第三話「こんな洞窟はさっさと埋めちまいなさいな」
「電話でお話しした通り、この村では『神隠し』が続いているんです。」
「はいはい。で、その神隠しに、この洞窟が関係しているかもしれないとね。」
「ええ。それで、村長だった祖父の知人で、高明な霊能者である貴女をお呼びしました。」
「全く。年寄りをこんな場所に呼び出してからに。」
「いやぁ、申し訳ありません。他に頼れる方が思い付かず…。」
「まぁいいさね。さてと、『視て』みるかね。」
「…。」
「…。」
「…どうですか?」
「…。」
「何か見えるんですか?」
「これは…。ダメなやつだね。」
「え?」
「早くここから離れるんだよ。」
「は、はぁ。」
「そうさね、こんな洞窟はさっさとコンクリートで埋め立てなさいね。」
「えぇ!」
「いいかね、絶対だよ。」
「は、はぁ。…それでこの洞窟には何があるんですか?」
「忘れた方がいい。これは人間が踏み込んではならないヤツだよ。」
◆
それから数ヶ月が過ぎた。
老いた体躯を安楽椅子に預けながら、彼女は新聞を手にする。
その地方新聞に、問題の記事は掲載されていた。
『集落の集団失踪』
『原因は不明』
溜め息を吐く彼女。
「だから、早く埋めろと言ったのに…。」
静かな口調ではあった。
が、彼女をよく知る人間が聞けば解る。そこには、後悔と、そして怒りがあった。
安楽椅子から「よっこらせ」と立ち上がる彼女。
そのまま彼女は箪笥を開け、小さな箱を取り出した。
その箱は幾重もの布に包まれ、厳重に封されている。
箱を膝の上に置き、天井を仰ぎ見て彼女はつぶやく。
「…時が来たのかの。」
彼女が抱える箱の中。
その中には小さく砕けた黒い刃の欠片が入っていた。
亡骸群落 ~シニイキルスメラギ~ Yukl.ta @kakuyukiyomu
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