「円城塔賞」を含む小説

主人公はとある保管庫の冷凍保存カプセルから目を覚ましたが、記憶がない。共に起きた猫と何かを求めて歩き出す…

高価な荷物を置き配にするのは怖い。日時指定したその時に限って、急用が入る。 そんな経験、ありませんか？ その悩み、サンタパックが消し去ります！ 受け取り不要！ 即日深夜に枕元へお…

人類が誕生してから、人類が永遠の眠りにつくまでの時間を1単位とした《人類時計》が開発された。 更なる複雑性を求める存在である「わたし」は、そこから人類固有の次元「時間」を抽出しよ…

世界の縁――フィヨルドのその果てで、 空（そら）と灯（あかり）はただ体温を交換していた。 触れれば世界が揺らぎ、 離れれば体温が消えていく。 観測の外側では、 愛の再現に失敗…

　未音（みおん）は自他ともに認めるかわいい女子。もちろん、そのかわいさに相応しい慶太（けいた）という完璧な理想の彼氏がいる。 　「諸事情」により慶太に満足できない未音は「特別なお…

アストラリス魔法学園の「氷の令嬢」。 ファンタジーの世界に咲き誇る彼岸花。 その扉は――何処に繋がっているのか。

世界がゲーム化して３年。人類はレベルやスキルに一喜一憂していたが、大学生の加賀美（かがみ） 朔夜（さくや）だけはシステム画面が見えない「バグ人間」だった。 ある日、幼馴染で世界…

ＡＩ秘書を使って楽をした山田さんの物語。 ＡＩが便利だと喜んで使っていたらどうなるか？ 誇張がありますが、本当の話ではないかと危惧しているAIのお話しです。 一年くらい先の現実の…

「初めまして」 それが何度続いても、僕は彼女を恋人だと言い続ける。 心だけが覚えていた指輪とマフラーが、ふたりをもう一度結び直す物語。

会話を失った人類と、会話のはなし。

幼い僕は、祖母の庭で静かに遊ぶ毎日を過ごしていた。ある日、黄色い幼稚園バスが通りかかり、祖父が手を振るのを見て胸が熱くなる――それが僕の初めての“ヤキモチ”だった。年月が流れても…

『友達と花火をする時、いつも缶コーヒーを買う。皆は目の前で飛び交う火花にしか興味無いから、仕掛けるのはいつだって簡単。そっと後ろに近づき、空缶にロケット花火を放り込む。くぐもった…

喫煙所で知り合った銀髪美人さん、どうやら異世界の悪役令嬢らしい。そんな、日常とファンタジーの交錯する、ほっこりしてキュンとする会話劇です。

鏡の中の“わたし”が消えた── 依頼人から届いたのは、その一行だけだった。 AR解析が示したのは、 鏡台の前だけに残された意図的な空白。 映らなかったのではない。 “奪われた”…

私は人をいじめたことがある。 その子は目が真ん中によっていて、正直ちょっと怖かった。いわゆる斜視というやつだった。 高校受験が目前に迫ってて余裕がなくて、 私たちにとって彼は…

夜ごと、水が天へ昇るという奇妙な蛇口── 女中が消えた屋敷で、芥川探偵が見つけたのは、 重力を裏切る一滴と、乾きすぎた床の秘密でした。 大正の影と灯火のあいだで揺れる人の情念。…

「うん。ベータだよ」 　その一語で、胸のどこかが小さく空を切った。 　仁は笑って頷く。 「そっか」だけを置く。 アルファの仁とベータの央。 そのはずだったふたりのはなし。

深夜、ヘッドホンから聞こえる朗読を聞きながら、私はかつての同級生中島について思いを馳せる。