そして彼女の手の行き先は

 カヌキさんは、ミヤコダさんの綺麗な手を取って、ティッシュをゴミ箱に捨てた。

 でも、その手を離さなかった。


 カヌキさんはその手をじっと見た。

 それから視線を上げて、まだ薄く涙を浮かべているミヤコダさんの目を見た。

 グスっとミヤコダさんが鼻をすすったので、おかしくなって笑う。


「架乃って、手も指も、顔も整ってて、こんなに綺麗なのに、鼻水、出るんですね」

「そりゃ、人間だもの。言いたくないものだって、出るわ」

 カヌキさんがティッシュを箱ごと渡してあげると、ミヤコダさんは顔を背けて、思い切り鼻をかんだ。

 美人は鼻をかんでも美人だな、なんてカヌキさんは思った。


「あなたが言ってくれれば、私は、手でも足でも、どこでも、それにまつわる映画を考えてあなたに見せますよ。ホラー映画はなんでもありですから」

「そんなこと、分かってるわ」

 そう言いながら、足のホラー映画ってどんなんなの、と口にしそうになり、慌てて口を閉じるミヤコダさんだった。これ以上、手足の映画を見せられたらたまらない。

 

 そして、ミヤコダさんは、自分の両手をじっと見た。

「わたしの手って、そんなに綺麗かなあ。よく分かんない」

「綺麗ですよ」

 そのカヌキさんの断言にミヤコダさんは嬉しくなる。両手を上げて、そのままカヌキさんの両方の頬に当て、自分の方にカヌキさんを引き寄せる。カヌキさんはそれに逆らわない。

 


「この手が綺麗じゃなくてもいいわ。私だけがあなたに触れられるなら」


 

  

  













 ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇

 ネタにした映画

 A「正統派の怖いホラー映画!」: TALK TO ME トーク・トゥ・ミー(2022)

 B「ホラーじゃないけど痛くて残酷な映画」: 127時間(2010)

 C「全然ホラーじゃないけど感動する映画」: やわらかい手(2007)


 『手』の映画で3本思い付いて、どれも選べないし、どれも話がまとまらないので悩んで、マルチっぽいことをやってみました。結局、オチがまとまらなかったんですが(泣)。

 読んでくださった方はABCのどれかを選んでくださったのか、全部読んでくださったのか、どうなんでしょうか?



 というわけで、カクヨムコン11【短編】『お題フェス』参加5本目、お題『手』でした。

 1本目お題『遭遇』:『彼女との遭遇」

 https://kakuyomu.jp/works/822139841667177282

 2本目お題『卵』:『彼女が卵を、割ってしまった。」

 https://kakuyomu.jp/works/822139842160211172

 3本目お題『祝い』:『彼女が祝うのであれば、それは。』

 https://kakuyomu.jp/works/822139842535883079

 4本目お題『天気』:『彼女はトルネイド』

 https://kakuyomu.jp/works/822139842920518323

 なお、これまでのところ、PVが多いのは『卵』ですが、どれも★や♡をいただいております。ありがとうございます♪ 強欲なのでもっと欲しいです。

 あと、カヌキさんとミヤコダさんシリーズ以外の短編でも参加しています。百合×アイドル 6000文字全6話のいかにもうびぞおっぽい話です。

『あなたの特別になりたいあたしは誰かの偶像』

 https://kakuyomu.jp/works/16818622172080977946

 よろしければ、読んでやってください。お願いします。

 

うびぞお

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そして彼女の手の行き先は うびぞお @ubiubiubi

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