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トレモロ 3巻 3章 4話



翌朝。

ポレポレの所にみなで向かった。
「ササー。揃ってるねー。」テンション低めのポレポレが出て来た。

「ササ。なんかテンション低くない?」クラウンは言った。

「昨日のご飯が美味しすぎて、ついつい飲み過ぎたよ。ハーブティー飲めば大丈夫だから行こう。」

みなポレポレの後を歩いてプロテア砦の山に入った。

日当たり良い土手に到着し、ポレポレに指定された薬草摘みを始めた。

虎徹は茂みの前にあぐらで座り、ぶちぶちと薬草を引き抜く。

「なんか虎徹さんもテンション低くない?」クラウンがぼそっと言った。

「虎徹さんがテンション高いのも変じゃね?」ブラストは横でバスケットをさぐっている。

「昨日フラれたからじゃな〜い?」ヴァルは茂みに蛇がいないか、棒で突きながら言った。

「え?」「なにそれ!」クラウンとブラストはヴァルをしゃがませた。3人とチョコは頭を寄せて話した。

「もしかして小夜さん?」ブラストが聞く。
「さーすが、ブラスト。」ヴァルがうなずきながら人差し指を向けた。
「それで?それで?」クラウンはヴァルをせかした。
「昨日、結構みんな酔っ払ってたじゃ〜ん、その時に虎徹さんが小夜さんにギルドに興味はないか?って誘ったんだ。そしたら小夜さんは家族のお墓があるから私はここを離れないって言ったんだ。」
「そーゆーこと。なんだ、気があるのかと思った。」ブラストはがっかりした。クラウンもうなずいた。
ヴァルは言った。「僕も小夜さんはギルドに推薦したいな〜って思ったから、それを聞いて残念だったけど、その後の小夜さんの話を聞いて僕はここに残ろうと思ったんだ。」

!!

クラウンとブラストがはヴァルの突然の離脱にビックリした。

「その話を聞いてくれる?」ヴァルの言葉にクラウンとブラストはうなずいた。

「まず僕はあっちにもいるから落ち着いてね。今のクエストは最後まで参加できるからね。小夜さんはプロテア砦を見て、エーデルワイス砦も大きくしたいって言ったんだ。」

「いいね。」クラウンは笑顔になった。
ヴァルは続きを話した。
「僕も良いと思って、エイムスさんとギャレットさんに聞いたんだ。コーヒーは扱ってないからいけると思うって言われて、プロテア砦の所長を紹介してもらえる事になったんだ。2人のハンター仲間なんだって〜。」

「やったじゃん、ヴァルー!」ブラストはヴァルとハイタッチした。クラウンもハイタッチした。

「へへっ。みんなが戻ってくるまでの間、僕はこっちにもいるからね〜。」ヴァルはチョコをなでた。

⭐️

翌朝。

ヴァルをプロテア砦に残し、みな砂漠地区、中央病院に向かった。

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翌日。

朝のエーデルワイス砦。

ナオミ刑事は小夜とハグした。
「小夜、協力ありがとう!お礼はまたリスト送るから選んでね。」

虎徹は小夜に挨拶した。
「砦の仕事、はりきってるな。がんばって。」虎徹は小夜の背中を片手で軽くハグし励ました。

「うん!虎徹もね。私、頑張って働いてディスプレイとバイクもいつか買うんだ。」

「良い目標ができたな。」

「うん。虎徹、またエーデルワイス砦にも来る?」

「ああ、またな。」

小夜はみなに手を振って見送った。

農園の女性が扉を開けて出迎えた。
「あー!小夜ー!おかえりー。お客さんが来てるよー。」

扉の中からブレーズヘアの女性が手を振っている。アリーヤがエーデルワイス砦を訪ねて来た。小夜は駆け寄り、アリーヤとハグをした。

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砂漠地区、中央病院。

ヴァルが医療チームと出迎えた。
「クラウ〜ン、ブラスト〜、寂しかった〜?」ヴァルがクラウンとブラストにハグをした。
「あれ?なんか感動うすいなー。」クラウンはとぼけた。

ナオミ刑事が材料のカートを押しながら、看護師達とどんどん奥に進んで行く。みな、ホールに案内された。

ポレポレは一人一人、患者を診て回った。クラウン達は材料を並べたり、器具を出したり、消毒したり治療の準備をした。

ポレポレもせっせと薬の調合を始め、心配していた呪われた患者から治療を始める事にした。

次々にベッドが運ばれ列になり、呪われた患者達はうなったり、苦しそうだ。

ポレポレが調合し終わった薬液を医療チームとギルドのみなで患者達に少しずつスプーンで飲ませた。

経過を見ながらポレポレが追加の薬液を指示した。みるみる患者達の顔色がよくなり始めた。

「シャーマンってすごいね。」クラウンはポレポレの横でサポートしながら言った。

「同じ力を持っていても、どう使うかが大切なんだよ。」ポレポレはアードウルフの青年の脈をとった。クラウンはその青年の傷の近くに付いた血の塊を見つけた。
クラウンが毛を引っ張らない様にガリガリ剥がしてると、ポレポレが手を伸ばした。
「ひどい血の呪いをするね。血の塊がまだ取れずに残ってるじゃないか。毛の塊ごと切っちまうよ。」青年はうつろな目でこくっとうなずいた。

チョキン。

血の塊を見てポレポレはつぶやいた。「あー、精霊の火の粉を持ってくれば良かった。」

「精霊の火?僕、持ってるよ。」クラウンは言った。

「おや、じゃあ、この切り落とした血の塊を精霊の火で燃やしとくれ。」

クラウンはみなから3mほど離れてフレイヤを呼び出した。

フレイヤは現れ、血の塊を片手で握り燃やした。

「これで呪い返しできた。じきに苦しさもだるさも楽になるだろう。」

フレイヤは燃えた灰がふわふわ舞うと、素早くパンチを3発撃ち、灰を打ち消し自らも消えた。

「あの精霊、まるで阿修羅だな。自分の修羅を飼いならせよ。ほお、美しく消えたな。」

クラウンはポレポレの言葉にドキッとした。

「自分だけが特別に見えても、修羅は誰の中にもいる。んー、次は耳が痛い患者を。」

「は、はい。」

ポレポレはキノコをグラインダーに入れて、すり潰した。ポレポレが患者の耳に流しいれ、手本を見せ、みなも患者達の耳にゆっくり流し入れた。山盛りのキノコはどんどんすり潰された。

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しばらくして、ナオミ刑事に連絡が来た。
「ハニ、ギルドのみなを集めて。」
ハニとナオミ刑事で声をかけた。

「シシッ。どうしたんだ?」スノーは医療手袋を外した。

「知らせるべきか迷ったけど、イノセント刑事が知らせて良いって事だから、言うわね。たった今、刑務所でシャーマン・マヌ・スタンリーが死んだわ。」

!!

みな驚いた。

「静かに聞いて、スタンリー兄弟だけの面会が許可され、そこで兄弟喧嘩が起きて、三男のメンサが次男のマヌを刺して、メンサが逮捕されたって。」

「はっ!さっきの呪い返し?、、これってポレポレさんや僕の罪になるの?」クラウンがナオミ刑事に質問すると、みな緊張が走った。

「いえ、2人とも、大丈夫よ。」

クラウンは胸を撫で下ろした。みなもほっとした。

砂漠ニュースの速報でシャーマンの死亡が流れた。

⭐️

続く。

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