国母-4
ミレリアはフランツを中心とした対策チーム結成し、内政問題に取り組んだ。
ミレリアの魔術研究は、彼女の情熱と投資の成果もあり、基礎研究の段階を過ぎて、再現性のある「魔術」として体系化されつつあった。すでに投資段階を過ぎたことから、資金注入を停止することで、一旦の帝国財政の立て直しを優先することができた。
極めて応用の効いた魔術は、軍事にはもちろん、衛生、治水、医療などの様々な分野においても転用可能なものが多くあり、生活向上に寄与した。人々の生活には以前に比べて余裕ができ始めた。
また「冥府の女王」で知られる彼女の残酷さは、あくまで宮中で起きたことであり、一般的な民衆からの支持にはあまり影響していなかった。魔術を使うことによる生活の向上などの結果もあり、ミレリアの政策は人々に支持された。
もちろん「今さら何を」と言って白い目で見るものもいるはいたが、足を引っ張るような直接的な妨害はなかった。ミレリアの苛烈さはまだ記憶に新しく、その矛先が向かないという保証はなかったからだ。
ミレリアは幸運だった。魔術体系の確立、民衆の支持、政敵不在。これらの要素の歯車が1つでも狂っていたら、ミレリアはおろか、帝国の運命すら変わっていただろう。
帝国は枯れた土に水を撒いたように、再生して、成長を始めた。
「私に称号を?」
ミレリアは、すでに初老に差し掛かっているフランツに問い返した。
ミレリアは事実上、すでに寵姫という立場を脱している。もはや帝国中枢の重要なシステムの一部である、とすら言えるミレリア。だが、その「ミレリア」とは何なのか?ということが議題になった。ミレリアは貴族でもなければ官職にいるわけでもない。そこで帝国としてはミレリアに、公的な称号を贈るべきなのでは?という事になったらしい。
フランツは言う。
「議会としてはこのような称号を考えています」
そういうと、手に持った紙をミレリアに見せた。
ミレリアは壁の方を向いた。思わずにやついてしまった顔を隠すためだ。嬉しかったのだ。
帝国がミレリアに送った称号
「国母」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます