その声は、昨日まで確かに生きていた

りりり

日常

私は小学生の男の子兄弟のママだ。


毎日仕事に送迎に家事にと1日を

こなしていくだけで精一杯だが

子供たちのために人並みには

良い母親でこなしていると思う。


それでも日々の生活に追われ仕事で

嫌な事なんかあると子供達の話を

聞くのも疲れる時がある。


ママ!ママ見て!今日学校でね!


と嬉しそうに話しかけてきてくれるが

話しを聞くよりも家事を終わらせたい。

早く寝てほしい。

ゆっくりしたいと思ってしまう。


そんな毎日を送っているとあっという間に

小学校高学年になってしまった。

ついに来年には中学生だ。

心も成長してきてママママ攻撃をされる事も

減っていき平穏な毎日を過ごせている。


今日は学校どうだった?


と聞くとぶっきらぼうだが答えてくれる。

寂しさもあるが成長の嬉しさも感じてる。


ついに中学生。

日に日にたくましくなっていく姿に

母として喜びを感じている。

最近は思春期なのか男の子だからか

話かけられる事もなくなってきた。

これも成長なのだろう。


学校から帰ってくるとなんだか

いつもより落ち込んだ雰囲気だ。

でもそんなことより夕飯を作ることに集中したい。

すると珍しく 


「ママ」


と話しかけてきてくれた。

落ち込んでいるのは伝わってきたが

揚げ物をしていた私は暑さも相まって


「今忙しいから後にして」


と答えてしまった。


慌ただしく夕飯を終え、洗い物をして

お風呂上がりやっと落ち着いた時

ふと息子の声を思い出した。


なにを言いたかったんだろう?


もう寝てしまったから明日にでも

聞いてみよう。と私も寝てしまった。


朝起きるといつも通りの息子が

登校していった。

いつも通りに見送り帰ってきたら

話そうと確かに思っていた。


その声は確かに昨日まで生きていた。

いや、私が忙しいからと後回しにしてきたが

小さい頃から


ママ、ママ!


と言ってくれた声は

ずっと輝いて生きていた。

呆然と一点を見つめる私と

対象的に隣で肩を震わせる次男がいた。

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その声は、昨日まで確かに生きていた りりり @riko_chako_

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