概要
味噌汁の波紋を見ていた義母がつぶやいた。「……また誰か死んでしまうよ」
「……また誰か死んでしまうよ」
味噌汁に波紋を見つけたときに言う、この奇妙な癖をのぞけば、義母は本当に穏やかで優しい人だ。
だが恐ろしいことに彼女のつぶやきどおり、数日後には必ずご近所で誰かが亡くなってしまう。
思い切って夫に相談すると、彼は事もなげにこう答えた。
「あれは別に、霊能力なんかじゃないよ」
(本作は、柴田恭太朗様の自主企画<【三題噺 #134】「波」「嘘」「朝食」>参加作品です)
味噌汁に波紋を見つけたときに言う、この奇妙な癖をのぞけば、義母は本当に穏やかで優しい人だ。
だが恐ろしいことに彼女のつぶやきどおり、数日後には必ずご近所で誰かが亡くなってしまう。
思い切って夫に相談すると、彼は事もなげにこう答えた。
「あれは別に、霊能力なんかじゃないよ」
(本作は、柴田恭太朗様の自主企画<【三題噺 #134】「波」「嘘」「朝食」>参加作品です)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この義母、何かがおかしい——朝の食卓に潜む恐怖
日常の安寧と不穏な気配を同じ食卓に並べてみせたこの風景を書こうと思いつく仁木さんのアイデアがいきなり怖い……。
義母の人物造形は温厚さと不気味さが紙一重で同居し、読者は安心と不安の間を往復させられます。
味噌汁の波紋という些細な現象を不吉の兆しへ昇華した着想は古典怪談の作法を踏まえつつ現代的合理解釈を挟み、理と怪の綱引きを成立するのです。
特に終盤、「出ていない」という一言で論理の支柱を外す転調は鮮やかで、静かな恐怖が遅れて効いてきます。
説明過多に陥らず余白を残した筆致も品があり、読後、自分の朝食の味噌汁椀の水面を覗き込みたくなる(私は朝はご飯派なので余計に)余韻が残る秀作で…続きを読む