守護者-2

「……それで、ヨーゼフさんはどう思われますか?」

 レベッカの突然の質問に、ヨーゼフは我に返った。

「あ、え、えーとですね……」

 しどろもどろになるヨーゼフを(コイツ、聞いてなかったな)という目でレベッカが睨む。


 今までの女性二人の議論で、決まったのは以下の二点だ

 1,中央にミレリアを意味する人魚を置く

 2,右手に魔術師を意味する本を持たせる

 ただ、ミレリアの意向としては「やっぱり左右対称なイメージが欲しい」とのことなので、左手にも何かを持たせたいと考えている。これをどうしよう?という相談であった。


 ヨーゼフは考えながら答える。

「そうですね、やはり元国母様でありますし……赤ん坊などはどうでしょうか?」

 それに対して、ミレリアがため息をつきながら答える。

「あのね……私はその国母を返上したのよ。なのに紋章にデカデカと赤ちゃんなんか載せたら、また国母を狙っている、って騒がれるじゃないの」

 分かってないな、コイツ、という目でミレリアがヨーゼフを見つめる。

 ホント使えないな、コイツ、という目でレベッカがヨーゼフを見つめる。

 ヨーゼフは崖っぷちに立たされた。


(やばい、もう2回もやらかしている。3回目はヤバい)

 ヨーゼフは頭を全速力で回転させる。紋章に多い意匠はやはり剣だ。

「では……けn」

 途中まで言いかけたあたりで、レベッカの鋭い眼光が光った。

(駄目だ……剣は駄目だ……。だったら……)

「で、で、では、盾。盾なんかはいかがでしょうか?帝国の国母様から、帝国の守護者への転身、という意味で……」

 ヨーゼフは何とかして捻りだした。

 ミレリアが顎に手を当てて考える。

「盾……守護者か……意外といいかもしれない」

 レベッカも関心したようにつぶやく。

「本と同じようなサイズ感を出しつつ、違う意匠を左右に置ける。確かに良いかもしれませんね」

 どうやら正解だったらしい。胸をなでおろすヨーゼフを尻目に、女性二人が続ける。

「次は紋章を囲う腺ね。紐もいいけど、やっぱりリボンがいいかな」とミレリア。

「紋章は配色されて使われるケースと、されないケースの両方で使われます。どちらであっても、美しく見えるようにしないと」とレベッカ。


 ヨーゼフは覚悟を決めて女性二人の後ろから言う。

「あのー、お二人で決めてもらった図案を、後で私がチェックする……とかはいかがでしょうか?」

 二人が一瞬ピクっとしたかと思うと、同時に振り向いて、同時に吠えた。

「ハァ!?」


 ヨーゼフは……帰れなかった……

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