第2話 おにぎり







  早速始まりました――ナギの3分で終わらせるクッキング?――ですが、本当に3分で終わるのでしょうか?


「まずはお米を研ごうぜ。最初に入れた水は捨てて、表面の糠やゴミを流すんだ。次にだいたい100回ぐらい研いだら、流水で透明になるまで放置する……こうしているうちに3分使い切ったぜ?」


「早っ! ナギぃ! 終わっとるやないかーい!?」


「ああ、企画崩壊だ……じゃ、お疲れ!」


「終わらすな! ええからはよ続きをやらんかい!」


「という訳で続きだ。今回は予算が無いので、安いお米を使う。米を洗ったら規定量のお水を入れて、塩、油を加える。ここに白だし、日本酒等を加えてもいいな」


「ほんでこちらが炊きあがったご飯やけど、ナギ、今研いだのはどないするんや?」


「追加分だ。今日のお客さんは?」


「人気ラーメン店の行列ぐらいおるで?」


「よし、おまえらもあたしと同じように米を研いで炊飯器にセットしろ!」


 家庭科室に集まったいつものメンバーたちは、ナギのテキパキとした指示に従って米を研ぎ、次々とお米をセットして炊飯のスイッチを押していった。


「ところでナギぃ、給水時間はええんか?」


「ああ、今回はズボラ飯路線で行く。ウィラ、例えばプライベートだと部屋にパンツが転がっているようなズボラなお前でも、安心して作れるぜ?」


「せやな、うち、片付け苦手やからなぁ……って、ナギぃ!! 今は撮影中や! スタッフさん! 今のカットで頼んます!」


「編集めんどいのでこのまま回します」


 今度は準備したご飯を使い、ナギは手際よくおにぎりを握っていく。


 もちろん型を使ってもいいし、三角でも俵型でもよい。


 具材も好きなものを詰め込めばいい。


 定番の梅干し、焼き鮭、昆布の佃煮などもいいけれど、手作りおかか、肉味噌は最強クラスだと思う。


 詰め込むスタイルもいいけれど、あえて具無しにして添えるなんていうスタイルもありだ。


 最終的なかたちはどうであれ、ナギのおにぎりはこれといって特別なことをしている訳では無い……ただ、一点を除いて。


「おにぎりの手水だけど、一般的には濃い塩水だ。塩分濃度でいえば10%ぐらいだけど……あたしはあえて、白だしを手水に使う。メーカーによってまちまちだけど、濃いめ。今回は一対一ぐらいだ」


 手水に白だしを用いることで、おにぎりを頬張れば口中に出汁の香りが広がっていく。


 白だしでコーティングされた外側と、無垢な白飯の内側で描かれる濃淡で、幸せなひとときが演出されるであろう。


 このまま具無しおにぎりで食べるもよし。


 焼き海苔を巻くのもよし。


 具材を入れるスタイルもよし。


 具無しおにぎりと具材を別々に、好きなように楽しむのもよし。


「おにぎりって言ったらさ、形や具材、スタイルもそうだけど……これも欲しいよな?」


 そう、おにぎりのお供として最強クラスの一角……豚汁である。


 今回の豚汁については、くず野菜、それから余った煮物と豚コマを投入するスタイルを採用している。


「これは至れり尽くせりやけどナギ、予算的にはええんか?」


「ああ、今日のために先週の余り物を冷凍しておいた。もちろん業務用冷凍ストッカーだから安心してくれ」


 こうして振る舞われたナギ特製のおにぎり、豚汁は大好評のうちに完売したのであった……やっぱりもう店だろこれ!?


 ――次回のナギの3分で終わらせるクッキングは?


 予算不足につき、うどんをお送りいたします――――。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ナギの3分で終わらせるクッキング? あらかも@IRIAM配信者 @around40came-on-babe

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画