エルドラン編

第4話 妻との出会いは突然に…

王宮騎士団長バルトから役職を引き継いだエルドランは日々訓練に明け暮れていた


バルトの息子であるロイドと共に切磋琢磨していた


「バルト様は引退してからは何やら調べているみたいだが…」


「親父からは秘密だと言われたから教えるわけには行かないよ…君でもね」


エルドランは気になったがそれ以上は追及しない事にした


ある日エルドラン達は原因不明の病の調査をする事になった


町の人が眠ったまま起きる事なく痩せ細っていき最後には命を落としていると言うのだ


「若い男女が急に眠ったまま死んでしまうなんて…何が原因なんだ?」


調査を始めると奇妙な話を聞いた


亡くなった人は眠ったままになる前に男性には女性、女性には男性が接触していた


目撃者によるとその相手は美男美女で見た事ない人物だったそうだ


「どうやらそいつらが何やら知ってそうだな…」


「そいつらに接触するにはどうすれば?」


「目撃例の多い場所で俺が囮になろう」


「ええっ?!危険すぎますよ!」


「危険は承知だ…虎穴に入らずんば虎子を得ずというだろ…何かあった時は頼むな」


「うう…覚悟を決められてるのですね…わかりました…私は王宮に報告に行きますのでご無理はされませんように」


路地裏に一人になったエルドランは暗闇に向かって声をかけた


「いるんだろう?先ほどからこっちの方を伺っていたのはわかってるんだ…出て来いよ」



暗闇の中から現れたのは妖艶な美女だった


「気づいていたなんて…気配は隠していたのになんでわかったの?」


「気配は消せても匂いを消し忘れていたようだな」


「匂いですって?貴方って犬みたいに鼻が効くのね〜でも私を捕まえる事は出来ないわよ」


「なんだと?!」


「ふふ…さぁお眠りなさい…そして私に貴方の正気を頂戴な…」


「しまった!罠に嵌めたつもりが嵌められたのか?!」


エルドランは深い眠りにつくのだった


気がつくと不思議な場所に立っていた


「これはふわふわする…夢の中でしかも奥深い場所のようだ」


「ここは生者と死者の世界の狭間のような場所よ…人は死ぬ時に眠るようになるわよね?眠りと死は隣り合わせなのよ」


エルドランは目の前に現れた美女に目を奪われた


ピッタリとした面積の少ない服を身につけて宙に浮かぶ姿は彼女の美しさを際立たせていた


「そうか…君はサキュバスなのだな…夢の中に誘い込んで正気を吸って自分の魔力へと変えているのか」


「その通りよ…それがわかっても逃れる事は出来ないわよ」


「逃れる必要は無いだろ…君を捕まえれば済む話だ!」


そういうとエルドランは美女をあっという間に追い詰めて捕まえたのだ


「嘘…私を捕まえるなんて…信じられないわ」


「さて…まずは君の名前を聞こうか?」


「え?ラヴァーヌだけどそれを聞いてどうするのよ?」


「君の負けだよ…俺の言う事を聞いてもらうよラヴァーヌ」


「わかったわ…」


「君は悪夢を吸う事は出来るのか?」


「悪夢?出来るわよ…ただあまり美味しく無いからやめてただけだわ」


「ならこれからは町の人達の悪夢を吸うようにしてくれ…それなら魔力を得られるし町の人は悪夢から解放されるし一石二鳥だろ?」


「私に人間の為に働けって言うの?私にはこの町に留まる理由としては足りないわよ?」


「なら俺の妻になってくれ…それならこの町を拠点にする理由が出来るだろ?」


「随分と強引だけど嫌いじゃ無いわ…わかったわ」


こうしてエルドランはラヴァーヌを妻にして一緒に行動していた兄も説得して眠ったまま亡くなる若者はいなくなったのだった


エルドランにとっても事件の解決と妻を得るという一石二鳥になったのは言うまでも無いだろう


エルドランとラヴァーヌが結婚して一年後…娘が生まれてルルアンと名付けられたのだった


その四年後…


「ねぇ…妹はいつ産まれるの?」


「ふふ…今は六ヶ月だからあと四ヶ月後ね

…でもまだ妹だとわからないじゃ無い」


「絶対妹だもん!こんなに大人しいのに弟じゃ無いわ…名前だって決めてるのよリンダって」


「あらあら気の早いお姉ちゃんね…リンダ…良い名前じゃない」


「うん…早く会いたいよリンダに…」


そして産まれたのが弟だった


「この子が私の弟…可愛い!私がお姉ちゃんよ」


「お父さんが名前はリンダルトにするって言ってたわ」


「私達がリンダって呼んでたから?」


「ええ…呼び方を変えるのはダメだろうからってね」


「流石はお父様…よろしくねリンダ」


こうしてエルドランは家族が増えて幸せ一杯だった


だがこの幸せは長くは続かなかったのだった

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