窓の外を見たい。
於とも
窓の外を覗く勇気
目の前のカーテンを開ける勇気がない
何も食べる気にならなくて
何も飲む気になれなくて
いつの間にか、うつらうつらと眠っている
眠って眠って……
どれくらい経ったのだろう
誰からも通知が来ないように
携帯の電源を落として
何もかもが嫌になって
ただ消えてしまいたくなる
誰も訪ねて来ない部屋で
ただ、眠る
排泄も摂取も放棄して
ただ、眠る
ふと上げた手の、甲のやつれに驚く
このままでいたら、どれくらいで消えられるのだろう……
そう、消えたいと願いながらも
私がこの世に存在していたと
誰が思い出してくれるだろう……
なんて、考えてしまう
好きだった人を想い浮かべる
沢山話した友人を想い浮かべる
母の手を、想い浮かべる
『人って、なかなか死ねないものだな……』
しみじみと、そう思ってしまった
飲まず食わずでいたら
消えられそうだと思ったのに
案外、しぶとく息をしている
今日は、何日なんだろう?
携帯に、誰かのメッセージ届いてるかな
死んじゃう前に
そのメッセージだけでも読んでおこう
重い腕を持ち上げて
携帯の電源を入れた
その瞬間
着信音!
びっくりして、携帯を取り落としたら
指が触れて、とってしまった
「もしもし!!なんかあったの?!大丈夫?!!!!」
大声が、聞こえてきた
「もしもし!!なんか言って!!大丈夫なの?!!!」
ああ……。
想い浮かべた友人の声が、そこにあった
「うん。大丈夫。」
「今ね、窓の下に来てるから!!」
「うん。」
「カーテン開けて!!」
私は、重い体を起こして
窓まで這って行った
カーテンを掴んで立ち上がる
外の明りが隙間から差し込んで
窓の外の明るさを
暗い部屋に持ち込んできた
携帯から聞こえる声が
私の背中を押してくれた
カーテンを引き開けた光が
まぶしく、目を射る
顔に暖かい光を感じる
ああ、暖かい
生きてていいんだ……
窓の下の友人と視線が合った
涙があふれてきた……。
窓の外を見たい。 於とも @tom-5
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