第三話「こんな洞窟はさっさと埋めちまいなさいな」

「電話でお話しした通り、この村では『神隠し』が続いているんです。」

「はいはい。で、その神隠しに、この洞窟が関係しているかもしれないとね。」


「ええ。それで、村長だった祖父の知人で、高明な霊能者である貴女をお呼びしました。」

「全く。年寄りをこんな場所に呼び出してからに。」


「いやぁ、申し訳ありません。他に頼れる方が思い付かず…。」

「まぁいいさね。さてと、『視て』みるかね。」


「…。」

「…。」

「…どうですか?」

「…。」

「何か見えるんですか?」


「これは…。ダメなやつだね。」

「え?」


「早くここから離れるんだよ。」

「は、はぁ。」


「そうさね、こんな洞窟はさっさとコンクリートで埋め立てなさいね。」

「えぇ!」


「いいかね、絶対だよ。」

「は、はぁ。…それでこの洞窟には何があるんですか?」

「忘れた方がいい。これは人間が踏み込んではならないヤツだよ。」



それから数ヶ月が過ぎた。


老いた体躯を安楽椅子に預けながら、彼女は新聞を手にする。

その地方新聞に、問題の記事は掲載されていた。


『集落の集団失踪』

『原因は不明』


溜め息を吐く彼女。

「だから、早く埋めろと言ったのに…。」

静かな口調ではあった。

が、彼女をよく知る人間が聞けば解る。そこには、後悔と、そして怒りがあった。


安楽椅子から「よっこらせ」と立ち上がる彼女。

そのまま彼女は箪笥を開け、小さな箱を取り出した。

その箱は幾重もの布に包まれ、厳重に封されている。


箱を膝の上に置き、天井を仰ぎ見て彼女はつぶやく。

「…時が来たのかの。」


彼女が抱える箱の中。

その中には小さく砕けた黒い刃の欠片が入っていた。


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亡骸群落 ~シニイキルスメラギ~ Yukl.ta @kakuyukiyomu

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