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トレモロ 2巻 3章 7話

2週間後。

ラファエルの家にクラウンはポンデケージョを買いに来た。

「いつもたくさんありがとうね!これ、おまけ。」

「ママさん、いつもありがとう!じゃまた来るね。バイバイ。」

「クラウン待って!アルトゥールの退院が決まったぞ。完治には後2、3ヶ月かかるけど、血色も良くなったし、なんでも食べれる様にもなったんだ。本人が助けてくれたお礼が言いたいから、ログハウスに行っていいか?って。」ラファエルが呼び止めた。

「うん!ブラストも会いたがると思う。いつでも来て!」クラウンは元気に手を振った。

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クラウンはナイトメアに乗って、ジャングルを駆け抜けた。

クラウンはポンデケージョを持って、スノー達がいる武道場に着いた。

「あれ?誰もいない。」

クラウンはスノーにコールした。

「帰って来たか。運河に来てくれ。川の汚染浄化装置の設置が始まってるぞ。シシッ。」

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大型の船が重機を乗せ、何隻かアースの黒船も見えた。

「クラウン!」ハニが手を振った。

「見て、アースから黒船と浄化装置が来た!」ハニはテンションが上がっている。

ミゲルがみなに向かって語りかけた。
「皆、揃ったな。これまでに我々とギルドで2週間で5ヶ所の違法業者の撃破した。まずは皆に感謝を伝えたい。ありがとう。これから、川の上流までの保安員の配置と浄化装置の死守、さらなる違法業者の撃破と、人手が足りなくなってきた。皆で話し合いたいと思う。ディスプレイを出してログインしてくれ。」

みなディスプレイを立ち上げた。

<運河の安全対策>

①自警団2部隊で川の上流までの警備と整備。
☑︎船と人員クリア。

②浄化装置周辺の警備。
国の協力で警備員2人確保。
欠員あり。

③違法業者の討伐。
自警団キングチーム、ギルドチーム、稼働中。
欠員あり。

④新たな稚魚の購入。
国からの資金の援助はあるものの物がない。
新たな購入先が必要。

みなディスプレイを読み終えると、ざわざわした。

「はい!」ハニが元気に手を挙げた。

「どうぞ。」ミゲルは手の平を開いて伸ばした。

「4番は、ギルドで対応できそうな案件です。依頼を出してみましょう。報酬はいくらですか?」

「稚魚の配達まで入れて、1000匹で100クレジットだ。」

「えっ!受けてくれる人いるのかな。ダメ元でよければ。」ハニはその場でギルドのクエストを出し、ミゲルはサインした。

「ハイハイ!」カルバンが元気に手をあげた。

ミゲルは手の平を開いて伸ばした。

「2番は街にいる戦士達に声をかけたら、やってくれるヤツらは多いと思う。今の自警団をみたら、3番だって手伝ってくれると思う。キングの村の人達にも声かけようぜ。」

キングがうなずいたのをみて、ミゲルは「では街に移り住んだ戦士達を再び集結させよう。報酬は、警備は5クレジット、違法業者の撃破は50クレジットだ。少ない金額だが、ギルドの皆も同じ金額でやってくれている。皆の協力で人手不足を解消しよう。解散。」

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3日後。

役所の広場に設置された、運河の安全対策メンバー募集のテントにクラウンとブラストは座っている。

「あーヒマ。誰も来ないね。」クラウンはポンデケージョを頬張った。

「安すぎるからだよ、きっと。オレだって4番の調達クエストはスルーするね。」ブラストもポンデケージョを頬張った。

「初日にキングの村の人が数人来ただけで、もうこないんじゃないかな〜。ふぁー。」クラウンはあくびをした。

「お疲れ。交代だ。これからアルトゥールが来るんだろ?いいなー。」「俺も見たかったー。」自警団員達はサッカーファンの様だ。

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午後、自警団のログハウス。

ラファエルの車が到着した。
ラファエルが車椅子を出し、扉が開くとアルトゥールの元気な姿があった。皆、歓迎の拍手をした。拍手の中、ラファエルが車椅子を押し、アルトゥールは手を振りながら自警団本部に到着した。

アルトゥールは痩せてはいるが、自力で立ち上がり、椅子に座っておどけてみせた。
「皆さん、助け出してくれて本当にありがとう。苦痛の日々を乗り越え、今こうしていられる事を幸運に思う。生き残った3人を代表して感謝と共に、カカオを受け取って下さい。」

みなでカカオの実を食べた。

「バナナとかライチみたいで美味いよね。」ブラストは美味しそうに食べている。

「彼らだよ。」ラファエルが車椅子を押してアルトゥールに紹介した。

「爆破の君かい?」アルトゥールは目を輝かせてブラストを見た。

「マジで元気になって、良かったです。これ、ご馳走様です。」ブラストは姿勢を正した。

「ありがとう、本当にありがとう!よく見つけてくれたよ。あの爆破の衝撃は忘れられない。青い光と黒い兎。」アルトゥールは感激した。

「あ!虎徹さんが黒い兎ね。」ブラストは虎徹を指差した。

「私の英雄達、スーパースピードで来てくれてありがとう。今はこんなだけど、何かの時には協力させてくれ。」アルトゥールは優しく握手した。

しばらく歓談し、ラファエルが記念撮影してくれ、みなに挨拶した。
「この後、アルトゥールはサッカー協会やスポーツ庁とも会う予定なので、そろそろ失礼します。皆さんのご活躍を応援しています。」

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ミゲルにキングチームとギルドチームが呼ばれた。
「これからの違法業者の討伐の計画を伝える。制圧した川よりさらに南下し、次の川の上流ポイントから攻めようと思う。これまでギルドチームのプランで成功している。意見はあるか?」

ギルドチームはクラウンを見た。
ミゲルもクラウンを見た。

「あのー。あ、やっぱやめた。」

「言ってみてくれ。君達のこれまでの働きには目を見張るものがある。」

「んー?怒らせたくないし、、。」クラウンは黙ってしまった。

沈黙の中、ハニが声をかけた。
「言ってみないとわかんないよ?ミゲルさんも怒らないよね?」ハニはミゲルを見た。

「ああ。約束しよう。」

「うーん、じゃあ。まず、みんなに聞くね。このままだと時間がかかり過ぎると思わない?僕たちずっとここではやっていけないし、それに・・・」

「待ってくれ!口を挟んですまん。参加は自由だ。君達を一生止めておけるなんて考えていない。」ミゲルは慌てて言った。

「えっ。ち、違います。僕もまだやれる事はあると思ってて、やり方を変えたいんです。」

「すまん。黙って最後まで聞こう。」

「えっと、ハニのやってる里山計画みたいな感じで、土地を奪われた人には住む家を、ジャングルの環境保護と再エネルギー可能な資源活用、あとは正当な報酬でこの街を繁栄させたいんです。これをまとめた計画って、なんてゆーんだっけ?」クラウンはハニを見た。

「事業計画書?」ハニが答えた。

「そう、それをこの国に出します。一度、僕らで大まかに書いてみます。それを今度は自警団のみんなと話し合って、国に通れば、もっと確実な協力がもらえます。ミゲルさんの話した、人員不足は大事な問題です。ふう。」クラウンは言い終わると、飲み物をがぶ飲みした。

「そうか、、。そうしないといけない時が来たんだな。いつまで経ってもか、、。うん。もう少し君達の話を聞かせてくれ。必要な物があれば言ってくれ。」ミゲルはカカオの実を頬張り、ドカッと腰を下ろした。

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続く。

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