概要
ある日私は人間になれることを知った
猫が、人間になった。
どうやら猫又変化というものかもしれない。
猫と人間の存在がそっくり入れ替わってしまっているようだ。
私が食ってしまったらしい人間には悪いことをした。
そいつには弟がいるらしい。
せめてなり切ってやるために、そいつの日記を読んでやることにした。
どうやら猫又変化というものかもしれない。
猫と人間の存在がそっくり入れ替わってしまっているようだ。
私が食ってしまったらしい人間には悪いことをした。
そいつには弟がいるらしい。
せめてなり切ってやるために、そいつの日記を読んでやることにした。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!やはり——吾輩も、猫である。
この一文が成立してしまう地点に、本作の不気味さと完成度がある。語り手は人の言葉で思考し、状況を分析し、過去を振り返る。その語り口はあまりにも理性的で整っており、読む側は自然と「人の物語」として受け取ってしまう。だが、読み進めるにつれて、その前提は少しずつ崩れていく。読めば読むほど、ぞろり、ぞろりと怖さが増していく。それは大きな事件や衝撃的な描写によるものではない。むしろ、理解が進むほどに、語り手と世界の関係が静かにずれていく感覚が、背後からまとわりつくように残るからだ。ここで描かれているのは、変身の驚きでも正体暴露の快感でもない。「そうであったことを後から理解する」過程そのものが、物語として…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!唯物論的『猫又』の流儀。
何とも言えない不思議な怪猫譚だ。
温かさと可笑しみのある、それでいて相当
創り込まれた秀逸なミステリーとも
言えるだろうか。
ある日、猫又が『ヒトになれる』事に
気が付いた。元来、猫又というモノは
喰った人間に化られるのだという。
一匹の猫が消えて、一人の人間が存在する
が、実際は一人の人間が消えて、一匹の
猫又がそれに化ける。
…とはいうものの、そのへんの認識には
多少の齟齬があったりする。
ならば、自分は鏡に映る この男 を
喰らったのか。
差し詰め、飼い主だった男かも知れない。
せめて、どんな人間か知ってやろうと
猫又は男の 日記 を読み始める。
とても完成された掌編、と言え…続きを読む