守護者-3

「ふぅ……」

 帝国の書庫でヨーゼフが自分の肩をもみながら紋章の一覧書を眺める。先日完成したミレリアの紋章を紋章帳に追加する作業中だ。

 ヨーゼフの同僚が声をかけてきた。

「おう、ようやく完成したみたいだな。大変だったって?」

 ヨーゼフは答える。

「ああ……マジで大変だった……」


 あれから一通り図案が完成した後で、レベッカが、

「やはりアイデアは一旦寝かせてから、時間をおいて再審議すべきです」

 という大変迷惑な正論を言ってくれたため、後日再度集まって図案を再考することになった。

 そのあとでちゃんとした紋章画家に頼んで、図案から紋章図を起こしてもらい、チェックして修正依頼。再度チェックを繰り返して、ようやく紋章が完成した。ちなみに当然のようにヨーゼフも参加させられていた。


 同僚が紋章帳の紋章を見ながら感心したように言う。

「変わった紋章だけど、いい出来じゃないか。ミレリア様の紋章だもんな。まさに歴史に残る仕事をしたってわけだ。よかったなヨーゼフ」

 同僚はヨーゼフの肩をポンと叩くと、部屋から出て行った。


 歴史に残る仕事か……同僚の言葉を胸の中で反芻する。確かに大変だったけど、ワイワイやりながら何かを作るのは楽しかった。それが歴史に残るものなら、それは幸運なんだろうな。

 

 ヨーゼフはミレリアの紋章を眺める。


 本と盾を持った人魚、帝国の守護者。これを俺が作ったんだな……


 ヨーゼフは満足したように笑うと、紋章帳を閉じて、ゆっくりと書庫の本棚に差し戻した。

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