時の彷徨

 時航機タイムマシンを乱用すると、次第に、自分がどの時間軸の人間か、わからなくなる。


 過去や未来に居座り過ぎると、自分のいたはずの現在から、肉体も魂も、乖離かいりしてしまう。


 時を見失う。

 時の概念の崩壊。

 すなわち、世界イコール時間、となってしまうようだ。


 すると、現在の存在だったものは、現在の存在でも、過去の存在でも、未来の存在でもなくなり、時間を超越した存在——〈超四次元時空間的存在〉に次元上昇する、幸か不幸か。


 〈超四次元時空間的存在〉は、«過去«—≫現在«—≫未来≫の線分全体を、俯瞰し、同時認知する能力をもつ。


 雲の上の存在になり、鳥瞰図ちょうかんずで世界を観れる。


 すなわち……




 ———鳥になる。




 カメラが空を撮れば、鳥はいつも青い写真シアノタイプに映り込む。


 青写真という語は、しばしば、未来予想図的表現で用いられるが、鳥はそこにとどまらない。


 未来のみならず、過去も、現在も、その双眼に掌握する。


 鳥目は、しばしば夜盲やもうの病と揶揄されがちだが、決して侮ってはならない。


 鳥目にかかれば、時というお調子者は、己が備えると信じてやまないベクトル、はおろか、スカラさえも、存在証明に困難を極めることとなる。


 鳥は、

 実は、

 時の、

 世の、

 いや、

 全の支配者ピクチュア・オブ・ルールだったのだ。




 鳥_それは__時空迷子の___成れの果て____.🪶



   〈了〉

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時の彷徨 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura

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