三途の川✧︎不動産

サランラップンプン

第1話 キラワレモノの部屋

キラワレモノの部屋

『あの人文句しか言わない。』


 『文句しか言わない。』


 『口を開けば悪口ばかり。』

 


1人の嫌われ者がいた。


 『無視しよう。』


 『やだ、嫌い、来ないで。』


嫌われ者には、怨念が付きまとって、まるで生まれてからずっと一緒のように、伴う。



 『あの人怖いよ。』


 『なにかされるかもしれない』


 『こっちみた、やだ無視しよ』

 



 感情のない冷たさが、

 嫌われ者を守っている。



 『死んじゃえばいいのに』


 『なんでこんなやつ生まれたの』


 『あんたなんか産まなければ』



 嫌われ者は平気なようだ。


 よくこれだけ言われても、

 平然としていられる。


 嫌われ者の双子の悪魔は、

 一言だけ答えた。



 『うるさい。』



 その声は、とても優しい。


 


 いつかわかりあえる日を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る