皆様、いつも異世界楽器店『フォールズ・インスツルメンツ』〜落ちぶれエリート、伝説を奏でる〜をお読みいただきありがとうございます。作者の浮子喜市です。
今日は、作者として非常にショッキングな……いえ、ある意味で「敗北」を認める報告をしなければなりません。
本作における私の当初の設計では、ヒロインの役割分担は完璧なはずでした。
• マリアンヌ: 感情の起伏が激しく、放っておくとハウリングを起こして暴走するメインボーカル。
• ジェニファー: そんな彼女を冷静に宥め、物語の位相(フェイズ)を正しく保つ「抑止力」。
そう、ジェニファーは、本作における「唯一の良心」であり「理性のリミッター」だったはずなんです。
……ところが、近々投稿予定の最新話を執筆中、恐ろしい事態が起きました。
作者である私が「ここは抑えめで」「騎士らしく冷静に」とプロットを指示しても、彼女が全く動かないのです。それどころか、彼女は私のキーボードを突き飛ばすような勢いで、「抑止力」という設定そのものを物理的に粉砕して突っ込んできました。
現在、彼女から放たれているのは、もはや騎士の規律ではありません。
マリアンヌがいない隙を狙って、全回路をショートさせるほどの高出力で「独占欲」をブーストさせた、極重量級の愛の音圧(プレッシャー)です。
私が「待て、それはやりすぎだ」「キャラが壊れる」とリミッター(制止)をかけようとしても、彼女の放つ120デシベルの熱情にかき消され、一文字も届きません。
• かつてのジェニー: 「マリー、落ち着くんだ」
• 現在のジェニー: 「……邪魔なノイズ(ライバル)は消えた。今、この空間の主導権(マスタリング)は私が握る」
……作者のあずかり知らぬところで、彼女は「暴走を止める側」から、「誰にも止められない暴走特急」へと勝手にジョブチェンジを果たしてしまいました。
この様子を横で見ていたジミ(例のアフロ)には、「ヘイ、作者。ベースがリードギターを食っちまうような、歪んだソロパートが始まってるぜ。お前の書いた譜面なんて、もう誰も見てねえよ」と笑われる始末。
次回の更新では、作者の制御を完全に振り切り、全人生を賭けて「突撃(チャージ)」を仕掛けてきた彼女の、重すぎる愛の波動が描かれます。
設定資料がシュレッダーにかけられたような気分ですが、作者の意図を超えて「生きて」しまった彼女の咆哮、ぜひ鼓膜を震わせてお待ちください。
……私はもう、彼女に「お静かに」と言う勇気がありません。
浮子喜市 拝(設定資料をゴミ箱に投げながら)