第2話『女教皇』の前編を公開しました。
今回は、読んでくださる皆さんの心に「冷たい砂」が入り込んでくるような、そんな静かな恐ろしさを意識して書き進めました。
「自分が悪いんだ」と思っているとき、一番怖いのは、実は「沈黙」だったりします。
何も音が聞こえない場所では、自分の頭の中の「反省会」が、止まらなくなってしまうから。
ゆりえの前に現れた女教皇は、とても正しくて、とても冷たい存在です。
彼女が持っている鏡には、私たちが「人には絶対に見せたくない自分」が映っています。
そんな張り詰めた空気の中で、メルミが豪快に砂を掘り返してくれました。
あの「フガッ」という鼻鳴らし一つで、凍りついた世界にヒビが入る。
私はメルミを書いているとき、彼女の不格好な鼻先に、何度も「ありがとう」と言いたくなります。
目の前に出された、泥だらけのザクロ。
ゆりえはそれを「汚いから」と捨ててしまうのか、それとも……。
