第2話 光なき通路
光を
弱めた
瞬間、
世界が
沈んだ。
闇では
ない。
色が、
剥がれた。
壁も、
床も、
輪郭だけが
残り、
質感を
失っている。
魔導灯は、
確かに
灯っている。
だが、
照らして
いない。
「……効かない
という
より、
意味が
ないな」
光が
増す
ほど、
影も
増える。
影が
重なり、
道の
境目を
消していく。
リアンは、
立ち
止まり、
魔導灯を
消した。
完全な
闇。
視界は、
ゼロ。
だが、
不思議と
恐怖は
なかった。
影が、
足元に
ある。
それが、
分かる。
見えない
のに、
位置が
分かる。
「……感覚
か」
足を
踏み出す。
床の
感触が、
直に
伝わる。
石の
冷たさ。
微かな
傾斜。
視覚が
ない
分、
身体が
働く。
影が、
横に
動いた。
リアンも、
同じ
方向へ
進む。
通路は、
曲がって
いる。
だが、
壁に
触れなくても、
分かる。
影が、
薄く
なる
方向。
そこが、
正しい
道だ。
「……光は
偽りで、
影が
指標
か」
迷宮が、
選別
している。
見える
ものを
信じる
者を、
拒む。
足音が、
響いた。
自分の
ものでは
ない。
前方。
だが、
距離が
測れない。
影が、
一瞬
震えた。
危険。
リアンは、
歩みを
止める。
直後、
空気が
切り裂かれた。
何かが、
通路を
横切る。
見えない。
だが、
影が
欠けた。
刃の
ような
何かが、
影を
削った。
「……罠か」
影は、
完全には
消えない。
だが、
削られる
たび、
自分の
感覚が
鈍る。
ここでは、
影は
命綱だ。
失えば、
方向も、
自分の
輪郭も
失う。
リアンは、
剣を
抜いた。
だが、
振るわない。
刃を
構え、
動かず、
影の
動きを
読む。
再び、
空気が
歪む。
来る。
影が、
床に
押し
つけられた。
上から。
リアンは、
身を
低く
し、
前へ
滑る。
何かが、
頭上を
通過する
気配。
直後、
背後で
石が
砕けた。
見えない
刃。
迷宮が
作った
拒絶。
光なき
通路では、
戦えない。
戦う
という
概念自体が、
的外れだ。
リアンは、
走らない。
歩く。
一定の
歩幅で、
影と
並んで。
罠は、
速い
動きを
狙う。
迷う
者を
切り
捨てる。
落ち着いた
歩みだけが、
拒絶を
すり抜ける。
やがて、
空気が
変わった。
圧迫感が
薄れる。
影が、
再び
濃く
なる。
リアンは、
魔導灯を
点けた。
今度は、
光が
通路を
照らした。
だが、
短い。
すぐ
先で、
再び
闇が
待っている。
光なき
通路は、
終わった。
だが、
次は
もっと
厄介だ。
影が、
記憶を
映し
始める。
リアンは、
剣を
鞘に
戻し、
深く
息を
吐いた。
影の
迷宮は、
まだ
入り口に
過ぎない。
第10章 影の迷宮と漆黒の精霊 塩塚 和人 @shiotsuka_kazuto123
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