第10話 復活

「柏崎さーん!」

 真澄さんの声が聞こえてきた。

 振り返ると、嬉しそうな表情を浮かべて、真澄さんが駆け寄ってきた。

「姉の意識が戻りました、一緒に病室まで来てもらえますか」

「はい、もちろん」

 僕が頷くと、真澄さんは、パソコンの画面を見て目を丸くした。

「これ……由梨のサイト?もしかして……」

「はい、ヤマタノオロチのウイルスは、消えたみたいです」

「え……すごい、柏崎さん。どうやって消したの?」

「正確には、自然に消滅したと言ったほうが良いのですが、まずは洋子さんのことが心配です。ヤマタノオロチの話は、後にしてもいいですか?」

「そうでした、すみません。姉も柏崎さんに会いたい、と言っています」

 

 病室に行くと。

「柏崎さん」

 ベッドの上で、上半身だけ起こして、洋子さんがニコリと笑った。

「柏崎さんがいなかったら、私はきっと、意識が戻らなかったと思います。本当にありがとうございます」

「いえ、そんな。僕にできることをしただけですよ。取り敢えず洋子さんが無事で、僕も安心しました」

 すると、洋子さんは、目を伏せながら言葉を紡いだ。

「あの、えっと……」

「どうなさいましたか?」

「また、お会いできませんか?仕事以外で」

「……え?」

 するとそこに、ニヤニヤしている真澄さんが、ずいずいっと入り込んできた。

「柏崎さん。お姉ちゃんとまた会ってもらえませんか?まずは友だちとして、そして未来は……」

「ちょ、ちょっと真澄!」

 洋子さんは、頬を赤らめながら、真澄さんを牽制していた。

「分かりました。妹さんのお願いなら、断ることはできません。僕も仕事の合間にお会いしたいです」

「え?でも……」

「僕も一目見た時から、洋子さんに惹かれていたので。まずは友だちとして、よろしくお願いします」

「……分かりました。今後とも、よろしくお願いします」


 以前の僕なら、こんなこと、考えもしなかっただろう。

 ヤマタノオロチのウイルスのおかげ、と言っては何だが。

 生きる希望を見つけることができたかもしれない。


 言葉は時に、人の心を傷つける。

 でも僕は、人の心を癒すために、言葉を使いたい。

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