士、椅子からずり落ちる)
「わかりました!じゃあっ、あの、録音はトリガー大佐の許可下で、逐語検閲にしますから!全部、大佐の目を通します!だからその視線で焼き切らないでください!!!」
(数秒の沈黙)
(トリガー、小さく鼻で笑ったかのような音)
「……ようやく会話になったな」
(録音がぶつっと乱れ、椅子が引かれる音)
(突然、至近距離で声が落ちてくる)
「安心しろ。撃ちはしない。
お前は、まだ“観測対象”だ」
(悲鳴。録音者、転倒音)
──録音、停止。
──再生終了。
備考:
この面談以降、心理士Bは正式に配置転換を申請。
心理士用端末は全て“トリガー大佐専用暗号化復号権限”を通さねば起動しない仕様へ更新された。
なお、機密保護の観点から、録音内容の一部は████処理されている。