「怪奇文学」を含む小説

常に空が雲に覆われている謎の街「天燕市」 周囲から断絶されてこの街に住む主人公たちは、先人が歩まなかった「外」への一歩を踏み出す。 不定期更新、17時固定投稿。 訂正のため既出…

　母さんの顔に穴が空いた。 　家族は、誰も気づかない。僕だけを除いて。 　だから、邪魔なもの、隠したいもの、この世から消したいもの。 　都合の悪いもの、ぜんぶ。 　僕は、その穴…

雨の日の外出を控えるように言われても、人々はそうはしなかった。 だが雨は、孤独な人々を溶かしていく。 そんな世界で男が思うのは……。 幻想怪奇短編または掌編。

事実に基づく裏話。 人情味を重視し、スピリチュアルな世界観を表現にチャレンジしてみました。 イメージで言うところの宮沢賢治ワールドなので、絵本のような読みやすさを目指して。

よろしくもうしあげます。

じりじりと焦がすような蝉の声。クリームソーダを作ろうと笑うあなたの口元のほくろから、なぜだか目が離せませんでした。

母の死を僕に伝えたのは、確かにこの声だった。 僕が中学三年生だった年の初夏に、いなくなったはずの、弟だ。

　家出した少年は、ビルの屋上に逃げることにした。人間が地面を歩くからだ。 ※よろしければ作者の短編小説『緑白のタブラ・ラサ』と合わせてお楽しみください。

もっと日本文化や文学に触れて頂きたくてと思い描いています。 美しさに見出しては、少し不気味な御噺。 妖や民俗学に重きを置いています。 怖いもの見たさはお互い様でしょう どうぞ寄っ…

昔むかし、とある海辺の町の大晦日。余四郎と寅吉は、明王様の祠を見張る「供物番」に選ばれた。二人は自分の居場所を見つけられずにいる半端者同士。少年たちはこのとき、供物番という役割が…

すべての命が巡る「円い河」をテーマにした連作。きみも僕も同じ命の河の中。名を変え姿を変え、永遠に廻り続ける。星々を巡らせることは生きることだから。 「広義のSF」を募集する創元…

ブリーフの交換についてです。

ここは浄土のように美しいところだろう、と夫は微笑んだ。 だから、そこの襖は、開けてはならないよ。

白い雪と氷と、黒い山々に囲まれた温泉街を散策していた僕に声をかけてきた若い男は、指先が白く凍りついていた。彼はずっと昔、ある美しい池に落ちたことがあるのだと言う。

悪魔が去る日はきっと来ない。影が去る日は来ないように、永遠に。 ─ 目蓋の裏側にいる悪魔の話です。皆さんの目蓋には住んでいますか？

――ぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃ―― 　よく挽いた魚を、つくねている時の音に似ていた。 漁村を舞台にした幻想猟奇小説。 入江が好きです。 個人的にはメルヘンラブコメです。 …

夢の中で、この手で水に沈めた美貌の少年が、今、私の目の前に。いる。

出されたお題に思考を遊ばせ、物語ごとに文体を変える。 現実と空想のあわいを泳ぐスペキュレイティブ・フィクション的世界。 脱げた黒猫の靴下との生活『猫嫌いの英靖』、記憶を薬に加工す…

印度洋に現れた大渦は、島を七つ呑み込んでもなお拡大を続けている。主人公はその正体を、かつての友人ではないかと思い、彼の異様な姿を回想する。 ジャンルが分からないんですが、多分幻想…