• 現代ファンタジー

針一本、それだけの重さに救われることがあります。

第1話『魔術師』を更新しました。
今回は、ゆりえが「信じられないような高さ」を跳ぶシーンを、目一杯の力で書き上げました。

書いている間、私もゆりえと一緒に、息が止まるような目眩を感じていました。
「正しい道はこっちですよ」と、誰かに指差された最短距離の地図。
それを手放すのは、とても勇気がいることです。
「あんたは空っぽだ」と言われたら、そのまま崩れてしまいそうになる夜もあります。

でも、そんなとき。
足元でメルミが「フンッ」と鼻を鳴らしてくれたら。
錆びついた古い針一本でも、自分が「これが好きだ、これが大切だ」と思えるものを握りしめることができたら。
重力なんて無視して、どこまでも高く跳んでいける気がするんです。

魔術師が並べたピカピカの黄金よりも、
ゆりえが選んだ、不格好で、少し指先が痛むような「銀の針」。
この針が、これからどんな風に彼女のがま口を重くしていくのか、一緒に見守っていただけたら嬉しいです。

実は、noteの方ではこの「銀の針」と「魔術師」のちょっとマニアックな関係について、詳しく解体してあります(笑)。
もし「どうしてあんなに高く跳べたの?」と不思議に思ったら、いつか覗いてみてください。

さあ、次は霧の深い「森」の奥へ。
静かな、静かな、あの方に会いに行きましょう。

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