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トレモロ 3巻 4章 2話



ヴァルのオススメのレストランでみな食事した。

「チョコの事、マダラデビルの子供に見間違ったんだー。ははっ。もっとカワイイのになー。」クラウンはヴァルの話を聞いて笑いながら、横にいるチョコの顔を撫でた。チョコはカワイイと言われて、お腹を見せてくねくね動き、喜んだ。

「正面から撮るのムジーよねー。こっちの男、ピエールって言うんだ。」ブラストは食後にログを見直している。

店員がデザートを持って来た。
「プリンアラモードのお客様ー?」

クラウンが手をあげて受け取ると、横にいる落ち込んだハニがデザートをじっと見ている。

「ハニ、食べる?」クラウンが聞いた。

「食べたい!美味しそ〜。」クラウンはハニにプリンアラモードを差し出した。ハニは受け取り、プリンを一口食べた。幸せそうな顔でもう一口食べた。

「すみません、プリンアラモードもう1つ下さい。」クラウンが食器を下げる店員に追加で自分の分を頼んだ。

「拙者も。」虎徹が手を上げた。
「あ、オレも。」ブラストも手を上げる。
「ボクも〜。」ヴァルも手を上げる。
「すみません、追加で5個下さい。」スノーが頼み終えると、みなお互いの顔を見て笑った。

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翌日からフェニックスシティの街づくりが始まった。

塔の工事は3Dプリンターでパーツを作り、組み上げている。

ブラストはオースティンのサインが入った箱を嬉しそうに開けた。ミニトマトの苗にライトと水、肥料が自動でまかれ、持ち運びもできる栽培BOXを作っている。クエストの間や宇宙船でも苗を枯らさない装置を考えた。チョコは工具を運ぶ助手をしたり、ブラストの横でゴロゴロしている。

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クラウンとハニ、ヴァルはモナコやハンター達と街の構想について話し合っている。

ゼブがフェニックスシティのマップをディスプレイに出し、実際の街と照らし合わせた。
「あそこから、ここまで野菜や加工品の販売所と、向かいはイートイン、休憩スペース、トイレはどっちにすっかなー。」

クラウンはマップを指した。
「駐車場、イートインスペース、広場と塔の近くには要るよね。僕達のスペースにはキャンピングカーについてるエコトイレを置きたいな。安いし、どこでも置けるし、砂や肥料になるから回収する手間はあるけど、土作りに使ったり、肥料としても売れると思うんだ。」

ブレイズが喜んだ。「いいね!全部エコトイレにしようよ。前からエコトイレの砂や肥料をその辺に捨てて、もったいないなーって思ってたんだよ。」

ブレイズはクラウンとハイタッチした。

ヴァルもハニも「賛成!」と声が揃った。
「クラウン、僕から話していい?」ヴァルが聞くとクラウンは嬉しそうにうなずいた。

「奥のスペースで、自然保護区や動植物園で回収して破棄されてるレア素材の販売店を開きたいんだ。動植物園の園長達への交渉は僕がやります。治安回復の為にギルドを呼び寄せれば、密猟者に略奪者、テロリスト討伐クエストもやってくれると思う。」

「それは有難いが、せっかく買ったのに、そんなひっそりした場所でいいのか?」エイムスはテンガロンハットをあげて頭をかいた。

「はい。用がある者だけしか来ないから、デッドスペースの有効活用にもなると思います。売り上げも環境保護活動の役に立つと思います。」ハニは言った。

「ウィンウィンでいーじゃねーか。ギルドは変わった物を集めてるんだな。」ゼブは不思議がった。

「他にもクラウンくん達にはアイデアがあるんでしょ?聞きたいな。」ギャレットは言った。

クラウンはうなずく。「ハニ、あれ、なんて言ったっけ?箱に入ったやつ見せて。」

ハニがディスプレイを出して、お弁当のログを見せた。おにぎりに焼き魚、唐揚げ、卵焼き、野菜の煮物が箱に詰まっている。

「まー!美味しそう!キレイに並んでますね!」モナコは興味深々だ。

ハニは笑顔で話した。「モナコさんなら、良いリアクションしてくれると思った!これはアースのお弁当です。野菜の売れ残りや、収穫にばらつきがでちゃう時も、地元の食材をバランス良く盛り込めます。ここは海に、渓谷もあってロケーションがとても良いから、楽しみながら食べたり、テイクアウトもできます。それでフード関係のお仕事してるモナコさんにお弁当の監修をしてもらえないかと、、もちろん依頼料はお支払いします。」ハニはモナコを見た。

モナコはハニの両手を握って、目を輝かせて言った。「やる!やります!やらせて下さい!オベントゥー!」

「モナコさんの料理はどれも絶品だから楽しみだな〜。」ギャレットは微笑んだ。

「この国はレストランがとにかく少ないから、需要は絶対にあると思う!」モナコは力強く言った。

ゼブはマップにベントゥー!と丸を付けて書き足した。

クラウンは塔の横の小さなスペースを指差した。「あとさー、エーデルワイス砦のコーヒーが収穫できたらコーヒーショップをここの空きスペースに作るのはどうかな?」

「それ良いねー!ヴァル、またエーデルワイス砦の社長に聞いてみてくれ。」エイムスがマップにコーヒーと書き足す。

ヴァルも笑顔でOKサインをした。

「俺たちの所より、ここの方がステーションに近いから、野菜もたくさん売れそうだよな!」オースティンは浮かれた。

ハニは少し不安そうな顔で話した。「ただ、問題なのが、働き手をみつけるのエーデルワイス砦では大変だったから、募集しても来てくれるかな。プロテア砦はどうやってあんなにたくさん集めたんですか?」

「それは任せろ!な!」エイムスはゼブとギャレット、ブレイズ、オースティンを見て自信に満ちた顔をした。

ハンター達は大きくうなずいた。

「ここ、盛り上がりそうだな。」ゼブは満足そうに目を細めた。

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警察の協力要請を受けて、プロテア砦の西側のコロニーにスノー、虎徹、ゴーストは到着した。

保安官が馬と待っていた。虎徹とスノーは挨拶した。

「今朝、あちらからかなりの銃声が聞こえたそうです。テロリストの乗った車を数台を見たと通報がありました。銃声がした辺りの捜査をお願いします。私はコロニーの住人の安全確認と聞き取りに行ってきます。」保安官はコロニーの中に入って行った。

銃声が聞こえたという方角にスノーと虎徹は歩きだす。ゴーストは地面を嗅ぎながら進んで行く。

1kmほど歩くと、朽ちた交易所が見えた。誰もいない崩れた露店、破れたパラソル、積み上がった木箱でいっぱいのテントが並んでいる。

スノーと虎徹は注意しながら露店にそって歩く。

ゴーストが一度振り返り早歩きになる。何かを嗅ぎつけた。

奥に小屋が見えた。錆びた肉屋の看板が風で揺れ、ゴーストが吠えながら近づくと、屋根に集まった大鷲達は飛び立った。

「うおー!スゲー臭い。」スノーも虎徹も異臭に気づいた。虎徹は懐から手拭いを出し、鼻と口を覆った。

2人が近づくと、肉屋の軒先のテーブルの上でマダラデビルが手首を切り落とされ死んでいる。胸に4発の弾痕がある。虎徹が店の扉を蹴って中を見ると、同じ様なマダラデビルの死体が3体フックにかけられ、床には5〜6体積み重なっている。死体は全て4、5発撃たれた跡があり、手首を切り落とされている。

2人はギルドのヘルメットを装着して辺りを見回った。店の中のテーブルには血の付いた肉切り包丁が刺さり、血溜まりが出来ている。虎徹はログを撮る。スノーは横一直線に空いた外壁の弾痕をログに撮った。

バウ!バウ!

店の裏でゴーストが吠えた。スノーと虎徹は血痕を辿り、茂みの中でマダラデビルの死体をもう1体見つけた。

スノーと虎徹は保安官と警察に連絡した。入り口に戻ろうとした時、大きなタイヤ痕を見つけた。スノーがログを撮っていると、保安官が馬で駆けつけた。

「ご協力ありがとうございました。コロニーの住人は無事でした。新たな情報はありませんでした。警察官達が今、向かっているので、あとはこちらで引き取ります。」

「保安官、オレたち、見つけたデカいタイヤ痕を追ってみます。」スノーは言った。

「肉屋の裏の茂みの中にも1人死んでいます。店の前に並ばされ、銃殺。1人逃げたが殺された。その後で手首を切って持ち去った。そんなとこか、、戒めか、毒爪を何かに使うのか。」虎徹は考え込む。

「大量の毒で毒殺でもしようと企ててるんでしょうかねー。テロリストを襲う悪党がいるなんて世も末だな。」保安官は首を横に振った。

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カエサルに乗り、タイヤ痕を追いながら徐行する。しばらく進み、草むらでは草の倒れた跡をみつけた。転々と薄く残るタイヤ痕。硬い道路でついに痕跡を見失った。

スノーは保安官に連絡した。「だいぶ南下しました。この先って何かランドマークありますか?地図にはなんも乗ってないっすね。」

「そのまま細道を左に行ってもらえば、マダラデビル族が勝手に移り住んだ漁村があります。いくつか道が分かれても、ずっと左に進んで下さい。あの、ギルドの方にはいらぬ心配かもしれませんが、お気をつけて。」

「ウッス。アザース!」

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小さな漁村に着いた。
杖をついたマダラデビルの老人がこちらを睨んでいる。
スノーが歩み寄ると、背を向けて歩き出した。

「すみません、大きい車が通りませんでしたか?」スノーは後ろから声をかけた。

「トカゲ野朗の来る所じゃね。よそ者は帰れっ。」マダラデビルの老人は振り返りもせず言った。

「これで喋る気になりませんか?」スノーは横にすっと近づき1クレジットを見せた。

老人は片手を開いて5クレジット要求してきた。

「シー。」スノーはため息をついて5クレジットを渡した。

マダラデビルの老人はデカい声を出した。「車なんか知らね!帰れートカゲ野朗ー!」

スノーは大人しく車に戻った。

「痴れ者が、刀を抜かずに話せんのか。」虎徹はぼやいた。

スノーはエンジンをかけて漁村の港に向かった。

桟橋でマダラデビルの3人の女性達が釣りをしている。毒爪のカバーに派手なネイルアートをしている。

スノーは窓を開けて声をかけるか迷っていると、向こうから声をかけてきた。

「お兄さん、迷子ー?」
「ササー、車見せてー。」

スノーは軽くサヨナラと手を挙げゆっくり発進すると、マダラデビルの女達はカエサルの後ろの砲台に勝手に飛び乗ってきた。

「キャー!ヤバー!」
「高そーなペイントしてるー。」

スノーと虎徹は困り顔でお互いを見た。ゴーストは後部座席の小窓から覗いている。

5分もせずに港に着くと、虎徹は車を降りて声をかけた。「もういいだろ、降りてくれ。」

マダラデビルの女は砲台を虎徹に向け言った。「ドーン、ハハー。」

スノーも車から降りた。
マダラデビルの女が1人下りて来て、スノーに近づいた。「ササ〜、ドライブにつれてってよ。」
「シッ、あー、、いいけど、後で行こう。」
「今から行こうよ。いいでしょ?」
「シー、すぐ済むから用事済ませたらな。どこで待っててもらおうか、、。」
スノーが少し考えていると、他の2人の女達も車から下りて、スノーを取り囲んだ。
「さっき来たデカイ車の所で待ち合わせしよう。シシッ。」スノーが誘った。
1人の女が言った。「えー、船でどっか行っちゃったよねー。」
黙って話を聞いていた虎徹は話しかけた。「船はどっちに出た?」女達は顔を背け虎徹を無視した。
「ドライブに行く飲み物とって来てくるよ。何飲みたい?」スノーが聞くと。女達は好きな飲み物を次々に言った。

スノーが虎徹に行こうとジェスチャーした。スノーはゆっくり発進して、そのまま女達を無視して保安官の元へ向かった。

「スノー殿、慣れておるな。ふふん。」虎徹はニヤけた。

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続く。

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