黒魔法-2

黒魔法-2




モリガンが呆れたように俺に言う。

「貴方、黒魔法使いなのに何も知らないのね。師匠は誰?」

師匠という言葉に戸惑う。契約の時の魔法陣を作ったのはアルガスなので、彼が師匠になるのだろうか?とはいえ、その名を出すわけにはいかない。適当に捏ね上げることにする。ドナルドの師匠・・・となると、

「カーネルです」

なんか色々と怒られそうだけど、異世界だし大丈夫だろう。モリガンがそれを聞いて、考えるように言う。

「カーネル?聞いたことが無いわね。野良の黒魔法使いかな。碌に教えてなさそうだし」

異世界で勝手に名前を使われて、いわれのないことでディスられるおじさんに内心で謝りつつ、俺は適当に答える。

「そうですね。契約の魔法陣だけを残して、直ぐにどこかに行っちゃったので」

(どこかに行ったというか、生贄にしたと言うか)

俺の内心など知らずに、それを聞いたモリガンが馬鹿にしたように言う。

「ランクは契約をする悪魔のランクに連動するからね。自力で悪魔を見つけるなんて普通は無理だから、大概は既に契約している師匠の悪魔を借りることになる。だから、貴方の師匠は大したこと無かったみたいね」

架空の師匠なので、馬鹿にされても特に何とも思わない。ついでに言うと、アルガスは大したことが無かったことが分かった。そして、俺はそれを聞いて気になったことを聞く。

「そうなると、俺が貴方の悪魔を借りて契約出来れば、俺のランクも上げられるんですか?」

それを聞いたモリガンが、俺を値踏みするように見ながら言う。

「貴方、意外と太々しいわね。そりゃそうだけど、会ったばかりの貴方にそこまでしてあげなきゃいけない理由は無いわね」

それを聞いて、俺は思いついた。俺はここに来る前に起きた、アルガスとオズロ兄弟、冒険者ギルドとの戦争勃発について説明した。それを聞いたモリガンの顔が、明らかに狼狽の様相を見せ始めた。モリガンが後ろを向いて考え始める。

(いやいや、いくら何でも展開が急過ぎる。部下の子分を集めても40人くらい・・・これでは心もとない。おまけにアルガスも居なくなった。これでは不味い。かといって、他の拠点の連中に協力を頼むのは嫌だ)

考えていたモリガンが、俺の方を向いて言う。

「なるほどね。どうやら貴方をこき使わないといけなくなったみたい。いいわ、貸してあげる。でも、その前にやってもらうことがある。後でルイスから説明させるから、貴方は下がって頂戴」

そう言うと、俺をここに連れて来た小男を呼び出した。この小男はルイスと言うらしい。俺は入ってくるルイスと入れ違いになるなるように、部屋から出ようとする。そのドアの近くに鏡があったので、何気なくその鏡を見た。その時に気がついた。

(アレ?なんか、老けてる?)

黒魔法は寿命を使うことを思い出した。ドアを抜けながら、俺は今まで使った黒魔法について考える。使ったのは拘束と炎撃だけだったが、それでも目に見えて分かる程度に老化が進んでいる。そういえば、アルガスを悪魔に生贄にした時も、彼は急激に老化していたようだった。寿命を使うというのは要するにこういう事らしい。

悪魔に自分を生贄にしたときは、すぐに死んだので良く分からないが、その時もきっと老化して果てたのだろう。そうなると、俺は寿命が尽きても死なないという事になる。

(また一つ、死ぬ方法が減ったな・・・)

俺は内心で呟いた。


暇なので、この拠点を少し調べてみる。部屋はモリガンの部屋と雑魚寝部屋。それ以外に三つくらいの部屋があるだけで、小規模な作りだ。少し広い場所には、簡単なテーブルと食料が置いてある。天井はそれほど高くない。どうもあまり長居するための場所ではなさそうだ。梯子の上は普通の民家のようなので、そちらも使っているのかもしれない。

「モリガンってこんなところに住んでいるのか?」

俺は呟いた。どう考えても住居環境には五月蠅そうな人だったからだ。普段は別の場所に住んでいるのかもしれない。

そんなことを考えていたら、後ろから俺を呼ぶ声がした。ルイスだ。

「おい、ドナルド。お前にやってもらう仕事が出来た。潜入任務みたいなものだ」

俺は振り返ってルイスを見下ろして聞く。

「潜入任務?」

ルイスが答える。

「そうだ。お前は、冒険者ギルドの受付の女に近づけ!」

冒険者ギルドの女。それを聞いて俺は思いだした。ミリアの姉、エミリのことだ。

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2026年1月13日 18:00
2026年1月13日 18:00
2026年1月14日 18:00

死にたくないと願った俺は、異世界で不死身の呪いを得てしまった件 ikhisa @ikhisa

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