書くのが苦しくなっている君へ
Shino Akizuki
書くのが苦しくなっている君へ
君は、なにを悩んでいるの?
小説が上手く書けないって? 何のために書いているか、分からなくなるって?
心細くなって、迷路に入っている感じだって?
うん、そうか。
じゃあ、ちょっと話そうか。
君は、なぜ書いているの?
書くのが好きで、楽しいから? 良いことだね。それなのに、なぜ、辛いの?
上手く書けないこと?
それとも、PVが伸びないこと?
応募しても落選すること?
アイデアが浮かばないこと?
なんだろうね。
うん。うまく書けない、って?
そうか。
文章力って何だろうね。
語彙や文法、小説の書き方、キャラクターやプロットの作り方。
いろいろ要素はあるかもしれない。
それらは、たくさんの本や辞書があるよ。
けれど、それはきっと経験が要るんだよ。
自転車の練習をしたことがあるかな? それと、一緒。
練習をしたら、上手くなるかって?
そうだね。自転車に何とか乗れるようになっても、へたな人もいるよね。
自転車選手になれるくらい、上手な人もいる。
人、ぞれぞれ、かもしれないね。
練習してみないと、どれだけ乗れるかは、分からないよね。
きっと、たくさん書かないと、それは分からない。
孤独になるって?
心細くなって、迷路に入っているのは、君が「読み手のために」という言葉に、引きずられているから。
確かに、読んでくれた人への感謝や、読みやすい技巧は必要だと思う。
書くための約束事もある。
けれど、「読者のために」書く、ではなくて、「自分が書きたいこと」を書く、をしないと続かないんだ。
人は、苦行は、対価(報酬)が無ければ、続かない。
例えば、賃金だね。
ベストセラー商業作家は、報酬を、お金で、貰っているね。
けれど、投稿サイトでは、「自分が書きたいことを楽しむ」を、報酬、にしようよ。
『誰も読んでくれない物を書いて、どうするの?』
エタって制作放棄して、消してしまう人が多いよね。
もったいないな。
書いたページが、ネットでちゃんと表示されるのに。
売れない小説家は、売れている商業小説家がいるから、成り立っている。
カクヨムでは、売れた人がいるから、他の人が、タダで、使える。
タダで、Webページが持てるんだよ?
Webページを持とうとすると、ドメイン借りて、クラウド・サーバー借りて、サイト構築を自分でして、有料で、かつ労力が要るんだ。
ネット時代に、小説の読み手から、作り手に、簡単に、なれるんだよ。
カクヨムで書けば。
一か月もしたら、Googleが巡回に来て、検索すれば表示されるようになるよ。
『埋もれる』
たしかに、無数のサイトがあるから、ネットの世界でも埋もれる。
紙ベースでも同じだ。
紙ベースの小説は、漫画は、最後は、古本屋で100円。誰か読者の手元に残るくらい。
人の心に残るような物を書く人は、別だろうね。
Web小説では、ネットの世界に埋もれる。
けれど、サイトが残る限り、ずっと残るんだよ。
サイト運営者が運営していたら、そこは残り続ける。
Webの世界に、デバイス画面の中に、自分の書いた刻印が残るんだ。
かなり長い間。それもタダで。
「読んでもらう」という意識よりも、「自分の書きたいものをWebに残せる」という行為。
ログインした状態でなくて、一度、検索をかけてごらん。
客観的に、見てごらん。
そう、表示されるだろう?
たった一つの、君のサイトだ。
君の書いたものが、デバイスの向こうにあるんだ。
それに、世の中に、どれだけの本や、雑誌があると思う?
それらも、結局は、埋もれているんだよ。
本屋が、毎日どれだけ、返品をしているか、知っているかな?
本屋の片隅で、ひっそりと、消えているような本が、どれだけあると思う?
売れ残った本が、どれだけ廃棄されるか。その量を調べてごらん?
最後は、断裁されてしまう。
埋もれることを、怖がる必要はないんだよ、きっと。
君だけじゃない。
君の書いたサイトは、残るんだよ。
凄いことだよね。
『小説を書く自分、って何だろう』
どうだろうね。
作家、という言葉があるね。
小説を創作する人、という定義もできる。
文章で書いて、それを職業とする人、のことかもしれない。
『書きたいだけ』
そうだね。
何かを仕事にして、「なりわい」にすることは、大変だからね。
それでいいよ。
「魔の川・死の谷・ダーウィンの海」という言葉を、君は知っているかな?
知らない?
じゃあ、少し話すね。
これらは、事業化の三つの壁、なんだ。
「魔の川」は、開発する壁。小説なら、執筆だ。
「死の谷」は、事業化の壁。小説なら、出版社から声がかかることかな。
「ダーウィンの海」は、最後に待ち受ける壁、なんだ。
市場の壁だ。
つまり、出版して売れる、ってことだ。
市場という、厳しい世界で、渡っていかなければならない。
この言葉を知って、コンビニに行ってごらん?
どれだけの商品が、ボツになって、試作が作られているか。
やっと、社内で採用されて、商品化するんだ。
新商品はいっぱい、発売されるだろう?
けれど、売れない。
売れなくて、消えて行った商品が、どれだけあるか。
プロが作って、プロが仕掛けて、それでも、多くの商品が消えて行く。
みんな、「ダーウィンの海」に沈んでしまう。
「魔の川」にも、「死の谷」にも、「ダーウィンの海」にも、残骸がいっぱい、沈んでいるんだ。
「ダーウィンの海」は、生物学者チャールズ・ダーウィンの「自然淘汰」の意味だ。
ときに、うまく、「ダーウィンの海」を渡れる商品もある。
けれど、だからといって、次も、「ダーウィンの海」を渡れる保証、はない。
「ダーウィンの海」は、市場の風が吹かなければ、プロでも乗り越えられないんだ。
でも、「ダーウィンの海」を渡った人のお陰で、君は、タダで、サイトを持てるんだ。
『ありがたや、ありがたや』
ははは、そうだね。
ちょっとは、気分が回復したかな?
『書けば書くほど、へこむ』
表現って、下手くそとの戦い、じゃないかな。
AIに放り込めば、きっと綺麗な文章にしてくれる。
もしかしたら、そのうち「小説表現技巧メーカー」なるものも、できるかもしれないね。
けれど、「自分が面白いな」と、「書いてみたくなる」物語は、AIには作れないよ。
「書いてみたくなる」は、個人的な心情だからね。
「自分だけが面白いな」は、独りよがりだって?
独りよがりで書くな、人は言うよね。
それが声高に言われるから、みんなエタるんだ。
投稿サイトは、売れる作者を作るために、出資されている。
読者を引き寄せるためにも、運営されている。
けれど、サイト側から見て「One of them」でも、その人には「One of one」なんだ。
読み手がいない素人に、「読者のために」書きなさい、と教えたら、そりゃ皆、エタるよね。
その自分という「One」のために、書くんだ。
「ある意味」独りよがりで、なにが悪いの?
「未完の傑作より完成した駄作」とよく言われるよね。
それならば、独りよがりで大駄作の方、でいいじゃないか?
「未完の傑作より、完成した大駄作」を書くんだ。
駄作を作るのに疲れたら、時々は休もうよ。
でも、消すなよ。
書くのが苦しくなっている君へ Shino Akizuki @Kotoba-asobi
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