本編(注釈なし)
B:あの、Aくん、ちょっといい?
A:ん?
B:あのさ……昨日の放課後、Aくん、すごい怒ってなかった……?
A:えっ、なんの話?
B:だって、Aくんがガン詰めする声が聞こえたし、ちらっと見たら、いつも仲のいいCくんが土下座してて……。Aくんがあんなに怒るなんてよほどのことかなって。私でよければ話聞くよ。
A:……あ、陽子のやつか。(ぼそっ)
B:陽子……って、彼女さん?
A:いや、あれは遊びだよ。
B:……えっと……AくんのセフレをCくんが寝取ったってこと……?(恐る恐る)
A:……?(なぜそうなったの顔) あー、違う違う、陽子は女王だよ。
B:女王様!? Aくん、そんな趣味が……?
A:ん? 最初からそういう趣味だけど……。強くてかっこいいよ、陽子。
B:えっ……あの……女王様って……ムチとか持ってるの……?
A:いや、剣かな。
B:剣!? 刃物の!?
A:うん。
B:斬ったりするの……?
A:まあ、剣だし。
B:痛くないの……?
A:あれはむしろ癒すものでもあるよ。
B:癒されるの……?
A:そうだね。
B:ハードすぎない?
A:確かにハードではあるかな。
B:(小声)……あ、あっさり肯定……?
A:よかったら貸そうか?
B:陽子ちゃんを!?
A:まあ、最初は陽子かなー。
B:あれが入口なの!?
A:うん。最初はしんどいけど、途中からどんどん面白くなるから。
B:なにそれこわ……。てか普通に犯罪じゃない? 大丈夫?
A:何が?
B:だって私たちまだ未成年じゃ……?
A:関係ある……?(怪訝そうに)
B:え゛っ……!?
A:ていうかこれ、もともとは少女向けに作られたやつだよ?
B:余計まずいよ!
A:そう? 陽子も女子高生だけど……。
B:女子高生が女王様なの……!?
A:うん。最年少だと十二歳の子もいる。
B:十二歳はまずいよ!
A:大丈夫だよ、肉体年齢の話であって精神的には違うから。
B:余計あかん!
A:そもそもあの子は素質があって選ばれただけだし……。
B:そ、そんな、無理やりみたいな……。
A:いや、無理やりどころか、誰より自分の意志で進んできた子だよ? 見たらわかる。
B:いやいやいやいや。余計だめでしょ。
A:……?(ピンときていない顔)
B:……ていうかAくん、随分その子が好きなんだね?
A:あの子は芯が強くて魅力的なんだよね。最後のビンタが特にいいよ。爽快感すごい。
B:ビンタ……!?
A:あれはいい意味で鳥肌立つよ。
B:まって……。Aくん、ただの読書好きの男の子だと思ってたのに……。これが優等生の闇……?(泣きそう)
A:え? 本の話だよ……?(きょとん)
B:ほ、本……!? なんだ、本か……。(安堵)
A:うん。『十二国記』っていうファンタジー小説のシリーズ。知らない?
B:し、知らない……!
A:なら今度、一巻持ってくるよ。さっき言ってた陽子が出てくる話。
B:うん……! ぜひ! なんかごめん……!
A:なんで謝るの……?
B:なんでもない! なんでもないよ!
A:そう? ならいいけど。
【声劇台本】十二国記アンジャッシュ 澄田ゆきこ @lakesnow
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