こんばんは。通院モグラです。
書きたいテーマから書きたいように書き散らかしてきたので、いい加減小説を書く時のセオリーを学ぼうかな…と、最近ネットで検索し始めて、様々な有識者の知見を勉強させて頂いているのですが、めちゃくちゃ出てくるのは「表現力を上げたいなら五感を使え」というワードでした。
五感と言えばこれですね。
• 視覚
• 聴覚
• 嗅覚
• 味覚
• 触覚
でも人間の感覚って五感じゃ全然足りないじゃないですか。
温痛覚とか平衡感覚とかはどこに含めて考えてるんだろ…と思いつつ読み進めたら、なんと「触覚」に分類されていたんですよね。
それを読んで「あ、なるほど」と思いました。
視覚、聴覚、味覚、嗅覚は感覚としてこれ、っていうものが誰もが共通してわかりやすいけど、「触覚」は情報として整理されづらいんだな、と…。
これは新鮮な発見でした。
ただ五感はというものは古典的な分類で、「外界からの刺激」を大きく5つに分けただけの、ざっくりしたカテゴリ分類なのです。
なので今回は、私が意識的に使用している(描写できているとは言っていませんよ!意識してるだけです!!笑)生理学的な感覚の分類をノートにまとめてみようと思います。
例によって稚拙な長文ですが、興味のある方に楽しんで頂けたら幸いです…!
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まずはざっくり3カテゴリに分けられてます。
①特殊感覚
②体性感覚
③内臓感覚
①特殊感覚
脳の近くに専用の器官があって、特定の刺激だけを感じる感覚です。
• 視覚:目(網膜)
• 聴覚:耳(蝸牛)
• 嗅覚:鼻(嗅上皮)
• 味覚:舌・口腔の味蕾
• 前庭感覚(回転・加速度・平衡):三半規管・前庭
先程話していた五感は殆どここですね。
実は「小説の書き方」ではあまり言及されてない、前庭感覚と言われるものがここに入ります。いわゆるバランス感覚とか「酔った」「落ちた」時の感覚ですね。
特に戦闘シーンなどはこの感覚がキャラの中では大量発生していると思いますし、身体能力の高さが直結する部分の感覚でもあるので、私の中では割と文字数の優先度の高い感覚です。
ところで……「触覚」はどこに行った?と思われたでしょうか。
実は触覚は専用の器官で感じる感覚ではなく、全身で感じてる感覚なので、ここには含まれていないんですね!
この後出てきますので、次の感覚をご説明していきます。
② 体性感覚
身体全体からの感覚で、更に二つに分かれます。
•表在感覚:皮膚で感じるもの
•深部感覚:身体の内部で感じるもの
表在感覚(皮膚由来)はこれです。
• 触覚:接触、圧迫、振動など
• 温度覚:冷たい/温かい
• 痛覚:鋭い痛み・鈍い痛みなど
やっと出てきました!触覚はここですね。
キャッチする感覚器官が同じ「皮膚」なので、「小説の書き方」などでは生理学的な分類を意識せずとも自然に「触覚」の中に「温痛覚」が入れられていたのかな〜と思います。
深部感覚(=固有受容感覚)は馴染みのない方も多いと思いますが、無意識レベルで常に使っている感覚でとても重要な感覚です。
言われると「ああ、確かにあるな」となる感覚なんですが、少なくとも「小説の書き方」ではほぼ言及されない感覚ですね。
• 位置覚:目を閉じていても、関節の曲がり具合、手足の位置がわかる
• 運動覚:関節がどちらの方向へどれくらい動かされているかがわかる
• 重量覚・圧覚の一部:物の重さや、自分の身体にかかる深い圧力の感覚
筋紡錘・腱紡錘・関節受容器などが情報源で、「自分の身体の姿勢と動き」を脳に送り続けてるラインがここになります。
この感覚があるから、人は真っ暗な部屋でもコップを口まで持っていけるし、自分の足がどちらを向いているかをいちいち見なくても歩けるわけですね。
③ 内臓感覚
その名の通り、内臓からの信号です。
• 胃の不快感・吐き気
• 心臓がドキドキする感覚
• 膀胱が張ってトイレに行きたい感じ
• 腸の張り、腹痛
心理描写とセットで使われてる印象が大きい感覚ですが、心理も内臓ですからそれはそうなりますよね(笑)
ちなみに痛み(内臓痛)はここにもあって、つまり「痛み」というものは皮膚・深部・内臓と複数の感覚系にまたがる現象なんですよ。
痛みの書き分けを意識しはじめたら、もはやエンタメというより純文学の域なのかもしれませんが、身体へのダメージの入り方を書き分ける時に便利かもしれませんね。
◇
さて、生理学的な感覚分類について長々と書かせて頂きましたが、更にここには存在しない感覚についても少し考えてみました。
超人的なセンスをもつキャラクターは数多く創造されていますが、いわゆる創作の「第六感」的な感覚は、固有受容感覚をベースに複数の感覚を使って発現している、と解釈するのが自然かな、と思います。
拙作ですとトリガーという空間認知とヘリ操作を得意とするキャラクターがいますが、彼は「固有受容感覚+前庭感覚+視覚+触覚」が異様に発達しているという設定で書いています。
もう少し詳しくお話しすると、スポーツ選手がラケットやクラブを「自分の手足の一部のように感じる」現象は、主に「固有受容感覚(深部感覚)の拡張」とされています。
固有受容感覚は本来、
• 自分の関節の角度
• 筋肉の張り
• 力の入り具合
• 重心の位置
を感じる感覚だとご説明しましたが、スポーツ選手の場合、これが「身体 → 道具まで含めた身体スキーマ」に書き換えられているんです。
どういうことかというと、脳の中には「自分の身体はここからここまで」という 身体地図(ボディスキーマ) が存在します。
このボディスキーマが、繰り返される学習によって脳の処理で以下のように変化するのです。
初心者のラケット
• 「手で“持っている物体”」
• 身体の外側にある異物
熟練者のラケット:
• 「手首の先が少し長くなった」
• 「指が延長された」
つまり、ラケットの先端位置・角度・速度が、“手首や指の位置情報”として固有受容感覚に統合されてるんですね。
トリガーの場合はこのボディスキーマがヘリや空間にまで拡張された固有受容感覚の持ち主、という設定にしています。
というかおそらく創作の凄腕パイロット系キャラクターは皆この感覚の持ち主だと思われます。「ニュータイプ」的な超感覚も、機体とのシンクロ率とかも、いわばここの感覚なんじゃないですかねぇ…?
が、書く側が凄腕パイロットの感覚を想像で補うには限界があるので、自分は「◯覚の拡張版として描写してみよう」というのを意識して文字を選ぶようにしています。そうすると語彙の選択に迷った時に打開策が浮かぶようになりました。
ちなみに軍医キャラのハンニバルですが、彼女の感覚は触覚が核にあり、固有受容感覚を今触っている患者の身体に拡張して、
• 指が今どの深さにあるか
• 何mm進めば、次にどの層に当たるか
• 自分の指が、相手の身体のどこをなぞっているか
というのを目を使わなくても把握できる、という形で書いてみています。
拙作Edenの第六章、触覚縛りのシーンは殆どこの理論で構成していました。
こういうふうに感覚を理解しておくと、いわゆる天才キャラの「勘」や「センス」にあたる部分の描写を分解して具体的に再構築しやすい気がします。
まあ読んでくださる方にどう思われてるのかはともかく、自分はトリガーもハンニバルも別に天才キャラとは思わず、ただの感覚特化の変態だと思って書いているんですが…(笑)
専門分野のプロフェッショナルって大体こういう感覚持ってる人のことを言うのではないでしょうかね…!
いかがでしたでしょうか。
小説における感覚の出力の仕方は、その書き手さまの個性が出る部分でもあるのかな…と思っていて、自分もお作品を拝読する時すごく注意して読んでいるポイントなので、「こんなふうに書いていますよ!」というのがあれば教えて頂けたら嬉しいです。
このノートについても何か思う事がございましたら、気軽にコメント頂けましたら幸いです〜!
それでは長文失礼いたしました。
引き続きよろしくお願いいたします!