第5話 負の連鎖と生と死

「ラヴァーヌ…いつもなら戻ってる時間なのに遅いな…嫌な予感がする」


「ねぇお父様…お母様はまだ帰らないの?」


「そうなんだ…ルルアンは先に寝てなさい…私はラヴァーヌを探しに行くから」


「うん…気をつけてね…リンダは私が寝かしつけるから」


エルドランは町中を探し回った


そして変わり果てた姿の妻を見つけた


「ラヴァーヌ!しっかりしろ!」


「貴方…ごめんなさい…急に襲われて避けられなかったの…子供達の事お願いします…」


そう言い残してラヴァーヌの身体は消えていった


雪がちらつく寒い夜の事だった


母が亡くなった事を聞いたルルアンは泣きじゃくった


「ママが死んだ…ママ…ママ…嫌ぁ!ママぁ!」


エルドランは娘の為に再婚する事にした


ただそれは大きな間違いだった


再婚した女は子供達をエルドランに隠れて虐待し始めるのだった


リンダルトは騎士の素質を持っていたので物心がつく前から騎士として育ててら事にして鍛え上げていた


再婚相手の間に子供が産まれた


すると娘が突如行方不明になったのだ


その頃にはリンダルトは大人顔負けの実力を身につけていたので娘の捜索にも同行させた


その一方で再婚相手の行動を見張る為に隠密行動が得意な者を見張りにつけて探らせる事にした


娘は城の近くのゴブリンの巣で見つかった


ただ既に手遅れでゴブリンに強姦させて身籠ってしたのだ


そして息子の目の前で娘の腹を破って化け物が産まれた


それを目の当たりにした息子は発狂して化け物を形が残らないほど切り刻んで殺して他のゴブリンも一人で倒してしまった


意識を失った息子を抱えると魔道具を作れる魔女の所へ駆け込んだ


「この子の中のバーサーカーの力が暴走したようだね…どれ…力の暴走を抑える指輪を作ってやるよ」


「お願いします…それで息子が平穏に暮らせるなら安いものです」


「アンタの息子は娘同様に狙われる可能性が高いね…これは提案なのだが武者修行の旅と称して国から離した方が良いんじゃないかい?」


「…やはりそう思われますか?」


「悪い事は言わない…言う通りにした方があの子の為だよ…レヴロスの子孫であるアンタら親子には幸せでいて欲しいからね」


「わかりました…」


「武者修行の旅ですか?」


「その力を使いこなせるようにだ…今は制御装置のその指輪があるから力を抑えられてるけどそれもいつまで待つかわからない…良いな?」


「わかりました…」


「必要な装備は用意する…旅先では己の力と知識が頼りになる…ただ無理はするなよ」


「はい…父上のご期待に添えられるように頑張ります!」


「お前が戻る日を首を長くして待っているぞ…」


息子を送り出した後…再婚相手の女が邪教の信者である事が判明した


私に近づいたのは何か悪さをするつもりなのだろう


これ以上被害を出す前に女を牢屋に入れた


ただこの決断が後に息子を危機に晒す事になろうとはこの時は思いもしなかった


息子の活躍は風の噂で聞いていた


そして数年後…葉隠れの里出身の忍びを連れて帰国した息子は立派な若者に成長していた


「お帰りリンダルト…王へ謁見するのは明日にして今夜はゆっくり過ごしなさい…君からの話も聞かせて欲しいからね」


葉隠れの里の忍びはレイロウと言う名で有名な服部半蔵の息子なのだそうだ


その夜は話に花が咲いて思わぬ夜ふかしになってしまった


「陛下には話をしておくから昼過ぎに城に行きなさい…良いね?」


「わかりました…」


城に出勤すると陛下から声をかけられた


「昨夜は遅くまで盛り上がったようだな…酒臭いぞエルドラン…」


「これは申し訳ございません…昼過ぎに息子が葉隠れの里の忍びを連れて来ますので謁見をお願いします」


「ほう…葉隠れの里の忍びとな?それは楽しみじゃ…今日の訓練は無理せずに休みながらするのじゃぞ」


「お気遣い有難うございます…では失礼致します」


昼過ぎに息子が葉隠れの里の忍びのレイロウを連れてやって来た


謁見は上手く行ったようでレイロウは城に隠密として採用されたようだ


ただリンダルトは王宮騎士団に誘われてようだが断ったみたいだ


自分で騎士団を立ち上げたいのでその時は許可を得たいと言ったそうだ


陛下はその時に三人以上メンバーがいる事を条件として提示したらしい


「リンダルトは立派な若者に成長したな…ディーナが嬉しそうにしとったわ」


「左様ですか…」


「騎士団に誘ったが振られてしまったのう…まぁ良い…自分で騎士団を立ち上げるとはあの若さで立派ではないか!将来有望じゃな!」


「お褒めに預かり光栄で御座います…」


その後息子は町の酒場で喧嘩していた男達を仲裁して仲間にして騎士団を立ち上げたようだ


有言実行するとは…私が思っていたよりもずっと立派に成長したようだ


陛下からは私の英才教育の賜物だと言われた


基本が出来ていなければ充分な成長は見込めなかっただろうとの事だ


それからは黄昏騎士団の団長になった息子は王宮騎士団で取り扱えない事件を次々と解決して行った


仲間もどんどん増えて行った…それも多種族な実力者ばかり


私は多種族を仲間にするなんて思いつかなかったのでその点では息子の方が上を行っていた


しかしその最中事件が起こった


投獄されていたあの女が脱獄したのだ


その時になってようやくあの時処刑してなかった事を後悔したのだ


しばらくすると城下町では騒ぎが広かった


邪教の信者が入り込み人々を洗脳し始めたのだ


リンダルトはバーサーカーの力を制御する方法を求めて留守にしていた


私も城で防衛戦に参加した


そして息子の帰りを願って戦い続けた


城下町の騒ぎが収まって来た


どうやらリンダルトが戻って来て仲間と共に鎮圧の為に戦ってくれたようだ


そして城に現れたリンダルトは次々と敵を倒して陛下のいる王の間に辿り着いた


そこでディーナ姫の侍女が襲いかかって来てリンダルトは背中に短剣を受けて生死の境を彷徨うのだった


そこに現れたのはバスクオムだった


彼は妻の兄の息子…つまりは甥っ子に当たる男だった


彼はリンダルトの潜在意識…夢の中に入っていった


一命を取り留めた息子の話だとバスクオムが息子の毒を吸収してくれたそうだ


その結果バスクオムは亡くなってしまった


自分の命と引き換えに息子を助けてくれたのだ


息子の仲間達も彼の死を悼んで涙を流してくれた


ああ…良い仲間を持った息子は幸せ者なのだと感じた


リンダルトはその後ディーナ姫と結婚するのだがその前にオーガ族を仲間にすると言って姫と共に旅立って行った


息子が戻ってる前に結婚式の準備を進めなければならなかった


陛下はリンダルトらしいと笑っていた


そして数ヶ月後…息子は本当にオーガ族を連れて戻って来た


城では結婚の準備が整っていたがその前にリンダルトは勇者ルーゼンと戦う事になった


邪神ガルバランダを倒した勇者ルーゼン一行が訪ねて来たからだ


危うく城が破壊される危機に見舞われそうになったがリライアス皇太子の活躍によりそれを回避出来た


そしてアルステミオ殿下とソニア皇女そしてリンダルトとディーナ姫の合同結婚式が行われた


勇者一行も式に参列してくれた


こうして息子も結婚したし私はやっと平穏な日々に戻れたのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハーベスト家の人々 みゅうた @tomrina

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ