食事と記憶を結びつけた発想が非常に鮮烈で、読み進めるほどに不安と切なさが積み重なっていく作品です。スパイス=思い出という比喩は美しくも恐ろしく、人の人生が消費され、価値付けられていく構図に強い嫌悪と哀しみを覚えました。中盤の違和感が終盤で一気に意味を持ち、祖母の焼きそばの場面では救いと残酷さが同時に押し寄せます。味覚を通して人の尊厳を問う、静かで重い読後感が残る一編でした。
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