7.偽善者
ラディの部屋。ランプの光がパメラの姿を照らしている。
「あたしは偽善者なのよ。嫌われ者のあなたに手を差し伸べる──そんな自分が好きだっただけ」
パメラの手がラディの頬に触れる。その温かいとも冷たいとも言えない感触に、ラディは少しだけ戸惑う。
「だからね、あなたがあたしのことを特別に思う理由はないし、あたしのために泣く必要もない」
ラディはその手に自分の手を重ねる。その行為によって、パメラの笑顔に綻びが生じた。
「僕はパメラに何のお礼もできていない。たとえ偽善でも、僕はパメラに救われていたんだ」
たぶんずっと我慢していたのだろう。ついにパメラの目から、決壊したように涙が
「ラディ……だったら今、そのお礼をしてもらってもいい? 無様に死んだ偽善者に、あなたはキスをするの」
ラディは一瞬だけ躊躇した
「あなたも偽善者なのね。あたしたち、きっとお似合いの恋人同士になれたわ」
彼女が目を閉じる。その無防備な唇に、ラディは自らの唇を寄せて──
しかし触れ合う前に、それはするりと消えてしまった。ラディは慌てて見渡すが、ランプの光は彼女を照らさない。
否──彼女はまだそこにいた。ベッドに映った影が、照れたように頭を掻いている。
『やっぱりキスは
─了─
【死体刻み】のシスターは【死体漁り】のカラスとともに闇に葬られし殺人を追う。 猫とホウキ @tsu9neko
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