概要
僕を壊したのは、紛れもない僕でした。
几帳面で内気な建築士・佐藤ハルキ。一ミリの狂いもない図面を引くことで自らの精神を保っていた彼だったが、ある時期から空白の時間に悩まされるようになる。
目覚めるたびに残されている、吸わないはずの煙草の吸い殻、身に覚えのない深夜の外出記録、そして――自分の内側から湧き上がる、自分以外の誰かの気配。
ハルキの肉体を借りて現世を謳歌する彼は、ハルキが抑圧してきたどろどろとした欲望と創造性を、真っ赤なペンキに変えて壁一面にぶちまけていく。鏡の中に潜んでいた共犯者が、主導権を奪い、現実を浸食し始めたとき、ハルキの自我は崩壊し、美しくも残酷な狂気の完成へと加速していく。
自分を失っていく恐怖と、解放される快感。 二つの魂が混ざり合う部屋で、最後に見る景色とは。
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