第2話 過疎ゲー②
ランキング一位のギャルに話しかけられてから15分ほどマッチングを待つ時間があってゲームがスタートする。
戦いの舞台となるのはボーンアイランドと呼ばれる無人島。元々は有人島だったのだが人工ストームの実験場として使われることになり島民は住まいを追い出された。実験が終了した今でも暴走した人工ストームが時間と共に島を飲み込もうとしている。なんていう設定があるフィールドだった。そのポートアイランドの上空を50を数える小型輸送機が飛んでいる。その小型輸送機の中にマッチングが完了した僕はテレポートする。
小型輸送機の中はとても快適な空間であり、マッチが開始するまではマッチングしたペアとの作戦会議の時間がった。向いのシートに座っていたのはおさげの女の子。ちょうど妹くらいの年齢に見える。初期装備に近い格好で、いきなり目の前に現れた僕に驚いたのか目をまん丸に見開いて「うわ!」と叫んでいた。初心者の証でもある薄い緑のヘルメットを付けていた。
黎明期に制作されたフルダイブ型VRMMOのあるあるなのだけど、ゲーム内のアバターは実際の自分の身体とよく似たものしか作れないというのがある。僕のアバターも現実の見た目そっくりだったし、おそらくあのギャルも現実でもギャルなのだと思う。このくらいの年頃の女の子とマッチするということは、本当に妹くらいの年代の子に『ゴットペア』が流行りかけているのだと思う。
それにしたって内部レートがそれなりに高い僕が初心者とマッチングするなんてどんだけ過疎っているんだろうな、このゲームは。ゲームバランスを壊さない程度にボットを入れたり、100人が揃わない時点でマッチが開始されたり運営も様々な工夫を凝らしているのだろうけど、このゲームは終盤のひりつく優勝争いが最高に楽しくて、物資の揃わない序盤で負けるのが最低につまらないから、初心者が経験者にボコボコにされる試行回数が増えるほど余計に過疎が加速すると思う。
「どこ降りたいとかあります?」
「あ、お任せします」
僕たちの間にはガラスのように透明なスクリーンが用意されている。そのスクリーンにはボーンアイランドの全体像が表示されていた。指で触れることで操作を行うことができるので、変化した地形などを確認しながらどこから戦いを始めるか考える。どうせなら強ポジに降りたいよな。僕がガチでやっていたときに見つけた秘密の強ポジがあるのだが、未だに通用するのだろうか。
「あの。右も左も分からない初心者ですけどよろしくお願いします」
「あ、はい。よろしく」
僕はボーンアイランドの北側にある山奥を選択する。出撃可能まで残り20秒。マッチングしたときのこの気まずい時間も懐かしいな。ここで気まずい思いをしないために多くのプレイヤーは事前にペアを組んでからマッチングを開始する。思えば僕にも昔、よくペアを組んでいた女の子がいた。最初はまともに銃を撃てないくらいの初心者だったけど、一緒にランクマッチを回しているウチにサーバーでもトップクラスのスナイパーに成長した。僕が『スターアニス』の競技に集中するようになってからは会うことはなくなっていた。
ユーザーネームは【アオイ】。
あの子は今、何をしているのだろうか。
そんなことを考えている内に小型輸送機のドアが開き、出撃可能時間になる。
「じゃあ、行きましょう」
「はい!」
僕は再び『ゴッドペア』の戦場に降り立つため、小型輸送機を勢いよく飛び出した。
世界を制したプロゲーマー、生まれ故郷のような過疎ゲーに復帰したけど、当時一緒にプレイしていた女の子がランキング一位になっていたし、なんならギャルになっていた。 フリオ @swtkwtg
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