美術の時間、出された課題「左手」を早々に描いてしまった長束は、先生から右手も書いてみろと言われ、ものすごい集中力を発揮して「右手」も描き切る。
細部までチェックしようとスケッチブックを見つめる。
すると、描いた「右手」が、まるで神経が通っているかのように動き出した。
その手はさらに「私を書いて」と動きで伝えてくる。
長塚は紙を一枚破り取り、その手の訴え通りに書くのだが……。
スケッチブックに描いたものが動き出す――まるでファンタジーのような展開に、初めは不思議な体験を通して心温まるオチを期待していた自分がおりました。
また主人公・長束の、どこか冷静でありながらも言葉遊びが盛りだくさんの語り口調やコミカルな動きを想像させる「右手」の存在に、そのような安心感を抱いていたのです。
が、動き出した「右手」の要求でたくさんの「手」のスケッチが積み重なったとき、長束に悲劇が……!
恐ろしくも不思議な読書体験に心つかまれます!
是非ともご一読を!!!