第20話 新生竜神、降臨



 空が、

割れていた。


 裂け目は、

先ほどより

明らかに

大きい。


 周囲の

建物が

軋み、

窓ガラスが

一斉に

砕け散る。


     ◆


 荒神龍斗は、

瓦礫の上に

立っていた。


 呼吸は

落ち着き、

心拍は

一定。


 体の

隅々まで、

力が

行き渡っている。


     ◆


「……これが、

融合」


 宝槍を

握る。


 蒼光は

以前より

澄み、

重い。


     ◆


 裂け目から、

魔物が

姿を現す。


 四足。


 だが、

影が

異様に

大きい。


 背中に

骨の翼。


     ◆


 着地と

同時に、

衝撃。


 地面が

陥没する。


 周囲の

探索者が

吹き飛ばされる。


     ◆


「下がれ!」


 龍斗の声が、

不思議と

遠くまで

届く。


     ◆


 魔物の

咆哮。


 空気が

震え、

鼓膜が

痛む。


 魔力圧が

押し寄せる。


     ◆


 だが、

龍斗は

一歩も

退かない。


 足元に、

淡い

金色の

紋様。


     ◆


「……効かない」


 魔力圧が、

霧のように

散る。


     ◆


 魔物が

跳んだ。


 空中から、

急降下。


 爪が

ビルを

切り裂く。


     ◆


 龍斗は、

迎え撃つ。


 踏み込み。


 突き。


 正面。


     ◆


 衝突。


 爆音。


 衝撃波が

円状に

広がる。


     ◆


 魔物が、

弾かれ、

後退。


 地面に

深い

溝。


     ◆


「……通った」


 以前なら、

あり得ない。


 鱗の

防御を、

完全に

貫いていた。


     ◆


 魔物は

怒り、

翼を

広げる。


 無数の

骨片が

射出される。


     ◆


 弾幕。


 龍斗は、

走る。


 直線では

ない。


 最短でも

ない。


 最適。


     ◆


 骨片が

空を

切り、

背後で

爆ぜる。


 だが、

一つも

当たらない。


     ◆


 接近。


 魔物の

腹部。


 宝槍が

閃く。


 連続突き。


     ◆


 一撃ごとに、

蒼金の

光。


 内部から、

破壊。


 悲鳴。


     ◆


 魔物が

暴れる。


 尾が

横薙ぎ。


 龍斗は、

片手で

受ける。


     ◆


 金色の

障壁。


 尾が

止まる。


 信じられない

力比べ。


     ◆


「……終わりだ」


 龍斗は、

宝槍を

引き、

構える。


     ◆


 周囲の

魔力が

集束。


 空気が

鳴る。


 探索者たちが

息を

呑む。


     ◆


「――竜神技

《蒼天穿槍》」


 専門用語。

竜神が

空と地を

貫く

必殺技。


     ◆


 投擲。


 宝槍が

一直線に

飛ぶ。


 蒼金の

軌跡。


     ◆


 魔物の

胸を

貫通。


 そのまま、

背後の

裂け目へ。


     ◆


 次の瞬間、

裂け目が

内側から

爆発。


 魔物も、

空間も、

粉砕。


     ◆


 静寂。


 瓦礫が

落ちる音だけ。


     ◆


 宝槍が

回帰し、

龍斗の

手に

戻る。


 光が

ゆっくり

収まる。


     ◆


 探索者たちが、

言葉を

失っていた。


 誰も、

近づけない。


     ◆


 龍斗は、

空を

見上げる。


 裂け目は、

完全に

消えていた。


     ◆


「……これが、

俺の

力」


 恐怖は

ない。


 高揚も

ない。


     ◆


 ただ、

責任だけが

胸に

残る。


     ◆


 竜の声が、

穏やかに

響いた。


「ようやく、

同じ

景色が

見えるな」


     ◆


「……ああ」


 龍斗は

答える。


「守るために

使う」


     ◆


 夜明け。


 朝日が、

瓦礫の街を

照らす。


 新しい

竜神の

時代が、

静かに

始まっていた。

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竜神現代転生 ―荒神龍斗の決意― 塩塚 和人 @shiotsuka_kazuto123

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