「カクヨムコン11短編 円城塔賞」を含む小説

この島には、捨てられたものたちが集まってくる。姿を変えて、形を変えて。

「先生、どうして死ぬことを選んだんですか。あの時私に言ったことは、やっぱり間違っていたってことですか——」 　涙は流れなかった。ただ、先生と交わした過去の会話が、今でも私の中では…

娘が初任給でプレゼントしてくれたのは、温泉旅行だった。 けれど、新婚旅行以来の二人きりの旅はなんだか気まずくて。

ある女子高生が手に入れたのは、”自分が思う騒音”を消すことができるイヤホンだった。少女は、クラスメイトの話し声、母のお説教、生意気な弟の悪態など、不快な騒音を次々消していくのだが…

私は五万円札。ご承知の通り、現在我が国で流通している最高額の紙幣です――。 未来の日本で、新しい紙幣『五万円札』が発行された。それは、国家の威信をかけ、最新技術を惜しげもなく投入…

過激な正義感を持つ中学生の「僕」と、隣のクラスの犯罪少女の話。

大変だ！野球星人が地球を侵略に来たぞ！ そこで立ち上がるのは史上最強の野球選手、王田２世！ だけど王田選手はもう引退しちゃってるんだよね？ いったい地球はどうなっちゃうの～！？ …

菫（すみれ）の目に映る風景、菫に起こるアクシデント、そうして幸せ。 日々に彩りを……

胡桃は人間関係を築くのが下手。 だからこそ、中学生のときにできた友人佐紀に嫌われないために、一人の人を犠牲にしてしまう。

※本作には自傷・自殺を想起させる描写が含まれます。読まれる方の心情にご注意ください。 　灼ける街、降り出す雨、満天の星。 　そのすべてがひとつの色に溶けていく夜。 　二十一…

主人公・明津秀登はある日、自分の記憶の一部がおかしいことに気づく。なぜこんなことになったのか。答えを探すべく、秀登はかつて祖父母と叔父が住んでいた田舎町を訪れる。 犀川ようさん主…

漫画家を志す青年・創（はじめ）は行きつけのブックカフェで「このカフェには毎週ペンギンが本を借りにくる」という奇妙なうわさ話を耳にした。馬鹿げた法螺話だと決めつけて相手にしていなか…

新しい発芽食品開発のために赴任した先の辺境惑星で、一人残された研究員。 やがて、研究対象だったはずの芽が語りだす。

我が子を失った悲しみに耐えながら生きる主人公。 ある春の日、彼女の前に現れたのは……。 ＊犯罪行為や、赤ん坊の死亡といった記述があります。ご注意ください。

　ヨコハマ港に一隻の大型クルーザーが係留されている。ヨコハマニュータウンの経済中核となっている船舶カジノは今夜も盛況らしい。カジノ常連客である声楽家の御子柴梢江と精神科医である九…

平安の時代、ある春の日。 和歌の名手、小式部内侍は最近訪れのない恋人のことを考えていた。 すると、連絡もなく想い人が現れたが──。