「＃掌編」を含む小説

母のプロポーズの思い出、ハッピーエンドの人魚姫の物語 「お母さんプロポーズってどんな風だったの？」 コーヒーを1杯飲み干すと、娘がそう尋ねてきた。 「どうしたの急に？」 ……私…

お屋敷の食卓に、今日も料理が運ばれてくる。 紅茶、バゲット、ステーキ、鯛の煮付け――そして、いつからか「それ以外のもの」も並ぶようになった。 「なんでも食べるお嬢様」に差し出され…

終点まで寝過ごした僕。真っ暗な最終停留所で、同じく寝過ごした女の子と二人きりになる。気まずさから始まった会話は、好きな作家・村上春樹の作品について語り合う。 「もし、あの時、声を…

空を見上げて涙を流すような歳でもないが、こうも見事な縹色をされるとまったくこれから出社というのが嫌になってくるのだった。

今まで投稿した作品の掌編短編集です。 古い時代の怪談奇談となります。 全体的に加筆修正をしております。物語の大筋は変わりません。 一話完結。物語の一部が繋がっています。長い…

冬の大三角形を思い出しながら、わたしたちは屋上で星を見ていた。 掌編です。

世界から炎が失われ、雪が降り続く大地。 その中でただひとり、炎を扱える“燃素の少女・フィズ”は、力を使い、村に炎を届けて回っている。 極寒の地で罪を背負い守衛として生きる男は、偶…

作家志望の社会人友達同士の飲み会での話。

金閣を焼かねばならぬ。 俺は港区で生まれ育ち、大学へ進学した時にはタワマンの一室を与えられた。どう考えても人生イージーモード。何事もなければ勝ち確の血筋である。金持ちのバカボン…

ある日の午前中、午後に開催予定のお茶会に向けて準備を進める一人の女性がいた。

短編にも満たない作品集。話は繋がっていないので、興味のある話から読んでいただきたい。 新作を書く上で練習のために書いた作品たちや、同じテーマかつ趣味で作成したものを披露する場であ…

誰が僕に渡したんだ？

奇想天外博物館です。本館では、特異なものばかりを扱っております。 短編集です。

夜の寝台列車で偶然隣り合った青年と大学生の彼女。 眠れない夜に交わすことば、揺れる光、曖昧な予感。 ビュッフェで分け合った静かな時間は、 朝になれば跡形もなく溶けてしまう——そん…

大雪の翌朝、小６のユウキとサキはかまくら作りに夢中になる。 来年、別々の中学に進むふたり。 寄り添って食べた冬のアイスが、まだ名前のない気持ちをそっと照らし出す──。

教室で交わされる他愛ない手紙。 それはいつしか折り方で意味を持つ“暗号”へと変わり、 知らぬ間に誰かを排除する仕組みになっていく。 ある朝、主人公の机に残されたのは── 何も書か…

人は、言葉ではなく、香りで誰かを思い出す。 いま触れられない誰かの影は、ふとした風の温度とともに蘇る。 毒のように残る香り。 触れた瞬間に消える香り。 そして、自分だけを守るた…

　最低五分からできるバイトだった。 　自転車バイト……ただし、自転車に乗るバイトではない。 　乗らないバイトだ――……はい？ 　つまり歩行者として、町を歩いてほしいとのこと。 …

冬の海沿いを自転車で二人乗りするサッカー部の彼とマネージャー。まだ恋人ではない微妙な距離のまま、選手権予選の話題から告白の気配が生まれていく。堤防、海風、肉まん。冬の一瞬に恋が灯…